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眞子さま複雑性PTSD診断へ…皇族も追い詰める誹謗中傷の恐ろしさと対策の現状、大切な被害者の心のケア

高橋暁子成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト
(写真:イメージマート)

秋篠宮家の長女、眞子さまが婚約者の小室圭さんと10月26日にご結婚をされることを発表された。同時に、眞子さまが誹謗中傷で複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されたことも明らかとなった。

毎日新聞によると、「ご結婚に関する、ご自身とご家族及びお相手とお相手のご家族に対する誹謗中傷と感じられるできごとを、長期にわたり反復的に体験された結果」、複雑性PTSDになられたという。

「複雑性PTSD」は、言葉の暴力、たとえば、ネット上の攻撃、いじめ、ハラスメントなどでも起こります。こういったトラウマを体験すると、どなたでも「複雑性PTSD」になる可能性があります。

誹謗中傷は、SNSやメディア報道、ヤフコメなどにも見られるようだ。

残念ながら皇族以外にも多くの方が誹謗中傷のターゲットとなり、深く傷ついている。誹謗中傷の被害と対策の現状と、大切な被害者ケアについて考えたい。

長期的ないじめでも複雑性PTSDの可能性

PTSDとは、「死の危険に直面した後、その体験の記憶が自分の意志とは関係なくフラッシュバックのように思い出されたり、悪夢に見たりすることが続き、不安や緊張が高まったり、辛さのあまり現実感がなくなったりする状態」を指す。

PTSDは、単純性PTSDと複雑性PTSDに分類される。単純性PTSDは一度のみのトラウマによるもので、震災や交通事故などの後に心の傷として残るものを指す。

一方、複雑性PTSDは、長期間、繰り返し遭遇した場合を指し、DVやいじめ、児童虐待などを受けたときに見られるものを指す。眞子さまも、長期間に渡り誹謗中傷を受け続けたことで、このような状態になってしまったと考えられる。

複雑性PTSDの症状は、感情調整の障がい、身体愁訴、無力感、絶望を感じるなど。人と会うのが怖い、人のことが信じられなくなる、自己肯定ができなくなるなどの症状が起こるのだ。

最近も、オリンピック選手等への誹謗中傷が続いたことは記憶に新しい。卓球の水谷隼選手の他、体操の橋本大輝選手も「SNSで誹謗中傷とみられるメッセージがある」と投稿。体操の村上茉愛選手は、SNS上の中傷について「見たくなくても見てしまう、すごく残念で悲しい」と試合後のインタビューで応えている。

残念ながら、匿名の無責任な書き込みによって、精神的に傷つく人は後をたたない。匿名での誹謗中傷は、自らは安全圏にいながら、相手を深く傷つける非人道的行為だ。我々は木村花さんが誹謗中傷によって追い詰められてしまった悲劇を忘れてはならないし、誹謗中傷を少しでも減らし、同時に被害者も救済していく必要がある。

誹謗中傷対策の現状と大切な被害者の心のケア

誹謗中傷対策として、改正プロバイダー責任制限法、「侮辱罪」の厳罰化などが行われている。

改正プロバイダー責任制限法は、現状での発信者情報開示制度は、権利侵害された被害者が手続きに対して時間とコストがかかりすぎる点を改善したものとなっている。インターネット上で匿名で誹謗中傷する相手を特定しやすくするため、現行では2回必要な手続きを簡潔化し、1回の手続きで投稿者の情報開示を容易かつスピーディにする新たな裁判手続きを創設するなどしている。

また現状の匿名での誹謗中傷は「名誉毀損罪」や「侮辱罪」などが適用されることが多いが、そのうち侮辱罪は中でも公訴時効が1年と短く、「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」と軽すぎることが問題視された。そこで、「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を追加する案を議論中であり、公訴時効も3年に延長される見込みとなっている。

このような対策は、誹謗中傷への抑止力になることが期待できるだろう。対策により誹謗中傷が少しでも減り、被害者が減ることを願っている。

しかし一方、今も誹謗中傷は続いており、被害者が生まれ続けている現状がある。既に起きた誹謗中傷における被害者の心のケアと救済を同時に行っていく必要があるのだ。

PTSDからの回復には、「トラウマ記憶は過去のことであり、思い出しても今の自分が被害を受けるわけではないこと」を実感させることが大切とされている。つまり、誹謗中傷被害者が周りにいたら、心を落ち着かせ安心させてあげることが大切だ。信頼できる人がいると思えることで、心が回復できるので、ぜひ相談に乗ったり、相談機関の存在を伝えていただけると幸いだ。

悩みを聞いてほしい場合の相談機関

心の健康相談統一ダイヤル:0570-064-556

よりそいホットライン:0120-279-338/0120-279-226(岩手県・宮城県・福島県からかける場合)

その他相談機関はニーズごとにこちらで調べて相談するのがおすすめです。

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。テレビ・ラジオ・雑誌等での解説等も行っている。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)等著作多数。教育出版令和3年度中学校国語の教科書にコラム掲載中。

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