「1秒でも早く残留を決めたい」。サウサンプトンの吉田麻也は誓う

相手選手と競り合うサウサンプトンのDF吉田麻也(写真:ロイター/アフロ)

試合終了直前の90分、ワトフォードのFWアンドレ・グレイが左足を振り抜くと、吉田麻也はブロックしようと足を伸ばした。シュートは吉田の足に触れてコースが変わったが、そのままゴールに吸い込まれた。

土壇場で同点に追いつかれたサウサンプトン。失点後、吉田は地面に倒れたまま頭を抱えた。試合はこのまま1−1で終了。アウェイゲームに駆けつけたサポーターへの挨拶を終えると、吉田は足取り重く、選手通路口に消えていった。

試合は、プレミアリーグ最速記録となる7.69秒でサウサンプトンのFWシェーン・ロングが先制した。前半こそサウサンプトンが攻め込んだが、後半に入ると途端に失速した。

残留争いのプレッシャーなのか、ズルズルと陣形全体を下げてしまうサウサンプトン。3−4−2−1の3CB中央の位置で先発した吉田は、相手の縦パスをインターセプトしたり、クロスボールをクリアしたりと、懸命な守備を見せていた。

しかしボールを奪い返しても、サウサンプトンの選手たちは前方に長いボールを蹴り出してしまう。結局、相手にボールが再び渡り、ワトフォードの波状攻撃を許した。

78分にCFのロングを交代し、右WBのヤン・バレリーを投入すると、サウサンプトンはいっそう守備的になり、ワトフォードの攻勢はさらに強まった。コーナーに追い込まれたボクサーのように、サウサンプトンは防戦一方になる。失点前に2度あった相手の決定機はなんとか持ちこたえたが、最後の最後で同点に追いつかれてしまった。

試合後、吉田はチームの課題を次のように語った。

「後半は、もうちょっとボールをつなげたり、自分たちが持っている時間を長くできたりすれば、楽になると思うんですけど。結局ファウルになっても、ゴールキックになっても、(自分たちは)全部ロングボールを蹴ってしまう。そうなると、きつい…。まぁ(CFの)ロングが頑張ってくれていたから良かったけど、あれでは、きついですよ。ピンポン、ピンポンになるから(=ロングボールの打ち合いの意味)。もうちょっとそこらへんは改善しなきゃなと思います」

一方、試合開始から7.69秒で先制したことについては、「やっぱり若干、チームに気持ちの隙ができてしまう」という。それでも前半は攻め続けたが、後半に入ると消極的になり、慎重なプレーに終始してしまった。「ホッとしてしまうのを律して、やっぱり『チームの勢いを』と、ピッチのなかでみんな話し合っているんですけど(うまくいかなかった)」と、吉田も反省を口にした。

ただし、残留争いの点では、勝ち点1を獲得した意味は非常に大きい。引き分けの結果、16位サウサンプトンは1ポイントを上積みして勝ち点37となった。降格圏18位のカーディフは勝ち点31で、その差は6に広がった。両軍の残り試合は3つである。

サウサンプトンが次節のボーンマス戦(27日)に勝利すれば、残留の目安とされる勝ち点40に到達する。対するカーディフが全勝しても勝ち点40にしかならない。しかも、カーディフとの得失点差は、サウサンプトンが18点差で上回る。つまり、サウサンプトンが次節で勝利すれば、来季残留が決定的になる。

そのせいか、吉田はワトフォード戦で「勝ち点2」を落としたことに悔しさを見せながらも、降格が現実味を帯びていた昨シーズンの同時期に比べると、表情に悲壮感はなかった。マーク・ヒューズ前監督が率いた昨シーズンは「(ギリギリのところで)なんとかやっている感じだった。プレッシャーは去年の方がすごかった」(吉田)という。

日本代表DFは次のように語る。

「今日の試合に関しては、最悪というか、すごく悪い形で終わってしまいましたけど、チームにとってこの勝ち点1はかなり大きなポイントなので。これで下位(=降格圏のカーディフ)と勝ち点で6ポイント離したので。得失点差(※カーディフとは18点差)を考えると、かなり有利な立場にいるんじゃないかと。ただギリギリで残留というよりは、やっぱり次のホームで勝って、差を離して、残留を決めたいです。自分たちの手で残留を決めたい」

そう話すと、視線を来シーズンに向けた。

「まずは残留を決めたい。また来年は来年で勝負が始まると思うので、とりあえずそのためには、プレミアに残らなきゃいけない。1秒でも早く残留を決めたいと思います。そこからまた来シーズンのことを考えたい」

来季残留は見えてきた。あとは、両手でしっかりと掴めるか。そして、残り3試合のプレー内容は、来シーズンのレギュラー争いにもつながってくる。毎年、毎年がサバイバル──。常々、危機感を口にしているように、吉田は気をグッと引き締めていた。