Yahoo!ニュース

レスターで苦戦が続く岡崎慎司。「今は監督が求めている位置にいない」

田嶋コウスケ英国在住ライター・翻訳家
11月10日に行われたバーンリー戦で、途中交代でピッチに入るレスターの岡崎慎司。(写真:ロイター/アフロ)

レスターの岡崎慎司が苦境に立たされている。

プレミアリーグ12節まで先発出場は一度もなく、スタメンはチームとして優先順位が落ちるリーグ杯の2試合のみ。プレミアリーグでは途中出場で5〜10分程度の短い出番しか与えられておらず、先発組の後塵を拝している格好だ。ゴールもリーグ杯を含めた公式戦全体で得点がなく、厳しい状況が続いている。

途中出場についても、試合終盤のストッパー的な役割で投入されることが少なくない。岡崎も「たぶん監督は点を取るために俺を入れるというスタンスではない。どちらかというと、最後の締めに使うのが基本路線になっている。やっぱりすごく難しい」と説明する。たしかに、そんな状況で起用されても、ストライカーとして自身をアピールするのは難しい。

こうした状況に陥った主因は、クロード・ピュエル監督が進めている「チーム改革」にある。15−16シーズンに奇跡のリーグ優勝を成し遂げたレスターは、ショートカウンター主体のサッカーで連勝街道を突っ走った。2トップの一角としてフル稼働した岡崎は、セントラルMFのエンゴロ・カンテ(現チェルシー)と共にカウンターサッカーの中で不可欠な存在だった。クラウディオ・ラニエリ前監督と、跡を引き継いだクレイグ・シェイクスピア前監督の下、岡崎は戦術上のキーマンだった。

しかし、昨シーズン途中に就任したピュエル監督は、ポゼッションサッカーへゆっくりと舵を切った。ボールテクニックに長ける若手選手が重宝されるようになり、現在32歳の岡崎の出番は次第に減っていった。

これまで岡崎が主戦場にしてきた4−2−3−1のトップ下には、イングランド代表MFのジェームズ・マディソンが君臨する。10番を背負う22歳の新鋭MFはシュートやドリブル、ワンツー突破で前線の違いを作れる「王様的プレーヤー」で、そのプレースタイルはピュエル監督の好みにも合致している。

11月10日に行われたプレミアリーグ12節のバーンリー戦後、岡崎は現状について次のように語った。

「今は監督が求めている位置にいないと思う。昨シーズンまでラニエリ監督、シェイクスピア監督が築いてきた“流れ”があった。でも今はチームとして総合力があり、負けることがなかなかない。そうなると監督も『このままでいく』ということになり、メンバーを変えるきっかけがない。今日もチームは悪くなかったと思うし、チャンスもつくれていた。だからそれ以上のものを自分がちょっとずつでも見せていかないといけない。練習でもいい感じでやれているので、『出場時間がもうちょい延びれば』というところです」

現状の厳しさは、バーンリー戦でマディソンが負傷欠場しながら、岡崎に先発の機会が与えられなかった采配からもうかがえる。代わりにトップ下で起用されたのは、夏の市場でピュエル監督が連れてきたアルジェリア代表MFのラシド・ゲザル。岡崎も「マディソンが怪我でいなくなった。そういう意味ではマディソンがいないのに自分が出られないとなると、かなり厳しいシーズンになるかなと思います。そういうことも、ある程度チームにいれば分かる」と危機感を強めていた。

W杯ロシア大会で痛めた足首の怪我も癒え、バーンリー戦では軽快な動きを見せた。岡崎は「やることをやっていれば、5分でも6分でもチャンスをもらえるので、そこに懸ける。コンディションは今まで以上に良いので、そういうところで出していきたい」と前向きな姿勢を見せた。

その一方で、レスターとの契約は今シーズン終了時まで。少し前にあったトルコ1部・ガラタサライへの移籍報道は岡崎が明確に否定したが、レスターで置かれている現状を考えれば、シーズン終了後に新天地を求める可能性は高いだろう。

レスターは現地時間24日にプレミアリーグ13節ブライトン戦の後、27日にリーグ杯4回戦のサウサンプトン戦が控えている。リーグ杯では先発出場が濃厚なだけに、岡崎も「そこをまず目標にする」と力を込めていた。

英国在住ライター・翻訳家

1976年生まれ。埼玉県さいたま市出身。中央大学卒。2001年より英国ロンドン在住。香川真司のマンチェスター・ユナイテッド移籍にあわせ、2012〜14年までは英国マンチェスター在住。ワールドサッカーダイジェスト(本誌)やスポーツナビ、Number、Goal.com、AERAdot. などでサッカーを中心に執筆と翻訳に精を出す。

田嶋コウスケの最近の記事