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成功率10割のルーキーが二軍盗塁王へ、ホークス佐藤直樹「最低でも」をクリアの20盗塁。

田尻耕太郎スポーツライター
周東を脅かす存在となれ(筆者撮影)

【10月31日(土)ホークス14-0タイガース タマスタ筑後 観衆1550人】

デスパイネが3ラン含む6打点

(戦評)

 ソフトバンクが圧勝した。チームを退団することが決定的となっている内川聖一内野手が「4番指名打者」でスタメン出場し2打席に立った(結果は右飛と二直)。お役御免で代わって出場したのがデスパイネ。五回2アウト満塁の場面で代打として打席に立つと、フルカウントからセンター左へ低い打球を痛烈に弾き返した。シングルヒットだったが、走者がスタートを切っていたために走者一掃の3点タイムリーヒットとなった。さらにデスパイネは六回の第2打席で1号3ランを放ち、2打数2安打6打点と大活躍だった。

 投げては7投手で完封リレー。2番手の小澤が2勝目を挙げた。(了)

 

佐藤が二軍盗塁王へ。周東も1年目に獲得

構えを変えてから出塁が増えた(筆者撮影)
構えを変えてから出塁が増えた(筆者撮影)

 

 ドラ1ルーキーが有言実行の盗塁を決めた。

 1番センターでスタメン出場した佐藤直樹外野手が、いきなり初回に見せ場を作った。阪神先発の及川の不安定な制球を落ち着いて見定めて四球で一塁に歩いた。続く2番の谷川原の初球で二盗に成功。これで終わらない。今度は3番の上林の2球目に思い切ってスタートを切ると、三塁への盗塁も決めた。

 この二盗と三盗の2つを加えて、今季20盗塁とした。

 前日の30日、佐藤は「走れるタイミングがあれば行きたい。最低20盗塁はしたいです。だって十個代で盗塁王というのもちょっと……」と決意を口にしていた。しかも成功率10割が光る。「そこにはこだわっています」と胸を張る。

 その時点でも18盗塁はウエスタン・リーグ1位。2位の羽月(広島)が17個だった。2つ上乗せしたが差はわずか。しかし、羽月は現在一軍に昇格しており11月1日がファーム最終戦となるため、佐藤の盗塁王獲得は濃厚な状況だ。ソフトバンクのファーム盗塁王は2018年の周東佑京以来。その活躍ぶりはもはや説明不要だろう。周東のタイトルも入団1年目の事だった。

周東の「ライバル」となれる存在

 もちろん、俊足を武器としている佐藤にとって周東は、大きな目標でありライバルとなっていく存在だ。

「周東さんの盗塁のシーンはテレビなどでいつもチェックしています。次元が違い過ぎてエグイ(苦笑)。でも、一軍でああいう成績を残してなんぼです。僕も一軍のバッテリーのレベルでしっかり走れる選手にならないといけません」

 単純なスピードでは敵わないかもしれないが、スライディングの強さが佐藤の武器だ。盗塁は際どいタイミングになることが多い。セーフかアウトか。スライディングはそれを左右する一つの要因となる。大事な技術だ。

 そして、周東もよく口にするが、盗塁は塁に出ないことには始まらない。「打撃が課題」と常々口にする佐藤はウエスタン・リーグでのシーズン打率が.228と決して褒められた数字ではない。しかし、10月の月間成績だけを見れば、打率.310(71打数22安打)と健闘した。

 バットを顔の前で構えていたのを、トップに近いところに置くようになり打撃がスムーズになった。最初に試した由宇の試合で3安打を打ち手応えをつかんだという。

 ドラフト1位、しかも社会人からの入団で一軍出場なしは寂しく映るが、まだ22歳の若手だ。元々「素材型」とも言われていた。来季以降の一軍定着に期待がかかる。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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