トランプ支持者は米議事堂内でどれほど暴走したのか――雑誌「ニューヨーカー」が襲撃現場撮影の動画公開

アメリカ上院本会議場を占拠したトランプ支持者たち(ニューヨーカーの動画画面から)

アメリカの雑誌「ニューヨーカー」の電子版は1月17日、トランプ大統領支持者による米連邦議会の議事堂襲撃の暴動現場を克明に記録した12分間の動画を公開した。

戦場ジャーナリストのルーク・モゲルソン氏(39)が6日に起きた歴史的な襲撃事件をスマートフォンで議事堂内外で撮影した。議事堂になだれ込んだ暴徒によるアメリカ民主主義の破壊行為の数々が生々しく動画に収められている。

暴徒と化したトランプ支持者たちは警察官に対し、「我々は、あなたたちのボスのトランプの意見に従っている」と大声で叫びながら、建物の中に侵入していった。

また、大勢の暴徒たちが「憲法を守れ」「自由を守れ」などとシュプレヒコールを上げ、議事堂の中に突入。数で圧倒された警官たちは為す術もなく立ち尽くしている様子も写っている。

「アンティファ(ANTIFA)なんかを恐れるのか?分かっているのか?アメリカが登場したんだぞ!」との叫び声も聞こえる。アンティファとは反権威主義や反人種差別を掲げる極左勢力で、議事堂に侵入したトランプ支持の白人至上主義や陰謀論を信奉する極右過激派と対峙している。

上半身裸のタトゥー姿で議事堂に入り、後に治安を乱した容疑などで訴追された「バッファロー男」、ジェイク・アンジェリことジェイコブ・アンソニー・チャンズリー容疑者(33)が上院本会議場で大声で奇声を上げているシーンも写されている。チャンズリー容疑者らが議長席の椅子に陣取り、記念撮影をしている際には、警官や他のトランプ支持者から「それは無礼に当たる」などと注意を受けている場面もある。

チャンズリー容疑者はまた、上院議長席で「正義が現れるのは時間の問題だ」と紙に書き残した。さらに他の暴徒らを前に「独裁者や共産主義者、グローバリスト(世界主義者)らに対し、『ここは我々の国だ。お前らの国ではない』というメッセージを発する機会を与えてくれたことに感謝したい」と述べていた。同容疑者は「トランプ大統領が悪魔崇拝者から地球を守る」などと訴えるQアノンを信奉し、様々なデモに参加していた。

このほか、暴徒たちは上院本会議場内で各議員の議席の机の中にあった資料をあさったり、写真を撮ったりしている。

さらに、議事堂外ではAP通信の機材を破壊したり、燃やしたり、暴徒たちは群集心理で破壊行為がエスカレートしていたこともうかがえる。

ニューヨーカー編集部は、この映像を本来掲載する予定はなかったが、今回の歴史的事件を克明に記録していることやモゲルソン記者の果敢な取材を称える意味で掲載に踏み切ったと説明している。

トランプ大統領から「死に物狂いで戦え」と煽られた過激な支持者は6日、選挙人の投票結果を確認していた連邦議会の議事堂を襲撃。対応にあたっていた警察官1人を含む合わせて5人が死亡した。

襲撃事件直後からネット上では、極左勢力のアンティファがトランプ支持者に偽装しているとの情報が拡散していた。しかし、ワシントン・ポスト紙によると、米連邦捜査局(FBI)はアンティファの暴動への関与を否定している。

ワシントンでは現在、バイデン次期大統領の20日の就任宣誓式を控え、州兵らが武装集団による妨害や抗議デモを警戒し、連邦議会議事堂周辺を厳戒態勢で警備している。

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