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ムネリン、上原、岩隈! 現役大リーガーが大切にする「書く」習慣

田尻耕太郎スポーツライター
24日に発売される「野球上達日記~大リーガー編~」

上原「自分を、自分で把握できる」

レッドソックス・上原浩治投手、マリナーズ・岩隈久志投手、そしてブルージェイズ・川崎宗則選手。現役大リーガー3選手が手を取り合って、子どもたちのために共同監修した'''『野球上達日記~大リーガー編~』'''が、4月24日に発売となった。

普段はライバルとしてしのぎを削る3選手がコラボ本を出版するのは異例のこと。だが、それを実現可能にしたのは、この野球本の特徴が「日記」という点にある。彼らには日々の出来事をメモに取る重要性を感じてもらいたいという共通の思いがあるからだ。たとえば、上原は日記を自らの「手」で書くことの重要性について、「自分の成長度合いを自分自身で把握することが出来る」と説く。

ムネリン「所構わず、メモ感覚で」

なぜ、『書く』のか――岩隈は「その時にインパクトがあっても忘れるのが人間。ちょっとしたことでも書くことで頭に残すことが出来る。また、例えば悩んだときなどにも、自分を見失わないために目的や目標を明確にしてノートに書く方が良い」と自らの経験をもとに語る。

ムネリンこと川崎といえば、天真爛漫に本能のままプレーをしているタイプだと想像しがちだ。ただ、特に彼についてはホークス時代からよく知っているが、じつは練習でもコツコツと地道な反復作業を繰り返してスター街道へとのし上がった選手。「僕の場合は日記というよりメモ感覚で、所構わず気づいた時に書きますね」と書くことを習慣にしているそうだ。

また、3人とも共通しているのが高校時代は甲子園出場の経験がなく、プロ入り後に大きな飛躍を遂げて大リーガーにまで上り詰めたという点だ。そして、岩隈と川崎は「プロに入るまでは『野球日記』を書いたことがなかった」と言い、大学時代にはアマ球界を席巻するようになった上原にしても「高校の頃は日記を書く習慣はありませんでした。もっと早くに気付いていれば…」という言葉が聞かれた。

岩隈「ゼッタイ毎日!と義務にする必要はない」

ただ、岩隈は「『毎日書かなきゃ』など義務にしてしまうと続かない。ただ、気づいたことは書いておくと、本当に大切なことは忘れることはない」と言い、

上原も「僕は試合後の気分転換のつもりで夜に書くことが多い。書くことが明日へのモチベーションに繋がる」とアドバイスを送る。

川崎も「今日の課題を自分で書く。明日へトライするヒントがそこにあるんです」と勧める。

『野球上達日記~大リーガー編~』にはメモを書くスペースはもちろん、3選手からの技術面のアドバイスやメッセージなども添えられている。また、3選手が必ず読んでくれる手紙を送ることが出来るシートもあり、自らの努力の成果を報告したり質問をぶつけたりすることが出来る。

デジタル社会の現代にあって、ここ最近は「書く」というアナログ作業も見直されつつあるといった記事などを見かけることも多くなった。現役大リーガーたちがナゼ「書く」のか。野球を頑張る子どもたちはもちろん、オトナ世代の我々も何かヒントを得られるかもしれない。

(取材協力: フェアプレイ・エージェンシー 藤本厚志氏)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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