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なぜ?危険チャレンジ禁止へ、YouTube規制強化の理由

高橋暁子成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

YouTubeにおける規制が強化されている。2019年1月16日にガイドラインが改訂され、新たな規制が発表されたのだ。なぜ今、規制が強化されたのか。規制内容と理由、影響までを見ていきたい。

危険なチャレンジといたずらが規制対象に

規制は主に3つ。

1:ガイドラインに違反したサムネイル

YouTubeでは、動画を見たくなるようなカスタマイズしたサムネイルを設定することができる。目を引くようなサムネイルにした方が視聴率が伸びるため、ポルノや過激行為などをサムネイルに設定するなど、過激化する傾向にあった。

今回、このサムネイルが問題視され、規制されることになった。動画自体が違反していなくても、サムネイルが違反していれば違反に当たることになる。

2:違反サイトへのリンク

ポルノ、不正ソフトウェア、スパムを含むサイトなど、違反サイトへリンクすることが規制された。

3:危険なチャレンジやいたずら動画

重大な危険や死亡を招くおそれのあるチャレンジや、被害者が過度の身体的危険を感じたり、子どもに深刻な精神的苦痛を与えたりするおそれのあるいたずらが禁止された。

影響が大きい危険なチャレンジ・いたずら動画

この中で特に影響が大きいのが、3番目の危険なチャレンジやいたずら動画だろう。

YouTubeが問題であると名指しであげているのが、「タイドポッドチャレンジ」と「ファイヤーチャレンジ」だ。

Tide(タイド)とはP&G社の洗剤入りのジェルボールのこと。タイドポッドチャレンジとは、これをかじる動画を撮影、SNSに投稿する遊びだ。洗剤入りジェルボールがカラフルでゼリーのように見えるために始まったと考えられる。動画では、トライした多くの若者たちが嘔吐している。

ファイヤーチャレンジとは、身体に可燃性の液体をかけ火をつけるというチャレンジだ。12歳の少女がYouTubeでこの動画を見て真似をした事件が起きている。可燃性のローションを塗って火をつけたところ、身体の約半分に火傷を負い、現在、人工呼吸器に繋がれているという。どちらも昨年に起きたことだ。

現在も、昨年末にNetflixで公開されたオリジナル動画「Bird Box」を真似して、目隠ししたまま危険行為にチャレンジする「BirdBoxChallenge」が全米で流行中だ。今年1月、ユタ州の17歳の少女が、ニット帽で目隠しして車を運転して事故を起こしている。早速YouTubeでは、「BirdBoxChallenge」関連の問題ある動画を削除済みだ。

SNSの流行と共に、ユーザーは承認欲求に振り回されるようになった。ただ投稿していたのではほとんど見てもらえないため、注目を集めるために行動が過激化するようになってきたのだ。その結果が、このような過激なチャレンジ・いたずら動画の流行だろう。

命の危険につながるチャレンジが次々と流行し、実際に事故につながっているため、とうとう規制強化に踏み切ったと考えられる。実際、ファイヤーチャレンジは4年ほど前から流行していたが、そのような動画が削除されなかったため、少女が見て真似をして今回の事故につながっている。規制強化により動画が削除されることで、このような悲劇は減らすことができるだろう。

日本でも小学生など低年齢の子どもたちにYouTube、特にYouTuber動画は人気が高い。このような危険なチャレンジを子どもたちが見て真似するリスクを抑えるためにも、今回の規制強化は歓迎したい。

既存人気チャンネルへの影響は大きい

なお、サムネイル違反の場合は警告を受け、複数回の違反警告でカスタムサムネイル権限を失う。90日以内に3回違反警告を受けるとアカウント停止となる。

違反サイトへリンクした場合も、やはり違反警告を受ける。複数回の違反警告でカスタムサムネイル権限を失い、90日以内に3回違反警告を受けるとアカウント停止となるのは同様だ。

発表日より2ヶ月間、違反した動画などは削除されるが、チャンネルへの違反警告などはないという。これより前に投稿された動画は削除対象となるが、違反警告はされない。

昨年12月に「利回り84%の投資案件」として不審な動画を投稿していた人気YouTuberラファエルさんのチャンネルが、アカウント停止されて話題となっている。チャンネル登録者数200万人を超える人気チャンネルだったが、ガイドラインに違反したためとされる。ラファエルさんは停止後、今後は過激な行為などを慎むとする謝罪動画を投稿しており、規制強化の影響と考えられる。

海外大手動画などでも、該当する動画が削除され始めている。今回の規制強化の影響は間違いなく大きく、今後の動向は注目だ。

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。テレビ・ラジオ・雑誌等での解説等も行っている。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)等著作多数。教育出版令和3年度中学校国語の教科書にコラム掲載中。

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