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川崎宗則が日本復帰で克服すべき課題。バッティングの「の」とは?

田尻耕太郎スポーツライター
練習中は藤井、飯田両2軍打撃コーチと話をするシーンも

先発攝津らで完封リレー

4月5日、ソフトバンクはウエスタン・リーグでオリックスと対戦した。

【4月5日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 2,811人】

オリックス  000000000 0

ソフトバンク 05000020× 7

<バッテリー>

【BS】●山岡(0勝1敗)、ヘルメン、塚原、ウエスト――赤松

【H】○攝津(1勝0敗)、飯田、小澤――斐紹

<本塁打>

なし

先発した攝津
先発した攝津

<戦評>

ソフトバンクが完封リレーで連勝を決めた。先発の攝津は5回無失点。直球は初回に142キロをマークするなど力があり、計6三振を奪った。2番手の飯田は3回無失点のロングリリーフ。最後は2年目の小澤が締めた。

打線は2回に大量点。8番・栗原が押し出し四球を選び先制すると、なおも満塁で9番・曽根が走者一掃の3点三塁打を放った。曽根は2試合連続での三塁打。さらに川崎の内野ゴロでもう1点を追加した。7回のダメ押し点は斐紹の2点三塁打だった。(了)

川崎宗則、日本流を取り戻せるかがカギ

川崎宗則がウエスタンで復帰後2試合目の実戦に臨んだ。

この日はポジションを変えて「1番セカンド」で出場。予定の5回まで出場して、打席には3度立ち、空振り三振、遊ゴロ(打点1)、レフト前ヒットで3打数1安打。2試合連続安打を記録した。一方で守備機会は2度だけで「もう少し打球が飛んで来れば」と話したが、「アメリカでも守っている。明日はサードかな。外野も守りたい。練習では井出(2軍外野守備走塁)コーチにお願いして打球補もしようかな」と意欲的だった。

2戦連続安打も、かつて見たことのない空振りが…

第1打席で空振り三振。前日からタイミングを大きく崩されるシーンが見られる
第1打席で空振り三振。前日からタイミングを大きく崩されるシーンが見られる

数字を見れば好調な仕上がり具合に映るかもしれないが、打撃の実情はやや違う。

2試合続けてヒットは出ているが、打撃練習から内容はあまり良くない。以前ソフトバンクでプレーした頃はほぼ芯でミートして、常に鋭いライナーを飛ばしていた印象しかないが、昨日も今日もポップフライが目立った。

試合でも体勢を崩されたスイングが目立つ。振り切った後に下半身が崩れ、左膝をつくシーンなど、以前は見た記憶がない。

藤井康雄2軍打撃コーチは「打撃の“間”だと思う」と話す。

来日したばかりの外国人選手がぶち当たる壁と同じだと説明した。

課題は自覚。かすかでも確実に前進だ

日本とアメリカでは投手へのアプローチが違う。アメリカの投手は速い球を動かしてくる。WBCを戦った松田宣浩は「見えたと思ったら振る」と、その感覚を説明した。加えて上半身主導の投球フォームのためにモーションが早い。とにかく「準備」をする時間は少ない。

そのため「1、2、3」のタイミングで打ちに行かなければならない。

一方で日本の投手は緩急で勝負をしてくるし、投球フォームも下半身を上手く使う分だけ、フォームに粘りがある。アメリカ流のタイミングで打ちに行くと、「あれ?まだボールが来ない」と戸惑うことになるし、遅い変化球への対応が難しくなる。

だから日本の打者は一般的に「1,2“の”、3」で打ちに行くのだ。

復帰初戦を終えた時点で、川崎自身も「日本の投手は打ちにくい。繊細だし、コントロールもいい。自分の打撃が出来なかった。すこしきりきり舞いでした」と振り返っており、さらに「今の打ち方ではだめだと思う。ちょっと考えないといけない。(日本で)長くやってきたはずなのに、忘れてしまっている」と十分に自覚している。

あとはいかに体で表現するか。

「練習じゃなく試合で打席に立つことかな」

6日もウエスタン戦に出場する意向を示している。この試合、ソフトバンクは松坂大輔が先発予定となっている。

「かすかでも確実に前進」をかつてモットーにした男だけに、必ずや克服するはずと信じている。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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