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格差36倍の下剋上! 年俸500万の「石川」が、1億8千万の「石川」に投げ勝った

田尻耕太郎スポーツライター
ソフトバンクの石川柊太。撮影は今年1月の自主トレ時

6回12K。山田、バレンティンも封じた

ソフトバンクの石川柊太が前週のプロ初勝利に続き、6月7日のヤクルト戦(ヤフオクドーム)でも快投。試合はソフトバンクが4対1で勝利して、石川は2勝目を飾った。

素晴らしい快投だった。6回2安打1失点と試合を作っただけでなく、18アウトのうち12個を三振で奪った。強打者の山田哲人、バレンティンに対してもそれぞれ2奪三振をマークして、ヒットも許さなかった。

“雑草”石川と“エリート”石川のマウンド対決

また、この試合は「石川対決」でひそかな注目を集めていた。

ヤクルトの先発はベテラン左腕の石川雅規だった。ヤクルトの石川は高校時代に甲子園のマウンドに立ち、青山学院大から逆指名を経てプロ入り。11度の2桁勝利シーズンを記録するなど156勝の実績を誇る球界を代表する投手だ。今季年俸は推定で1億8000万円である。

対するソフトバンクの石川は昨年7月まで育成選手だった。今季年俸は推定500万円。4年目の今年になって一軍デビューを飾り、前週の中日戦(5月31日)に先発機会が巡ってきて嬉しいプロ初勝利を挙げたばかりだった。

対決前日、ソフトバンク石川は「相手は意識しないように。でも、“石川の先輩”の戦いぶりを勉強したい」との珍言で、報道陣の笑いを誘っていた。

“モノノフ”コンビで2週連続お立ち台

1週間前に続き、柳田悠岐と2人でたったお立ち台。ともにモモクロ大好きを公言するモノノフコンビは相性ばっちりのようだ。

石川は“先輩”のピッチングを見て「低めに丁寧に投げ込んでいたのが印象的だった。球界で長く活躍されているワザを感じました。見習っていきたいし、自分としても追求していきたい」と話した。

また、この日のピッチングについては「調子自体はいいとも悪いとも感じていない。高めのボール球を振ってくれたのもあった。変化球でストライクと取れたのが良かったので、いい結果につながったと思います」と謙虚な口ぶりで振り返った。

6回2安打、12奪三振でも満点ピッチングではないのだ。底知れぬ若鷹は、この勝利を自信にして成長を遂げていくのだろう。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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