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日韓王者対決はホークスが勝利! 新打法の江川に驚きの一発

田尻耕太郎スポーツライター
ホークスのキャンプ地、アイビースタジアム

スアレスまたも154キロ

【2月24日(水)球春みやざきベースボールゲームズ 宮崎アイビー】

斗山   010100000 2

ホークス 01002000× 3

【バッテリー】(ホークスのみ)

(H)岩嵜、東浜、岡本、飯田、スアレス――拓也、高谷

【本塁打】(ホークスのみ)江川

【スタメン】(ホークスのみ)

(H)7長谷川 5川島 9中村晃 D柳田 3吉村 8江川 4本多 2拓也 6今宮

【戦評】

昨年まで日本一2連覇のホークス。昨年の韓国シリーズを制した斗山ベアーズ。日韓王者対決を制したのはホークスだった。2回裏に江川の本塁打で同点。その後勝ち越しを許すも、5回に拓也の犠飛と相手の暴投で逆転した。

岩嵜と東浜がそれぞれ3回1失点も、1軍定着を目指す岡本、飯田、スアレスの3投手が1点差を守りきる好リリーフを見せた。スアレスは21日の登板に続き、またも最速154キロをマークした。

12年目江川の並はずれた長打力

やはり並外れた長打力の持ち主だ。

2回、江川智晃が左翼ポール際に本塁打を放った。高々と舞い上がった打球は「詰まっていた」と本人談。「風に乗りました」と照れ笑いしたが、三塁側のカメラマン席からそのシーンを見ていた森唯斗は「逆風でしたよね、今の」と驚きを隠せない様子だった。

大砲候補と期待され続け、今季が12年目のシーズンとなる。

あのギータも目を丸くした

入団すぐに18歳で2軍の4番を任された。13年には1軍で12本塁打を放った。あの柳田悠岐に「本当のホームランバッターって江川さんみたいな人のことを指すんですよ」と言わせた。

しかし、その後2シーズンは1本塁打ずつ。確かに出番自体は多くないが、その少ないチャンスを生かしきれなかった。

本塁打を放ち、その後元気に守備に向かう江川(左)
本塁打を放ち、その後元気に守備に向かう江川(左)

新打法に着手

昨年秋、打撃改良に取り組んだ。「周りから見れば分かりにくいと思うけど、自分の中ではごろっと変える感じ」。大きく変えたのはバットの軌道。以前はボールを上から叩き潰す感覚で、スピンのかかった打球が高い放物線を描いて左中間へ飛んでいた。

しかし、点でとらえる感覚のため確率は悪い。「点じゃなく、線で」。

スイングは出来るだけ地面と平行に。とらえたボールがバットにくっつくような感覚が一番の理想。それをぐっと押しこむ。打球は右方向にも大きく伸びる。秋季キャンプでは右中間席にも何発も放り込んだ。

右投手用と左投手用

「ただ、左投手の時、ボールとの距離感がとれなかった」と、今春からは右投手用と左投手用で打ち方を変えている。この日は左腕から一発。以前のように上からボールを叩き潰し、大きな弧を描いた打球を飛ばした。

ちなみに、打った相手のユ・ヒグァンは、昨季18勝5敗の好成績を残した投手。「知っていましたよ」と江川もにんまりだ。

「必死ですから。どんな形であれ、結果を残していかないといけない。周りはすごい選手ばかりですが、諦めずに頑張っていればいいことを起きると信じてやっていきたい」

12球団一レギュラー争いも1軍枠争いも激しいホークスだが、これだけの才能を最大限に生かせば必ず道は拓けるはずだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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