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「育成の新星」となれ! "今宮2世”曽根海成をソフトバンクが支配下登録

田尻耕太郎スポーツライター
支配下登録された曽根内野手

背番号69「新たな気持ちで」

この春、3桁の背番号をつけたまま一軍に相当するA組で奮闘を続けてきた若鷹が、ついに悲願を成し遂げた。

3月24日、ソフトバンクは4年目内野手の曽根海成を支配下登録することを決めて、同日にヤフオクドーム内のプレスカンファレンスルームにて記者会見を行った。

新しい背番号は「69」。

会見に臨んだ曽根は「支配下登録されたので責任も重くなると自覚しています。今日からまた新たな気持ちで頑張っていきたい」と緊張感たっぷりの表情で話した。

指揮官も認める「今宮に近い」

会見には多くの報道陣が出席した
会見には多くの報道陣が出席した

曽根は大阪出身の21歳。京都国際高校から‘13年育成ドラフト3位でソフトバンクに入団した。俊足と強肩は当初から魅力と言われていたが、とにかく線が細かった。体づくりを主に置き、2年目までは三軍が主戦場。実戦経験も併せて積んできた。

昨シーズンから二軍に戦いの場を移すと、82試合に出場。231打席に立って打率.244をマーク。17犠打も光った。

そして今年のオープン戦では前日23日まで10試合に出場。ショートの守備では工藤公康監督から「今宮の動きに近い。積極性、思いっきりがある。がむしゃらにやっているし、ほかの若い選手の刺激にもなっている」と評価されていた。曽根自身も「今宮さんは目標」と話し、今年1月の自主トレには弟子入りしたほど。ただ、支配下入りを果たし「今宮さんを抜きたい。負けないくらいの守備でアピールしたい」と挑戦状をたたきつけた。また、打撃でも3月9日の日本ハム戦(ヤフオクドーム)で中越えタイムリー三塁打を放つなど6打数2安打とアピールしていた。

ソフトバンク常勝の基礎は「育成」の充実

1番釜元、4番牧原、8番甲斐、投手石川が育成出身
1番釜元、4番牧原、8番甲斐、投手石川が育成出身

ところで、ソフトバンクで育成選手から支配下登録されたのは23人目(24例目)だ。「育成の星」の代表例が先のWBCで侍ジャパンから唯一ベストナインに選出された千賀滉大だが、育成出身のスター候補生がゴロゴロいるのがこのチームの特徴だ。

今年のオープン戦を見てもそうだ。

3月12日の中日戦の試合途中だったが、並んだオーダーを見て驚いた。

DHを入れた10名のうち、半分の5名(まだ育成だった曽根を含む)が育成選手経験者だったのだ。牧原大成や甲斐拓也は一軍経験もそこそこある。特に甲斐は今季も開幕一軍入りが濃厚だ。同期ドラフト1位には同じ捕手の斐紹がいるが、「育成6位」出身の甲斐が競争に勝った形なのだ。さらに石川柊太はキャンプ中の練習試合で自己最速を更新する155キロを叩きだし、今季の成長株として注目を集めている。

夢のスタート地点に立った曽根を含め、育成も充実のソフトバンク。常勝チームの礎は、決して大型補強だけではない。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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