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105日ぶり登板のホークス田中正義。「右肩大丈夫」150キロ復帰!

田尻耕太郎スポーツライター
2月20日以来のマウンドでも150キロ。やはりただ者ではない(筆者撮影)

納得の150キロ「体幹主導で」

 右肩違和感で実戦から遠ざかっていた田中正義が、6月5日のウエスタン・リーグのオリックス戦(タマスタ筑後)で中継ぎ登板。春季キャンプ中だった2月20日の紅白戦以来、105日ぶりにマウンドに帰ってきた。

 六回から2番手で登板。最初の打者の3番・宗を直球で一飛。2人目の4番・頓宮には四球を与えたが、3球目にこの日最速150キロをマークしてファウルを打たせた。次打者で牽制悪送球があり失点のピンチを招いたが、根本を146キロ直球で見逃し三振。最後は西村を同じく146キロで右飛に仕留めた。持ち味の力強いストレートを投げ込んだ。

「頓宮選手に投げた150キロと、1つ前の球(148キロ)はいい感触の球を投げられました。右肩の違和感も、もうないです」

 少し真上からボールを離す投げ方に変わったようにも映ったが、「そこはあまり意識していない。骨盤というか体幹主導で、下半身を使って投げることを意識しています」と話した。

春季キャンプは順調だった

 5球団競合の末にドラフト1位でプロ入りした右腕だが、不本意な入団2年間だった。1年目も右肩不安で1軍登板なし。昨季はデビューを果たしたが、中継ぎでシーズン序盤に10試合に登板しただけで勝ち星はゼロ。多くの時間をファームで過ごした。

 3年目の正直へ。春季キャンプでは「いの一番」で打撃投手に登板するなど精力的にアピール。首脳陣からは「真っ直ぐの力強さが戻っている」と高評価も得ていた。しかしキャンプ終盤に右肩の張りを訴えて、福岡に戻るタイミングでリハビリ組行きとなり、4月にはインフルエンザに罹患して調整が遅れていた。

背水の3年目も、自信を胸に臨めば

 この日の復帰戦は1イニングのみの登板。被安打0で無失点と好投した一方で与四球1と牽制悪送球という課題も出た。「ストレートももっと低めに。右打者へのスライダーも、ですね。自分にとっては投げられたので良い一日だった。だけど、場数を積み重ねていかないといけない。早くしないと、今シーズンも終わっちゃうので」。

 キャンプ中から「もう後がない」と繰り返し、背水の思いで2019年を戦っている。ただ変な焦りは感じない。報道陣をはじめ周囲と接する時の表情などは昨年までに比べていい意味で心の余裕を感じることが出来る。無限の可能性を秘める背番号25の剛腕の才能開花は誰もが期待するところ。自信を持って腕を振り抜けば、その道は必ず拓けるはずだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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