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大敗の中に見た光――ソフトバンク育成新人は異次元スピードの持ち主

田尻耕太郎スポーツライター
四球後に盗塁を決めた周東佑京選手(筆者撮影)

どうした若鷹?計14四死球で投壊。笠谷が7四死球

3月17日、ソフトバンクはウエスタン・リーグで阪神と対戦した。

【3月17日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 2,004人】

阪神     053400000 12

ソフトバンク 000010200 3

<バッテリー>

【T】○青柳(1勝0敗)、山本、守屋、歳内――長坂

【H】●笠谷(0勝1敗)、伊藤祐、渡辺健、大竹――九鬼、張本

<本塁打>

なし

うつむいて降板した笠谷(右から2人目)
うつむいて降板した笠谷(右から2人目)

<戦評>

 ソフトバンクは大量失点で敗れた。先発の笠谷が3回途中までに4四球、3死球と大荒れで8失点。後続の投手たちも軒並み制球難で計13四死球と大きな課題を残した。打線も特に序盤は元気なし。4回までに9三振を喫した。5回に1番・三森大貴のタイムリー三塁打でようやく1点を返し、7回には2番・釜元豪の適時内野安打と途中出場の曽根海成の犠飛でさらに2点を加えたが、もはや焼け石に水だった。(了)

周東佑京、ツーベースを三塁打にしてしまう快足

公式戦初スタメンで嬉しい初安打
公式戦初スタメンで嬉しい初安打

 大敗の中に光を見た。

 育成ルーキーで初スタメン出場を果たした周東佑京がプロ初安打となる三塁打に、盗塁と自慢の俊足でスタンドを沸かせた。

 開幕戦は代走のみの出場だったが、この日は7番レフトに名を連ねた。第1打席は見逃し三振に倒れたが、5回の第2打席は四球を選んで出塁。その後すかさず二塁へ盗塁を決めた。

 そして4打席目だ。阪神3番手守屋の外角直球をレフト線へ運んだ。外野手がクッションボールの処理にもたつくのを見て、スピードを緩めることなく三塁まで走った。「あわよくば(ランニング本塁打を狙おう)と思ったんですけどね(笑)」。ベンチにいたチームメイトからは「ふつうは二塁打の当たり。三塁打にしてしまうのだからスゴイ」との声も聞かれた。これぞプロ野球というスピードでダイヤモンドを駆け抜けた。

内外野の両方で一流を目指す

 群馬県出身の22歳。東農大北海道オホーツクから育成ドラフト2位で入団した。「50m5秒7の俊足を生かし、走攻守にスピード感溢れるプレーが魅力」とスカウト評には記載されていた。また、一塁到達もプロトップレベルの3秒8を記録。また、大学のリーグ戦では通算40盗塁(出場は70試合強と本人談)をマークした。

「僕は高卒組とは違う。焦るなと言われるけど、やはり結果にこだわらないといけない。だから今日は何としてもという思いがありました。アピールポイントはやはり足です。バッティングは課題だらけだけど、打率よりも出塁率にこだわっていきたい。1年目から支配下登録されるような結果を残していきたい」

 登録は内野手だが、この日は外野で出場した。大学時代も内外野の両方を守っていた。理想像を訊ねると「明石さんのような選手」と答えが返ってきた。

 間違いなく一流になれる素質の持ち主。ソフトバンクの育成選手にまたもやダイヤの原石がいた。(了)

連続1番スタメンの三森が4安打

開幕戦も1安打。好アピールを続ける。
開幕戦も1安打。好アピールを続ける。

 開幕戦に続き1番打者でスタメン出場した三森大貴が4安打の固め打ち。5回の第3打席では三塁打。9回の第5打席でも俊足を飛ばして三塁を狙ったが、かなり際どいタイミングでアウト(記録は二塁打)。それでも強い打球で2本の長打を放って、パンチ力のあるところもアピールした。今季2年目の大型内野手。小川一夫2軍監督も「今、伸びている選手の1人」と期待を寄せている。(了)

<文中写真も筆者撮影>

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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