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ホリエモン雨らめしや~。北九州球団、開幕戦は無念中止も西岡剛監督「雨降って地固まる」

田尻耕太郎スポーツライター
始球式で投球する堀江貴文氏

【ヤマエ久野 九州アジアリーグ 北九州×火の国=19日、北九州市民球場】

 ずぶ濡れの中で始球式は行われた。

 新球団・福岡北九州フェニックスが3月19日、北九州市民球場で行われるヤマエ久野 九州アジアリーグの火の国サラマンダーズ戦でいよいよ初陣を迎えるはずだった。

国歌独唱を行った175RのSHOGO
国歌独唱を行った175RのSHOGO

 客席にも開場からファンが続々と詰めかけ、ノリの良いDJの音楽の中で傘をさしたり雨ガッパを羽織ったりしてプレーボールを待った。

 けれども、プレーボール予定の13時が近づくにつれて雨はどんどん強まった。

 12時20分過ぎから開幕セレモニーを強行。両チームの首脳陣、選手がベンチ前に整列し、まずグラウンドでは人気ロックバンドグループ「175R」のSHOGOが国歌独唱を行った。

西岡剛監督は審判役を務めた
西岡剛監督は審判役を務めた

 その後、このセレモニーの目玉ともいえるセレモニアルピッチが行われた。マウンドに向かったのは北九州球団設立者のホリエモンこと実業家の堀江貴文氏だ。ぬかるむグラウンドで足を滑らせ、雨に打たれながらの投球ではあったが、17年越しとなる「フェニックス球団」の第一歩の夢をここで叶えた。

 だが、残念ながらそのすぐ後に、雨天中止が発表された。

 北九州の「スキッパー」こと西岡剛選手兼任監督は「マジで残念です」とがっかり。

「昨日の夜から緊張していました。今までWBCやオリンピックも経験したし、プロ野球で長くやって来たけど、やっぱり開幕って緊張するんです。僕もそうだけど、選手はもっと(試合を)やりたかったと思う。でも、自然には勝てない。これも野球です」

雨の中待ったが、無念の中止。一番右が西岡監督
雨の中待ったが、無念の中止。一番右が西岡監督

 無念さをにじませながらも、ただ西岡監督は明るかった。

「正直、今日の開幕戦を球団は満足に宣伝できたわけじゃなかったし、僕自身も北九州に引っ越してきて色々な方とお話しするんですが、フェニックスの話題を振っても『あー、そうなの』と反応が薄い。あまり浸透していないのかなと思ったんです。去年まで栃木ゴールデンブレーブスというやはり独立リーグの球団でプレーしていましたが、お客さんは300人くらい来てくれれば『今日は来てくれたな』と思っていた。北九州の開幕戦、こんなに寒くて、そして雨の中だったのに多分1000人近く来てくれていたと思います。スタンドの光景に僕は本当に感激しました」

 水入りとなってしまった開幕戦だが、20日(日)に仕切り直しだ。「もう切り替えは出来ています」と西岡監督。

「雨降って地固まるという言葉がありますけど、これでよりチーム力も上げていきたい。まだまだ発展途上のチームです。いつ、どうなるか分からないのが独立リーグ。ファンのみなさんはもちろん、たくさんの企業の方たちも応援してもらっているおかげで試合の運営もできる。そういう方たちにも感謝をしないといけない。もっともっと応援していただけるようなチームを作らないといけないと思います」

 ところで、堀江氏の取材は行われなかった。数日前から各メディアが球団に依頼するもNG。せめて球団からの感想コメントをとお願いするも、それも叶わなかった。堀江氏はこれまでの会見などで「球団のPRをしていく」と話していたはず。堀江氏が首脳陣やチームの前で出しゃばることを遠慮したとも考えられるが、北九州球団の認知度向上を図るのならば、球団は少なくともコメント発表くらいの対応はすべきだったのではなかろうか。

追記・堀江氏本人が「取材拒否をした事実はない」とTwitterでコメントしており、文中の表現を一部修正しました。

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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