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城所引退で「ダイエー戦士」が残り4名。最古参のFDHプレーヤーは?

田尻耕太郎スポーツライター
松中氏(左)もダイエー時代を知る当時のスター。中央が城所、右は福田(筆者撮影)

引退の城所「(同期の)明石には長くプレーを」

「自分の描いていたビジョンよりも早かった。いつかは来ることだけど…」

 11月30日、今季まで15年間ホークスひと筋でプレーした城所龍磨外野手が現役引退することを表明して会見を行った。

 まだ33歳。ここ2年は出場機会が減少していたとはいえ、持ち前の守備力と脚力はまだ錆びついておらず、「スペシャリスト」を欲する球団はどこかあるのではないかと思われていた。また、‘16年には交流戦MVP(打率.415、5本塁打、12打点、6盗塁)にも輝いた実力者である。

「自分の中で11月いっぱいで声がかからなければ現役を引退すると強く決めていた」

「必要とされないと、僕の思いだけでは野球が出来ないのがこの世界」

 プロ野球の厳しさを感じずにはいられない。

 引退会見の中で、城所はチームメイトへの思いを口にした。

「入団の時から一緒にやってきた明石(健志)と金子(圭輔)広報には連絡しました」

 城所は‘03年ドラフト2位で中京高校からプロ入りした。同期の1位は九州共立大学から入団の馬原孝浩。同じ高卒組が4位・明石健志(山梨学院大附属高)、5位・金子圭輔(志学館高)、6位・榎本敏孝(西淀川高、和製ペタジーニと期待も3年で退団)だった。

 ルーキーイヤーの‘04年、当時はまだ福岡ダイエーホークスだった。球界再編が巻き起こった年で、オフにホークスもまた「福岡ソフトバンクホークス」へと移り変わったのだった。彼らは1年だけだったが、ダイエーホークスのユニフォームを着てプレーをした。

「明石からは『お疲れ様』と。明石には頑張ってほしい。僕ら2人の思いも彼に託して、長くプレーしてほしいと思っています」

最古参は現オリックスのあの捕手

 福岡ソフトバンク誕生から今年が14年目のシーズンだった。現役で福岡ダイエーのユニフォームを着てプレーした経験のある選手も随分減った。

 城所の引退で、残りは4名となった。

 いまもホークスに残るのは前述の明石と和田毅(‘02年ドラフト)。

 寺原隼人(‘01年ドラフト)は今オフにソフトバンク退団となったが、11月27日にヤクルトが獲得したことが発表されて現役続行の望みがつながった。

 そして、最古参でダイエーに入団した選手。それは現オリックスの山崎勝己だ。‘00年ドラフト4位で報徳学園から入団。ダイエーのユニフォームを4年間着た。

 ダイエー時代は正捕手・城島健司というとてつもなく高い壁がありファーム暮らしだったが、ソフトバンクとなってからは徐々に出場機会を増やして‘06年からは2年連続で100試合以上出場を果たした。‘13年オフに国内FA権を行使してオリックスに移籍。今年36歳を迎え、すっかりベテランの域に達したが、今季は移籍後最多の81試合に出場して存在感を増してみせた。来季に向けては一部報道によれば球団から複数年契約が提示されているとも言われており、まだまだオリックスで欠かせない存在として活躍が見られそうだ。

 年齢でいえば明石が33歳でまだ働き盛り。和田も復活を目指して「年内にピッチングをしたい」と意気込んでおり、かつて「FDH」を身にまとったダイエー戦士たちの意地をまだまだ見せてほしいものだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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