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王貞治球団会長が2軍でマンツー指導!高校通算97発男に「スイングはいい」

田尻耕太郎スポーツライター
大きなジェスチャーも交えながらアドバイスを送った王会長(右)。背番号61が黒瀬

王会長、筑後で2軍と3軍の練習を視察

 19日、ソフトバンク王貞治会長がファーム本拠地のHAWKSベースボールパーク筑後を訪れ、2軍や3軍の練習を熱心に見て回った。

 この日、2軍はタマホームスタジアム筑後でのウエスタン・リーグで中日ドラゴンズと対戦。その試合に「6番ファースト」でスタメン出場した黒瀬健太内野手が、試合前練習でティー打撃をしているところに近づくと、身振り手振りを交えての打撃指導を行った。

 黒瀬は今季3年目。初芝橋本高校時代に通算97本塁打をマーク。将来の大砲候補と期待を受けてドラフト5位でソフトバンクに入団した。

 だが、ここまで1軍出場はなし。今季も持ち前の打撃力を生かせておらず、前日までの2軍成績は26打数2安打(.077)、0本塁打、1打点と振るわなかった。

「練習の感じで」とアドバイス

 それでも、ティー打撃をしていた黒瀬を見た王会長は「スイングはいい」と頷いた。一緒に眺めていた小川一夫2軍監督が「試合になると上半身に力が入ってしまうところがあるんですよ」と話すと、王会長は「練習の感じで、力を抜いて振れればいい」と仕草も交えながら言葉にも熱を帯びてきた。

 練習を終えた黒瀬に話を聞いた。

「先日も王会長が筑後に来られていて、その時も声をかけてもらいました。力を抜くこともそうだし、ボールの芯とバットの芯を結びつけるようなイメージでとも言ってもらえました」

 数字はまだ付いてこないものの、どん底の状態は脱しているという。

黒瀬「手応えを感じつつある」

「同じ三振でも、以前はワケも分からずにバットを振っていましたけど、今はボールが見えている。それで空振りするので変な話ですが、ボール球を振ることも減ってきているし、僕の中では少しずつ手応えを感じつつあるんです」

 3月のオープン戦時、王会長はヤフオクドームで連日のように上林誠知選手を熱血指導。その甲斐もあって、現在は打率.326をマークしてパ・リーグ打撃ランキングの6位に名前を連ねている。

 さらなる若鷹ブレイク候補として、王会長の目に留まった期待のスラッガー。この日の試合では3打数0安打1打点と振るわなかったが、王会長がいつも言うように「壁に自分からぶち当たって、壊していかないと」と、どんどん前のめりになって練習にも試合にも全力で打ちこんでほしい。

(写真は筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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