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チーム防御率1.35! ホークスの2軍投手陣が凄すぎる

田尻耕太郎スポーツライター
2軍本拠地雁の巣球場の正面
2軍本拠地雁の巣球場の正面

他球団なら1軍クラス? 豪華すぎる2軍先発陣

開幕前から「先発候補が12、13人もいる」と評判だったソフトバンク投手陣。だが、シーズンが始まれば1軍で投げられるのは多くても6人。その枠に漏れた投手たちは2軍で投げながらチャンスを窺うことになる。

そのため、ホークスファームの先発ローテがとんでもなく贅沢なことになってしまっているのだ。開幕からの先発投手一覧を以下のとおりにまとめてみた。

(対戦相手) (先発投手)   

3月17日 阪神・笠原

3月20日 広島・東浜

3月21日 広島・バンデンハーク

3月22日 広島・岩嵜

3月24日 オリックス・大隣(1軍のための調整登板)

3月25日 オリックス・武田(1軍のための調整登板)

3月26日 オリックス・東浜(1軍のための調整登板)

3月31日 中日・バンデンハーク(7回2安打0封)

4月2日  中日・帆足

4月4日  阪神・山田(5回1安打0封)

4月11日 広島・中田

4月12日 広島・バンデンハーク

4月16日 オリックス・帆足

4月17日 オリックス・千賀(5回8K無失点)

4月18日 オリックス・バンデンハーク(7回2安打0封)

4月21日 広島・山田(9回完封勝利)

4月22日 広島・帆足

4月23日 広島・寺原(初先発、7回途中1失点)

4月24日 中日・岩嵜

4月25日 中日・千賀(6回1安打1失点・自責0)

4月26日 中日・バンデンハーク(9回2失点で初完投)

開幕投手こそ1軍経験のない3年目左腕の笠原大芽が起用されたが、以降はまるで1軍のローテーションである。FAで獲得した帆足和幸に中田賢一(1試合のみだが)。岩嵜翔や山田大樹も以前は1軍ローテを担った経験者だ。バンデンハークは「外国人枠」の問題さえなければ…。唯一「若手」と言っていい千賀滉大(5年目・22歳)だって、一昨年には中継ぎで活躍しオールスターに出場した逸材である。

ここまで21試合を戦って、チーム防御率1.35である。格が違い過ぎる。ちなみにチーム打率は.213でリーグ最下位なのだが、それでもこの投手陣のおかげでソフトバンクはウエスタン首位に立っている。あまりに極端な「投高打低」ぶりである。

寺原でも2軍ローテに入れない!?

あまりのハイレベルに、2軍とはいえ「先発ローテ」で投げるのは容易ではないのが現状だ。その象徴が寺原隼人。昨年右膝手術を受けるも、復活を期す今季はキャンプから順調な調整を続けたことで150キロ近い剛速球を投げられる状態にまで戻っている。期待される役割は当然先発なのだが、しばらくは中継ぎでの起用ばかり。ようやく今季初先発したのは4月23日の広島戦(由宇)だった。この試合で1失点の好投できっちり勝ち投手になるあたりはさすがのひと言。これだけの実力者でも、厳しい競争の中に立たされているのである。また、かつての「ドラ1」大場翔太や巽真悟など、開幕前は「候補」に挙がったが、現状では2軍でチャンスを掴むことも出来ていない。

5月4日、1軍のロッテ戦は注目

何とも贅沢な感じもするが、プロ野球は「枠」がある世界であり競争は必然なもの。チャンスが欲しければ結果を示し続ける他に方法はないである。

4月は比較的緩やかな日程だったためにチャンスの場も限られていたが、今後は6連戦も多くなっていく。直近では5月4日(月・祝)の千葉ロッテマリーンズ戦に注目したい。ゴールデンウイークの変則日程のため、現在の先発ローテ陣ではまかなうことのできない試合である。

真っ黒に日焼けした顔でヤフオクドームのマウンドに立つのは誰になるのか。そして、熱い「思い」をぶつけるどんな投球を見せてくれるのか。個人的には楽しみにしたい試合なのである。

2軍投手成績はコチラ(福岡ソフトバンクホークス公式サイトへリンク)

2軍日程・試合結果はコチラ(同上)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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