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ホークス和田毅「環境で野球を諦めないでほしい」。球児へ新品用具提供の取り組み

田尻耕太郎スポーツライター
今季好調の和田毅投手(今年2月、筆者撮影)

現在チーム内トップタイの4勝

 12日のオリックス戦(PayPayドーム)で7回途中無失点と好投して今季4勝目を挙げた福岡ソフトバンクホークスの和田毅投手。

 今年度で40歳となる松坂世代(和田自身は2月生まれのためまだ39歳)の左腕が、チームでは千賀滉大と石川柊太と並ぶ数の白星をマークしている。

 今季がプロ18年目。一時は米球界にも身を置くなど、長く第一線で活躍し続ける和田は、若手の頃から社会貢献活動も熱心に行ってきた。その代表格はプロ3年目の2005年から現在も継続している、投球数などに応じてワクチンを寄付する取り組みだ。

 そして、近年はその他にも幅を広げて活動をしてきたが、今回はまた新たな取り組みを行う。

 それが、新品の野球用具寄贈プロジェクト「DREAM BRIDGE」だ。

プロジェクト発足に込めた思い

 近年言われる野球人口の減少は、野球界が抱える大きな課題でありその課題の解決に尽力したいというプロ野球選手がたくさんいる。もちろん、和田もその一人だ。

 また、アメリカでは「スポーツを行う機会を提供することにより、少年少女を正しい道へ導くことができる」ことがデータ上でも証明されており、日本でも同様にスポーツ人口を増やすことが、「地域の発展や活性化」はもちろんのこと、「地域の保安や子どもたちの健全な育成」にも役立つと考えることもできる。

「1人でも多くの子どもたちに野球をしてほしいと思うのは、僕は野球選手なので当然です」

 ただ、世の中においては家庭の事情や経済的負担など、置かれた環境を理由に「競技を続けたい」「競技を始めたい」という思いを断念しなければならない子どもたちが少なからずいることも確かだ。

 そこで和田は、プロ野球選手・球団の慈善活動サポートなどを行っている「NPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーション」(BLF)と手を取り合って、この新品野球用具寄贈プロジェクトを発足させた。BLFの岡田真理代表によれば、同プロジェクトに興味を持つプロ野球選手は多いようで、多数の選手が参加をして活動が広がっていくことに期待を寄せていた。

作文を書いて応募

 今回、野球用具が寄贈される対象者については、小学4年生から中学3年生までのひとり親家庭の球児(男女問わず)となっている。

 応募方法と選考については、応募の理由を200字程度にまとめるなどして8月20日までにエントリーすることが必要だ。その中から選考委員により選出されたものが二次審査に進み、今度は600~800字程度の作文(テーマ:野球を通じて叶えたい夢)を9月末までに提出してもらう。

「作文と聞いて躊躇する子どもがいるかもしれないけど、文章力を見るわけではないですし、野球の上手さも関係ありません。未経験者でも野球を始めたい気持ちがあるのならば大歓迎です」(和田投手)

 最終的に1名を選出。「世の中の情勢などを判断しながらになりますが、可能ならば是非」と和田投手から直接、野球用品が贈られることになる。

 和田は「僕自身も、子どもの頃に買ってもらった野球道具は本当に大事に使いました」と思い返す。プロ野球選手が使用した野球用具やボールなどを贈る取り組みは多いが、新品にこだわったのは実際にプレーで使用してもらいたいし、それを手にした時の喜びを感じてもらいたかったり、物を大事にする心も養ってほしかったりという和田自身の思いが込められている。

 一次審査の締め切りが今月20日と迫っているので、我こそはと思った少年少女は是非行動に移してみてはいかがだろうか。

参考リンク先→「NPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーション」

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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