「南京大虐殺めぐる投稿で二重基準」中国の環球時報がツイッターを批判

中国政府は毎年12月13日に「南京事件」の追悼式典を開催している(写真:ロイター/アフロ)

中国共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」は12月14日付の記事で、「ツイッターが南京大虐殺関連の投稿を『あまりに陰惨』としてブロック(遮断)する一方、虐殺を否定する投稿を認めている」と指摘し、「ツイッターがダブルスタンダード(二重基準)を用いている」と批判した。

中国政府は13日、日中戦争中に旧日本軍が中国の南京で多くの市民を殺害したなどとされる「南京事件」の追悼式典を開いた。中国はこの日を「南京事件」の国家追悼日とし、今年はその7回目となった。

中国は「南京大虐殺」と呼ぶ一方、日本メディアは「南京事件」と呼称している。

環球時報は14日付の記事で、「大虐殺についての写真や動画を投稿した多くのユーザーは、『あまりに血なまぐさい』内容との理由で、アカウントが凍結されたり、投稿が削除されたりしている」と指摘した。

しかし、ツイッターはルールとして、「過度にグロテスクな、暴力を共有する、または成人向けコンテンツを含む画像/動画を投稿することはできません」と定めている。

さらに環球時報は、「ツイッターが日本の数多くの右翼による『南京大虐殺の嘘論』や『南京大虐殺被害者数の嘘論』、そして、他の右派の意見の投稿を認めている」と批判した。

そのうえで、「『(中国による)南京大虐殺の画像や被害者数のでっち上げ』を批判した自民党の山田宏参議院議員をはじめとする右派の発言は、ツイッターでは規制されておらず、多くの『いいね』をもらっている」と指摘した。

「ツイッターが南京大虐殺をめぐる投稿で二重基準を用いている」と批判した中国の環球時報の記事(筆者が画面をキャプチャー)
「ツイッターが南京大虐殺をめぐる投稿で二重基準を用いている」と批判した中国の環球時報の記事(筆者が画面をキャプチャー)

●時事通信の報道も批判

日本の時事通信は13日付の記事で、今年の追悼式典について報道した。その中で「南京事件」と呼称し、「新型コロナウイルスの流行や、人権問題などに対する西側諸国の批判の高まりを念頭に、愛国心の高揚を呼び掛ける式典となった」と報じた。この報道について、環球時報の記事は「30万人の大虐殺被害者への追悼に屈辱を与えるものだ」と批判した。

習近平国家主席ら中国共産党の最高指導部メンバーは2018年から3年連続で追悼式典への出席を見送った。菅政権との関係構築や習氏の訪日を見据えて、日中関係に配慮したとみられる。

南京を陥落させた旧日本軍は83年前の1937年12月13日、一般市民や捕虜を殺害するなどした。中国は事件の犠牲者が30万人に上るとの立場を一貫して示している。これに対し、日中両国の有識者による歴史共同研究委員会の報告書(2010年公表)で、日本側は「20万人を上限として、4万人、2万人など様々な推計がある」と記した。

国連教育科学文化機関(ユネスコ)は2015年10月、中国政府側が申請した南京大虐殺関連の資料を世界の記憶(世界記憶遺産)に登録した。これに対し、日本政府は「日中間で見解の相違があるにもかかわらず、中国の一方的な主張に基づき申請され、問題だ」などとして抗議した。

(関連記事)

「日本はもはや中国にとって大きな脅威ではない」中国の環球時報が社説で論評

「中国が世界最大の海軍を保有」米国防総省が指摘

コロナ禍の1~8月、中国公船の尖閣接近は過去最多――日本は中国にレッドラインを示さなくてもいいのか

ミサイル防衛に関する新たな安全保障政策、安倍首相談話の3つのポイント――米側の懸念払しょくが狙いか

防衛白書が指摘した、中国による宣伝工作の「偽情報の流布」とはいったい何か

新型コロナ禍の2020年1~4月、中国公船の尖閣諸島接近は過去最多