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元DeNAドラ1位、昨季はソフトバンク  北方悠誠が四国リーグで再出発

田尻耕太郎スポーツライター
7月から愛媛でプレーする北方悠誠

最速150キロをマーク

【8月3日 定期交流戦 愛媛MP3-5ソフトバンク3軍 タマスタ筑後】

かつてのドラフト1位右腕、北方悠誠はいま、四国アイランドリーグPlusの愛媛マンダリンパイレーツでプレーをしている。

3日、タマスタ筑後で行われた福岡ソフトバンクホークス3軍との定期交流戦に登板。最速150キロを計測するなど剛速球は健在で、1回を無失点に抑える好投を見せた。

古巣相手の登板だった。昨年はホークスの育成選手だった。しかし、結果を残せずに1年限りで退団となった。

それが“2度目”のクビだった。‘11年ドラフト1位で唐津商業高校(佐賀)から横浜DeNAベイスターズに入団。2年目オフのウインターリーグで最速158キロを計測するなど、剛腕投手として大きな期待を寄せられた。だが、制球難に苦しんだこともありわずか入団3年で戦力外となった。

22歳で、3度目のクビに…

愛媛での背番号は「34」。ベイスターズでは28、ホークスでは137だった。
愛媛での背番号は「34」。ベイスターズでは28、ホークスでは137だった。

じつは、今年“3度目”を経験した。

ソフトバンク退団後、今年の初めはBCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスに入団。しかし、6試合登板で防御率11.17。投球回9.2で17四死球とコントロールに苦しみ、「5月末か6月頭まで」(本人談)で登板機会を失った。そして7月上旬に退団。「クビでした」。

それでも、まだ22歳。夢をあきらめるには早すぎる。ベイスターズ時代の同僚の助けもあって、愛媛MPへ直訴。テストに合格して、7月25日より4つ目のユニフォームに袖を通している。

愛媛移籍後、この日が2度目の公式戦登板だった。「前回は9回2アウトから投げさせてもらって、1球だけで終わっちゃいました(結果はセンターフライ)」。ホークス相手のマウンドでは持ち味の直球を中心に懸命に右腕を振りぬいた。

先頭の4番の幸山を146キロでショートゴロに打ち取った。続く黒瀬には148キロをしぶとくライトへ運ばれたが、谷川原は149キロで投ゴロ併殺打に仕留めた。

1回1安打無失点。実質的な再出発を納得のピッチングで終えた。

「NPBから支配下で声がかかるくらいに」

「最速で150キロ出ていたし、全体的にスピードも出ていました。状態は良くなってきていますし、今はしっかり自分で考えながら練習、プレーが出来ています。あとは変化球ですね。2球フォークを投げましたが、どちらも外れてしまった。ベース前にワンバウンドになるくらい、しっかり放らないと」

今秋のNPBトライアウトを受けるかは未定だという。それでも目標はただ一つ。

「自分を磨いて、NPB球団から支配下で声がかかるくらいレベルアップしたい」

昨年、ホークス育成でプレーしていた際に何度か実際に観たが、状態は確実に上がっている。素材はまちがいなく一級。今後も注目しておきたい右腕だ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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