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有名格闘家を心酔する「杉内2世」の鷹・育成新人が“プロ初完投”。無四球おまけ付きの135球

田尻耕太郎スポーツライター
完投勝利した三浦投手

 7月16日、福岡ソフトバンクホークス三軍は、四国アイランドリーグplusとの定期交流戦で愛媛マンダリンパイレーツとタマホームスタジアム筑後(以下タマスタ筑後)で対戦した。

グラシアルが復帰後初の左翼守備

【7月16日 定期交流戦 タマスタ筑後 328人】

愛媛     `000001000 1

ソフトバンク `00200001× 3

<バッテリー>

【MP】玉置、河野、内海――上甲

【H】三浦――加藤晴

<本塁打>

なし

<スタメン>

【MP】8漆原 4大城 5堀川 6仁木 D竹次 2上甲 7大村 3矢野 9杉野

【H】6藤野 9舟越 8仲田 7グラシアル D山本 5三代 4勝連 3佐久間 2加藤晴

4番左翼で出場したグラシアル
4番左翼で出場したグラシアル

<戦評>

 ソフトバンクは三回に三代の2点適時打で先制。八回には舟越の適時内野安打で貴重な追加点を挙げた。

 前日実戦復帰していたグラシアルは、この日は初めて左翼守備に就いた。初回に左翼線寄りのフライを好捕。打撃は遊ゴロ、四球、二ゴロで2打数無安打1四球。五回終了までで交代した。(了)

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憧れは朝倉未来!? 育成4位・三浦瑞樹

 背番号140ルーキー左腕の三浦瑞樹投手が無四球での1失点完投勝利を挙げた。

「ホークスに入って初めて9イニングを投げました。大学(東北福祉大)の時も結構完投していたし、元々投げていくうちによくなるタイプ。今日も三回あたりからよくなっていきました」

 直球は140キロ前後だったが、打者を威圧する力がボールに乗り移っていた。緩急もしっかり使いこなして7三振を奪った。

 三浦本人の憧れは今永昇太(DeNA)だというが、その投球スタイルはかつての鷹の左腕エース・杉内俊哉(現巨人コーチ)を彷彿とさせる。

「打たれないピッチャーはいない」

 ただ、もっと心酔しているのは総合格闘家の朝倉未来だという。「自由を大切にするというか、生きざまが好き」とユーチューブ動画などを頻繁に見ていると明かしてくれた。

 また、この日は8安打を浴びながら粘り切った。これまでの登板を振り返っても、ヒットは浴びても失点はしないというタイプの投手だ。「打たれないピッチャーはいないです。その中で点をやらないことが一番大事」。東浜巨が提唱する“10安打完封理論”とよく似ている。

 最近では目一杯速い球を投げ込むことだけに目が行きがちな若手投手も多い中、投手の真髄を見せてくれる楽しみな存在になりそうだ。そして、負けん気の強い性格もまた、杉内にそっくりだ。

※写真はすべて筆者撮影

三浦瑞樹(みうら・みずき)

 1999年9月2日生まれ、22歳。神奈川県出身。左投左打。身長173cm、体重77kg。A型。小学校時代は大和中央クラブ、中学校時代は横浜瀬谷ボーイズでプレー。盛岡大附属高校から東北福祉大学を経て2021年育成ドラフト4位で入団。背番号140。

 ソフトバンクの松本裕樹は中・高の先輩。そして津森宥紀が大学の先輩にあたる。

 高2から3季連続で甲子園に出場。高3では春夏ともにベスト8に進出した。好きな食べ物は焼肉。嫌いな食べ物はトマト。好きな言葉は気感動。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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