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先発転向の千賀、150キロで内容充実6回好投「先発は楽しい」=ファーム教育リーグ

田尻耕太郎スポーツライター
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若鷹打線やや元気なし

3月7日(土)、ソフトバンクのファームは教育リーグで広島と対戦した。

広島     000001200 3

ソフトバンク 000000001 1

<バッテリー>

【C】中村恭、西原、池ノ内、今村――磯村、多田

【H】千賀、伊藤大、加治屋――張本、細山田

<本塁打>【C】高橋

【戦評】

両チームゼロ行進の均衡を破ったのは広島。6回2死一塁からエンドランを仕掛けたところで3番・小窪が右中間へ長打を放ち走者が一気に生還し先制点を挙げた。7回には高卒3年目の高橋がレフトへソロ。その後ホークス守備陣のミスなどもありもう1点を追加した。ソフトバンクは9回に金子圭の犠飛で1点を返しただけ。教育リーグは3連敗となった。

2年半ぶりの5イニング以上

【雑感】

先発転向の千賀滉大が内容ある投球を見せた。試合前は「90球をメド」と語っていたが、6回を69球で片付ける省エネ投球で、イニング数を優先する形でマウンドを降りた。被安打2、奪三振6、与四球2、失点1の結果。前回登板(2月28日)の韓国チームとの練習試合では制球難を露呈したが、この日は特にストレートの精度が素晴らしかった。最速は150キロをマーク。千賀本人は「5回あたりから疲れはあった」というが、5イニング以上投げたのは2012年の9月20日(ウエスタン・オリックス戦=9回無失点)以来のこと。今後、試合を重ねれば改善されるだろう。課題はフォークの落ち。やや体が横振りになっていたのか、時折抜け球となったのは次回への宿題だ。

今季5年目の千賀は、13年シーズンに1軍で中継ぎとして51試合に登板。150キロ超の真っ直ぐと「お化けフォーク」を武器に奪三振マシンと化し、オールスターにも出場するなど鮮烈な印象を残した。しかし、昨季6月に右肩違和感を訴えると、以降登板なくシーズンを終えた。

1月に22歳になったばかりの右腕。その溢れんばかりの才能を潰すことだけは避けたい球団は、右肩のことを考慮して今季から先発起用することに。それは千賀にとっても望むところだった。「中継ぎもやりがいはある。だけど、先発をやりたい」とずっと語っていたからだ。12年にはファームで先発ローテを守り、7勝3敗、防御率1.33(リーグ1位)の成績を残した実績もある。

現在のローテ投手は30代ばかり。「モノが違う」次代の先発の柱に

「今の先発陣は球界でのトップレベル。でも、攝津も中田も大隣も、そして松坂もみんな30代。次代の先発投手の育成も大事。昨年終盤に頑張った武田もそうだし、千賀も『モノが違う』投手のひとり。まずはファームで先発としての基礎を覚えてもらいたい」

今春キャンプ中にファームのコーチがそう語っていた。

千賀は来週のファーム戦も先発予定。「やっぱり先発は楽しい」と笑顔で語る。新たな道を歩み始めた背番号41のこれからが楽しみだ。

追記:ちなみに昨年はこんな記事→「無残な大敗の中に感じた、『千賀は先発!』」(2014年5月31日)も書きました。なので、個人的にも千賀の先発転向は嬉しく思っております。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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