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【12球団トライアウト】前ホークス城所龍磨は2安打1盗塁「まだ野球をやりたい」

田尻耕太郎スポーツライター
トライアウトの説明を聞く城所(中央)。左は吉村、右は西岡

2年前には交流戦でMVP

 15年間ホークス一筋でプレーしてきた男が、新天地を求めてトライアウトに臨んだ。

 城所龍磨外野手。

 守備と代走のスペシャリストとして長らくチームに貢献し、‘16年の交流戦では打率.415(首位打者)、5本塁打、12打点、6盗塁の大活躍でMVPにも輝いていた。

 しかし、‘17年は1軍2試合、今季も41試合の出場に終わっていた。日本シリーズでは40人枠入りを果たして歓喜のビールかけも味わったが、日本一決定翌日の11月4日に球団から来季契約を行わない旨を通達されていた。

 現役続行を目指して挑んだトライアウトは、奇しくも今季幾度となくプレーをしたタマホームスタジアム筑後で行われた。城所は誰よりも大きな声援を浴びながら全力でプレーをした。

「今は“就活中”ですね」

今年は48選手が参加した。何名に朗報が届くか
今年は48選手が参加した。何名に朗報が届くか

 打席には4度立ち、中飛(対戦投手・前日本ハム新垣)、見逃し三振(同・前ヤクルト久古)、四球その後二盗成功(同・前巨人篠原)、中前打(同・前ロッテ宮崎)、右前打(同・前オリックス佐藤)と2安打1盗塁を決めてみせた。

「幸いフェニックスリーグまで行かせてもらい、チームが日本シリーズにも出ていたので実戦に対する不安はありませんでした。思いを込めてプレーをした。ファンの人たちに届いてくれたならば」

 15年間も着続けたホークスのユニフォームと別れを告げることについて問われると、しばらく言葉が出てこなかった。

「15年間も強いホークスのユニフォームを着させてもらった。感謝しかない。最後にタマスタでプレーを出来て、ファンの皆さんに元気な姿を見せられてよかった」

 歓声のシャワーを全身で感じた。声が耳に届くたびに、「まだまだ野球をやりたい」という気持ちが強くなっていった。

「今はオファーを待つしかない。今日一日で僕の思いが伝わったか分からないけど、15年間必死にやってきた。それを見て頂き、声を掛けてくれる球団があればいいと思ってます」

 キドコロ待機中のフレーズに合わせて「今は就活中ですね」とリップサービスもしてくれた城所のもとに、朗報が舞い込むことを願わずにはいられない。

(※写真は筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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