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4戦3発のパンチ力! 盗塁王レースはトップに1差! ホークス佐藤直樹を今こそ一軍に推したい理由

田尻耕太郎スポーツライター
打って走って存在感を発揮。守備も強肩が持ち味(筆者撮影)

【6月22日 ウエスタン・リーグ ソフトバンク6-0阪神 タマスタ筑後】

 打球が力強い。ドラフト1位で入団して2年目の佐藤直樹外野手が見違えるようなバッティングを見せている。

 この日は「2番センター」で出場。初回無死二塁の第1打席は阪神・牧の144キロのストレートを右中間の深くに弾き返した。適時二塁打(三塁を狙ってタッチアウト)で先制点を飛び込んだ。

 そして五回1死一塁での第3打席だ。今度は牧のカットボールを完ぺきに仕留めた。打球は左中間フェンスを越えてその向こうの防球ネットを揺らした。

小久保ヘッドの助言にアレンジ加え打撃好調

 打撃好調ぶりが目立っている。この日は4打数2安打3打点1本塁打。遡ると20日の広島戦(由宇)が4打数1安打2盗塁で、19日の同戦(マツダ)が5打数3安打2打点1本塁打。そして13日の阪神戦(甲子園)は4打数1安打3打点1本塁打1盗塁だ。

 4試合連続安打。この間の成績が17打数7安打8打点、そして3本塁打で3盗塁だ。

 佐藤直は4月29日の日本ハム戦(PayPayドーム)で代走出場して一軍デビューした。5月1日のオリックス戦(京セラドーム)でプロ初打席に立ったが、K―鈴木の前に空振り三振に倒れた。一軍では14試合に出場したが、打席はその1度だけ。5月17日に登録抹消となり、ファームに戻ってきた。

 それ以降、見つめ直したのは課題と言われ続ける打撃だった。

 今春の宮崎キャンプでは小久保裕紀ヘッドコーチから右膝の使い方の悪癖を指摘され、猛練習で修正に取り組んだ。一時は改善も見られたが、試合ではなかなか結果が出ずに頭打ちとなっていた。

 「右膝の部分だけを意識してもダメなのかもしれないと思い、いろいろなことを試しました」

 たどり着いたのは左肩の意識だ。打ちにいくときに大きく開いてしまうクセがあり、それによってバットが遠回りしていた。

 「練習ではとにかく、左肩を開かない意識で打つようにしています。実際は全く開かないで打つなんて無理ですけど、意識することを大切にしています」

 その方法がハマった。結果的に右膝の使い方も自然とよくなったという。

 スイングしに行った際に力が逃げないから打球が強くなる。4試合で3本塁打に加えて、二塁打も2本出ている。

周東不在の一軍、足のスペシャリストは需要あり

 また、佐藤直は昨季のウエスタン・リーグの盗塁王(20盗塁)だ。今季もここまで11盗塁を決めており、リーグトップに1差と迫っている。ただ、昨季は盗塁成功率10割で話題になったが、今季はすでに5つ失敗している。

 「普通にアウトになった場面もありましたが、昨年まではやっていなかった新しい試みにもチャレンジしています。たとえばディレード・スチールとか。結果的に失敗しましたが、やってみないと分からないこともあるので。二盗だけでなく、三盗も一発で決められるように精度を高めていきたいです」

 ソフトバンクの一軍は21日、ZOZOマリンスタジアムの千葉ロッテ戦で8試合ぶりに勝利した。この日は6点を奪ったものの、野手強化はまだまだ課題だ。さらに現在は周東佑京の離脱によって足のスペシャリストが不在となっており、戦力分布図的にも佐藤直の需要は十分にあると考えられる。打撃力も兼ね備えられれば、もはや「鬼に金棒」だ。

 4月下旬の昇格時よりも間違いなく大きなチャンスの中にいる。今、絶好のアピール時だ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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