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内川聖一、最後は笑顔でホークスに別れ。そして若鷹に伝えたこと

田尻耕太郎スポーツライター
球場入りする際の内川。ファンの声に笑顔で応えていた(筆者撮影)

ウエスタン最終戦も鷹が勝利

 11月1日、福岡ソフトバンクホークス二軍は、タマホームスタジアム筑後で行われたウエスタン・リーグ公式戦で阪神タイガース二軍と対戦した。

【11月1日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 1550人(チケット完売)】

阪神     000100000 1

ソフトバンク 01010300× 5

<バッテリー>

【T】●西純(4勝3敗)、守屋、小林――藤田、長坂

【H】スチュワートJr.、津森、古谷、◯奥村(4勝1敗)、大関、二保、松田遼、加治屋、田中――谷川原、堀内

<本塁打>

【H】高田1号

<スタメン>

【T】8江越 3荒木 4板山 D井上 7高山 9小野寺 5藤谷 2藤田 6遠藤

【H】8佐藤 4三森 3内川 Dデスパイネ 9上林 6高田 5リチャード 2谷川原 7水谷

<戦評>

 今季最終戦も若鷹らしい野球で勝った。優勝決定日から4連勝で今季を締めくくった。

 二回裏に高田が1号ソロを放って先制した。高田はこの日3打数3安打で、今カード初戦の4安打に続く活躍だった。追いつかれた直後の四回裏には谷川原が勝ち越しの中前適時打。六回裏は打線がつながりリチャードの犠飛と三森の2点適時二塁打で追加点を挙げた。

 投手陣は1人1回のリレー。4番手の奥村が4勝目を挙げた。また、最終回に登板した田中は直球が156キロを計測した。(了)

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内川聖一はなぜ笑顔だったのか

 今季限りでソフトバンクを退団する見込みとなっている内川聖一内野手が“ラストゲーム”に臨んだ。

 3番ファーストでスタメン出場。守備では一回表から打球が飛んできて軽快にゴロをさばくと、スタンドからは大きな拍手が沸き起こった。その裏の第1打席は鋭い打球を放ったがセンターライナーに倒れ、三回裏の第2打席は三塁ゴロ。

 そして五回裏の第3打席はストレートの四球だった。バットを一度も振ることなく一塁へ歩くと、若手の野村が代走に送られて内川は交代。万雷の拍手がスタンド中からそそがれる中、内川はヘルメットをとって軽く一礼してファンの思いに応えた。

 試合が終わった後、マイクの前に立って挨拶も行った。2010年オフ、王貞治会長の「そのままの君で来てほしい」との言葉から始まったソフトバンクでの野球人生を回想して声を震わせるシーンはあったが、この日の内川はとにかく笑顔が目立っていた。

「いつもに比べれば、結果を出さなきゃいけないというプレッシャーからは解放されて、野球をやっているところを見せられればいいかなというのがこの日のスタートラインだったからかな」

若鷹へ「もっといい場所がプロにはある」

 球場入りする際にはファンへ手を振り、練習時も晴れやかな表情だった。

 試合直前の円陣では内川が輪の中心にいた。円陣としては異例の長さで若鷹たちに言葉を送り、その中身について内川が試合後に明かしてくれた。

「今ここにいる選手が頑張っていかないと、ホークスとして(伝統などが)つながっていかないと思うんです。ただ、彼らはここに今ここにいるけど、プロとして入ってきた以上はファームで活躍するのが目標ではないはず。(タマスタ筑後には)これだけのお客さんが入ってくれて、二軍でもプロ野球という感覚が味わえますけど、もっともっといい場所があるんです。そこを目指してもらわないと。というか、目指した方がいいと思ったんで、そういう話をさせてもらいました」

 ソフトバンクの10年間の思い出も振り返り、たくさんの感謝も口にした。「まだ終われない」。燃え尽きるまでやりたいというのが内川の美学だ。来季訪れるプロ21年目にまた新たな輝きを求めて、内川は次なる活躍の舞台へ旅立っていく。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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