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ホークス武田翔太の「5時45分に曲がるカーブ」が復活だ!キャンプA組スタートも歓迎

田尻耕太郎スポーツライター
筑後で自主トレした武田。大竹耕とキャッチボールをした(筆者撮影)

 ソフトバンクの武田翔太投手が25日、今年初めてHAWKSベースボールパーク筑後で自主トレを行った。年明けからは故郷の宮崎で調整を行い、キャンプ地でもある生目の杜運動公園のブルペンで投球練習も行ってきた。この日も筑後でブルペン入りして約20球を投げ込んだ。

 今季がプロ11年目。2015年に13勝、2016年に14勝を挙げて以降は伸び悩んでいる。完全復活へ向けて、武田は「原点回帰」を求めた。

魔球カーブが復活

 それがカーブの修正だ。

 武田のカーブはかねてより独特と表現されるが、その秘密は軌道にあった。右投手の場合、カーブといえば右打者の外角方向へ曲がりながら落ちていくのが一般的だ。しかし、かつての武田の場合は逆に食い込むように曲がっていた。

「プロ1年目とか、そうでした。(3年目に)右肩を痛めるまでは」

 もともと真上から投げ下ろすようなフォームだったのが、右肩を痛めたことで少し下がっていた。すると、独特のカーブが投げられなくなっていた。

「去年とか一昨年のカーブは、時計で言えば(時針の)7時の方向に曲がっていた。以前もそうだし、今は5時45分くらい。良い感じで投げられていると思います」

他に投げる投手は見たことない

 自身のフォームチェックのポイントである左足を踏み込む際の左股関節の内旋を意識して、理想の投げ方に戻していった。「それでも腕の振りクセがついていたので」と真上から叩くイメージを取り戻すためにバドミントンのラケットを使ってのシャドーピッチングも繰り返した。「道具を使った方が意識付けできますから」。

 右方向へ落ちて曲がるカーブ。武田も「他に投げている投手は見たことがない」という。まさに“魔球”である。

キャンプA組で競争

 2月1日からのキャンプはA組に入った。ただ、本来は主力組とされるA組だが、藤本ホークスにおいては若手主体の競争枠との意味合いが強い。今年は例年に比べて練習メニューが前倒しされ、第1クールから打者相手のフリー打撃登板がA組投手には課せられている。第2クールにはシート打撃、第3クールには早くも紅白戦が始まる流れだ。

 武田は「僕はまだ若手ですから、気持ちは」とおどけながらも、「僕はそっち(A組)の方がむしろいい。自己調整だとちょっと緩んじゃうし、せっかく自主トレで引き締めたので、そっちの方がいいかな」と大歓迎だった。

 魔球カーブを操っていたプロ1年目は8勝1敗、防御率1.07という成績を残した。誰もが将来のエースを信じて疑わなかった右腕が、輝きを取り戻す準備を整えた。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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