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防御率0点台。輝き取り戻したホークス高橋純平が語る、過去と現在

田尻耕太郎スポーツライター
かつて好調時だった頃のフォームに戻った(筆者撮影)

和田毅が小園に“1号”を被弾

4月17日、福岡ソフトバンクホークスの2軍はウエスタン・リーグで広島カープ2軍と対戦した。

【4月17日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 1,568人】

広島     202031000 8

ソフトバンク 000101001 3

<バッテリー>

【C】○ケムナ(1勝0敗)、藤井皓、中田、今村――坂倉、白濱

【H】●和田(0勝1敗)、渡邉雄、野澤、高橋純、笠谷――九鬼

<本塁打>

【C】メヒア7号、小園1号

<戦評>

ソフトバンクの連勝が3で止まった。先発した和田の調子が今一つだった。初回にメヒアに先制2ランを浴びると、3回にはルーキー小園に公式戦プロ1号を献上するなど、予定の4イニングを前に3回4失点で降板した。左肩痛から実戦復帰して3戦目。前日練習では好調を口にしていたが、この日はマウンド上で何度も首を傾げていた。

リリーフ陣もピリッとしない中、4番手の高橋純は1回を投げて3者連続三振の好投。5番手の笠谷も走者は背負ったが、そこから2者連続三振を奪って無失点で切り抜けた。

打線は真砂が2打点を挙げたが、つながりを欠いた。前日4打数4安打だった田城は4打数2安打。規定打席に到達し、打率3割6分5厘でリーグ2位に躍り出た。(了)

高橋純平、病み上がりとは思えぬ快投

 防御率0点台。病み上がりとはいえ、やはり次元が違った。高橋純平が8回から登板し、カープ打線から3者連続三振を奪う気持ちのいいピッチングを見せた。

 今季好調だったが4月上旬、チーム内に蔓延したインフルエンザに高橋純もやられた。10日に練習に復帰し、この日がチーム合流後最初の登板だった。

 いきなり1球目に149キロ。「若田部コーチからは『休み肩で球が上ずるから、球速は意識せずに低めに投げろ』と言われていました」と試合後に振り返ったが、やはり登板間隔が開いたことで体が軽かったようだ。ただ、コントロールが乱れる悪癖はもう過去の姿だ。その後はコーチの指示通りに低めを突いた。ボールぎりぎりの直球がグンと伸びて、見逃しストライクを取った1球などは最高のボールだ。決め球に使ったフォークもキレが良かった。

小園を三振。その1球に成長を実感

 3人目にはこの日本塁打を放った小園と対戦した。簡単に追い込んだ3球目に「この球だけスピードを意識した」と右腕を振った。大台には届かない148キロの外角高めだったが、小園は空振り三振。このボールこそ、今年の高橋純が成長したと実感できる1球だった。

「昨年ならば、スピードを意識して思いっきり投げたらすっぽ抜けていた。外角高めにきっちり投げられることなんて全くできなかった」

 今季は高校時代からプロ入り当初辺りの好調時の投球フォームに戻すことを意識して練習を重ねてきた。去年は迷走ばかりのシーズンだったが、今季は自分で決めた一本道を真っ直ぐ歩んでいる。

「去年は自分自身と戦っていた。相手の打者が前にどんな打席だったとか、考えられなかった。今年は違います」

「ようやく元に戻った」本領はここから

 この日1回無失点に抑えたことで、今季防御率は0.56とさらに良化した。

「今はようやく元に戻った状態です。まだドラフト1位と評価してもらった頃の自分です。1軍で通用する技術があるか分からないし、何より経験がありません。1軍で投げたら最初は緊張して球が上ずるかもしれない。だから、今季は出来るだけ1軍に呼ばれるために、1軍予備軍の中に常に入っているようにしないといけない。そして防御率は1点台を目標にしています」

 マウンドでの姿、話す表情にも今は自信がみなぎっている。背番号47がヤフオクドームで躍動する姿を見られる日は、間違いなくそう遠くないはずだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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