まるで催眠術。山田大樹、左腕不足の1軍ローテにイチオシ

チャリティーマッチで入場料全額寄付

試合前に募金活動。左から田口監督(BS)、松坂(H)、武田(BS)、攝津(H)
試合前に募金活動。左から田口監督(BS)、松坂(H)、武田(BS)、攝津(H)

5月5日、タマスタ筑後で行われたウエスタン公式戦・ソフトバンク対オリックスは「熊本・大分地震災害 復興支援チャリティーマッチ」として開催された。

本来、この日の試合は熊本県八代市で開催予定だったが、地震の影響で中止。試合会場をタマスタ筑後に変更し、チャリティーマッチとなった。

この日の入場料全額(年間席は除く)の2,353,148円(税抜き金額)と、選手による募金呼び掛けでの総額424,808円と被災地へ寄付する。

なお、試合は1対1で引き分けた。

【5月5日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 3133人】

オリックス  000000001 1

ソフトバンク 000001000 1

<バッテリー>

【BS】ミッシュ、大山、大田、コーディエ――若月、斎藤俊

【H】岩嵜、山田、柳瀬、加治屋、星野――拓也

<本塁打>

なし

「くまモン」ボールで試合。もともと熊本・八代開催のために用意されていた
「くまモン」ボールで試合。もともと熊本・八代開催のために用意されていた

<戦評>

ソフトバンクは逃げ切れなかった。6回、カニザレスが均衡を破るタイムリーで先制したが、9回に星野が同点打を浴びた。先頭打者へのストレート四球が痛恨だった。

それでも投手陣は好投。岩嵜と山田が2回、柳瀬が1回を抑えた後は、加治屋は3回を投げてゼロを並べた。

オリックスは土壇場で4番の奥浪が同点犠飛。ミッシュは6回途中まで粘った。コーディエが終盤に登板し、150キロ台を連発。1軍再昇格へアピールした。 (了)

「育成の星」山田大樹、再び輝くために

打者を手玉に取っている。

そんな快投を続けているのが、ホークス山田大樹だ。今季の投球成績は以下の通り。

登板7(うち先発4) 2勝0敗 投球回30 被安打24 与四球4 奪三振22 失点6 防御率1.80

この日は2番手で3回からマウンドに上がり、2イニングを打者6人で完全に抑え、3三振も奪った。

球速は130キロ台中盤。山田本人も「遅い」と苦笑する。しかし、対戦打者の反応を観察すると非常に面白い。130キロ前後の球に差し込まれたり、100キロ台のカーブに驚いたようなしぐさを見せたりして、とにかく凡退を繰り返す。

もともと真っ直ぐはクセ球で真っすぐ来るとは限らない。ただ、それ以上に直球系と変化球を全く見極められず、いわゆる「自分の打撃」をさせていない。

30イニングで4与四球のコントロール

1軍昇格へアピールを続ける山田大樹
1軍昇格へアピールを続ける山田大樹

「ストレートとスライダーは、同じ腕の振りや軌道になるように気をつけながら投げています」

その中にカーブは含まれていないが、この日バッテリーを組んだ拓也もカーブが効いていたと実感していた。

「今年はイイ時の感覚で投げることができています。力をうまく抜き、入れるべきポイントで投げることができている」

昨年まで見られた制球難も改善され、30イニングでわずか4四球だ。

「最初に対戦した相手は催眠術のように抑えることができるかもしれない。だけど、2巡目、3巡目の対戦になると、簡単には通用しないと思います。できるだけ少ない球数で、自分のスタミナも残せるように長いイニングを投げられるのが理想です」

少ない球数は、ボールに慣れさせないという利点もある。

ダルビッシュに投げ勝った過去

「育成の星」と呼ばれた。2006年育成ドラフト1巡目で入団し、4年目に待望の支配下登録を勝ち取った。その会見には王貞治球団会長が同席した。この手の会見で王会長と並んで椅子に座った例は、この時の山田だけである。

その年に4勝を挙げ、11年には7勝をマークした。日本シリーズでも先発勝利し、パ・リーグの育成出身投手としての第1号を記録。日本一の貢献者になった。自己最多は12年の8勝だ。また、当時日本ハムのエースだったダルビッシュ有に投げ勝った試合もあった。

しかし、1軍勝利は2年間遠ざかっている。昨年は支配下登録されて以降初めて1軍登板ゼロに終わった。

1988年生まれ。田中将大や前田健太をはじめチームでは柳田悠岐や福田秀平と同級生のプラチナ世代。今年7月で28歳とまだまだ可能性を秘めた、身長189cmの大型左腕だ。

左腕不足の1軍ローテに入り込めるか

ソフトバンクは先発陣豊富も、現在のローテで左腕は和田毅だけ。チャンスは十分にある。

「昨年は何とかしなきゃとトレーニングに打ち込んだが、逆にコンディションを保てない原因にもなった。今年はトレーニングコーチとも相談して、いい状態をキープできるように意識して取り組んでいます」

言葉は悪いが、見栄えのいいタイプの投手ではないかもしれない。だが、この日、150キロ近い速球派の投手たちが1つの三振も奪えなかった中、山田は2回パーフェクトで3奪三振をマークした。今後チームの首脳陣がそんな左腕をどのように評価していくのかも注目したいところだ。