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ファーム守護神経由で復活へ! ソフトバンク二保が右腕をマン振り

田尻耕太郎スポーツライター
躍動感ある投球フォーム(筆者撮影)

古谷4回無失点も、4与四球に課題

3月18日、ソフトバンクはウエスタン・リーグで阪神と対戦した。

【3月18日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 2,559人】

阪神     000000000 0

ソフトバンク 00001010× 2

<バッテリー>

【T】●高橋遥(0勝1敗)、守屋、山本、伊藤和――長坂

【H】古谷、○野澤(1勝0敗)、渡邉雄、S二保(2セーブ)――九鬼

<本塁打>

なし

先発した古谷(筆者撮影)
先発した古谷(筆者撮影)

<戦評>

 ソフトバンクが完封リレーで勝利した。先発の古谷が4回、2番手野澤が3回を抑え、後続が1回ずつを零封した。4人で被安打は4本のみ。しかし、古谷が4四球を与え、野澤も3つ。前日に続いて若鷹たちの制球力に課題が見えた。

 打線では7番スタメンの釜元豪が目立った。5回先頭で三塁打。その後古澤勝吾のタイムリーで先制のホームを踏んだ。7回にも二塁打で出塁。それをきっかけに満塁とチャンスが拡がり1点を追加した。

 ソフトバンクは開幕カードを2勝1敗で勝ち越した。(了)

1軍昇格へ確認段階。中継ぎ実績ある二保旭

 二保旭が開幕戦に続き9回に抑えで登板。無失点で試合を締めくくり、2セーブ目を挙げた。

「もともとやったことのないポジションですが、あまり意識をせずに打者1人1人を抑えることを考えています。とはいえ、自分の中で『大事な場面だ』とプレッシャーや責任を感じながら準備をするようにしています。だけどマウンドに上がったら考えないように」

 1軍の中継ぎで大奮投したのは3年前になる。‘15年に44試合に登板。リーグ優勝と日本一に大きく貢献し、そのオフの契約更改では年俸4倍増(推定3000万円)を勝ちとった。

 しかし、翌年の春に右肘の痛みを訴えて4月に「トミー・ジョン手術」を受けた。昨年、実戦復帰をし、2軍戦で16試合登板、防御率2.00の成績を残したが、リハビリ明けで制限を設けた中での登板が続いたために1軍昇格を果たすことは出来なかった。

公式戦から「条件」が無くなった

「今年は肘に変な痛みや張りを感じたことはない。先日の教育リーグまでは制限や条件付きの中で投げていましたが、公式戦が始まってからは制限なしで連投も複数イニングも大丈夫ですと首脳陣には伝えています」

 この日の投球を見ると、良かった頃のスタイルに戻っていた。二保の特長は腕の振りだ。ストレートだけではなく、カーブでも思いっきり右腕を振り抜く。それが工藤公康監督が信条とする『相手の嫌がる野球』に繋がるのだ。

 指揮官はかつてこのような話をしていた。

「ピッチャーは大事なのはコントロールだと考える。だけどバッターの見方は違った。『腕を振って投げてくるピッチャーが怖い。コースに必ず来るのはそんなに怖くない』と言う。腕を強く振られる……どこに来るか分からない、ひょっとしたら抜け球が来るかも、だけどバシッと決まることもある、そんなピッチャーがバッターにとっては打ちづらいんだよ。制球力はもちろん大事だよ。だけどピッチャー目線だけの自己満足じゃなくて、相手が嫌がることを理解して野球をやることが、結果的に相手に勝つ野球になる」

右腕を全力で振れてこそ

 二保自身もそれを自覚している。

「腕が振れなきゃ、僕は普通のピッチャーですから」

 現在、1軍の中継ぎ陣はピリッとしない。この日、神宮球場では飯田優也と加治屋蓮が打ちこまれて逆転負け。8連敗を喫している。

 ペナント開幕まで残りわずか。大逆転での開幕1軍入りの可能性はともかく、ファームとはいえ緊迫した場面での起用が続くこと自体が期待されている証だ。今後、連投やイニングまたぎが入ってきた時が1軍昇格への確認テストとなるだろう。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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