フェイスブックで印パの友好

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2年ぶりに訪れたパキスタンでの短い滞在から戻ってきた。

田舎部での撮影の2日目、おかしな天気に見舞われた。首都イスラマバードからの道中は青空だったのに、目的地に着いた途端黒雲が空を覆いはじめ、大粒の雨が降り出してきた。すぐに止むだろうと高を括っていると、なんと小粒の雹が混ざりだしたではないか!こんな天気などまったく予期していなかったので、雨具を車中においてきた僕はずぶ濡れに。不幸中の幸いだったのは、雨雲のおかげで写真が撮りやすくなったことだ。快晴の強い光ではコントラストが強すぎてなかなかいい写真をとるのは難しい。

今回の仕事の内容はクライアントの記事の発表前なのでまだ書けないが、数日前にパキスタン絡みでひとつ興味深いことに遭遇したので、紹介したい。

パキスタンの友人から、フェイスブックをとおしてあるサイトのリンクが送られてきた。「メディアの伝えないパキスタン」と題されたそのページには8分程の写真スライドショーが載せられており、風景や町の景色、民族文化にスポーツイベントや政治的なものまで様々なパキスタンの写真が紹介されている。こんなところがあったのか、と息をのむほど美しい雪山や海岸のイメージもでてくるのだが、僕の目を引いたのはこのページに書き込まれたひとつのコメントだった。

「敬意を表して。インドより」北米に住むインド人の残したこの短い書き込みに対して、120以上もの反応が寄せられていたのだ。多くはパキスタン人からのもので、コメントに対する感謝を表したものだった。「大いなる敬意を君に。脱帽」、「君のようなインドの人々に、パキスタンから敬意と平和を」、「パキスタンを代表して、感謝します」などなど。

もしコメントがインド人によって書かれたものでなかったら、ここまで多くの反応はなかったと思う。これは、いかにパキスタン人が、特にインド人による、ステレオタイプの悪いイメージに辟易しているかのひとつのいい例だろう。僕自身もインドで生活するなか、これまで数えきれない程パキスタンに対する罵詈雑言を耳にしてきた。雑貨屋の店主から大学生まで、教育レベルに関係なく、多くのインド人達はパキスタンに対して悪いイメージ、ときには敵意さえも持っている。インド国内で、パキスタンからのイスラム過激派によるテロは頻繁におこるが、その逆はほとんどないので、インド人たちの気持ちもわからなくはない。ただ、そういったインド人たちのほとんどはパキスタンに行ったこともなく、現地人とつき合ったこともない人ばかりなので、自己の経験をもとにした悪意を持っているとは思えない。結局は他者に植え付けられた悪いイメージを鵜呑みにしているに過ぎないのだ。

いずれにしてもこういう現実なので、このフェイスブックのコメントのように、ときどき心あるインド人がパキスタンに対して好意的な意見を述べたりすると、それはパキスタン人たちにとっては相当喜ばしいことなのだろうと察するのは難しくない。

と、ここまで書いて、規模はまだ小さいものの、日本にも似たようなことが起こりつつあるなあと気づかされた。露骨に反中国や反韓国を唱える集会やネットへの書き込みだ。こうして中・韓人に敵意をむき出しにする彼らも、一体どれだけの彼らのことを理解したうえで反発しているのか怪しいものだと思う。結局は政治的思惑により、他者によってつくられたイメージに踊らされているだけなんじゃないだろうか。

いろいろと物議の多いフェイスブックだが、今回はうまくインド・パキスタン両国の架け橋となったと思う 。コメント欄のやりとりは読んでいて心温まるものだったし、国境をもたないソーシャルメディアが、わずかながらも両国の友好に一役買った、といったところか。