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【危険】続々と届けられている詐欺SMS【auからの重要なお知らせ】ご利用金額が……を調べてみました。

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
情報提供された詐欺SMS

先月末から、今月にかけて「【auからの重要なお知らせ】ご利用金額が設定した金額を超えました。ご確認が必要です」とのショートメッセージ(SMS)が届いたという報告が、次々に筆者のもとに届いています。

この先には、詐欺サイトが待っていて、不用意にタップしてしまうと、金銭的な被害を受ける恐れがあります。

au利用者である男性は「正規のauから届くSMSのなかに紛れていて、一瞬、本物かと思ってしまって、タップしそうになりました。怖いです」との声も寄せられます。

さっそく先月末、この男性のもとに届いたURLをタップしてみました。しかし残念なことに、すでにこのサイトはなくなっていました。どうやら、詐欺サイトの消費期限は一週間ほどのようです。

次に昨日、女性のもとに届いたSMSのURLをタップしてみました。

すると、「システム警告!マルウェアが検出されました」の画面が出てきます。

先に進むと出てきた詐欺サイトのシステム警告画面
先に進むと出てきた詐欺サイトのシステム警告画面

「スキャン」を押すように促されていますので、押してみます。

すると、今度は、auのMobile Securityと題した画面が出てきます。

さらに進むと、修復のボタンが登場
さらに進むと、修復のボタンが登場

この「修復」のボタンを押して先に進むと、不正なアプリがインストールされて、スマホが乗っ取られる恐れがありますので、この先には絶対にいかないようにお願いします。

宅配業者を装うケースと同じ

これまでは、宅配業者を装って「お荷物のお届けにあがりましたが、不在のため持ち帰りました」とのメッセージが届くことが多くありました。そしてURLをタップして先に進むと、Androidの場合は、不正なアプリをインストールさせられて、iPhoneの場合は、ID、パスワードを入力するように促されます。いずれにしても、スマホが乗っ取られて、金銭的被害に遭うことになります。

この手口の怖さは、スマホが乗っ取られてしまうことで、自分の電話番号が踏み台になり、次の誰かのもとにSMSとして発信されてしまいます。そして数多くの人のもとに、詐欺サイトに誘導するメッセージの発信がされてしまい、それにより自身の電話料金があがる方もいます。

今回のauをかたるショートメッセージも同じで、誰かの電話番号が踏み台になって、送られてきています。

そこで、発信元の電話番号にかけて、どのようにして被害に遭ったのかを聞いてみることにしました。

誰もがタップしてしまう恐れのある、詐欺SMSのURL

数件かけてみましたが、さすがにスマホが乗っ取られたこともあって警戒しているのでしょう。なかなか出てくれません。ようやく男性の方につながり、お話を伺うことができました。

「やはり、『auからのメッセージが届いた』という他の方からの電話は来ていますか?」と尋ねると、「はい。次々に電話がくるのでだいぶ慣れました。そのなかには『NTTですか?』という女性からの連絡もあって、届けられているのは、auだけではないようですね」と話します。

「どのようにして、こうなってしまったのでしょうか?」

「【auからの重要なお知らせ】というメッセージが来たので、『なんだろう』と思い、タップしました」

「やはり、画面は『システム警告!スキャン』になっていましたか」

「はい。それで『スキャン』をタップしたのだと思います」

「その先も、タップした?」

「たぶん、押したと思います。というのも、酔っぱらっていて、何のボタンを押したか、よく覚えていないんです。とにかく先に進んでいき、画面がグリグリし始めて『これはまずい』と思って、すぐに画面閉じたんだけど…」

しかし時すでに遅く、彼のスマホは乗っ取られて、不特定多数の人に、彼に届いたのと同じ内容が発信されてしまいました。

このように普段は「押すはずがない」と思っていても、「酔っぱらっている」「慌てていた」など、様々な事情のなかで、詐欺メッセージに引っ掛かってしまうことはあるのです。つまり、状況しだいでは、誰もがタップしてしまう恐れがあります。

もしかすると、スマホの中にまだ、不正なアプリがインストールされている可能性もあることを話すと「ショップで見てもらう」とのことでした。また、先月よりも「料金が上がっていないか」も確認するようにお勧めしました。

これまでは、宅配業者を装って、URLをタップさせる形が一般的でした。しかし多くの人に手口が知られたためでしょう。

今度は大手の通信会社をかたり、メッセージが次々に届けられています。

「ご利用金額が設定した金額を超えました」の詐欺メールは、当人に、本当に利用金額を超えさせようとさせる詐欺師たちの罠です。

セキュリティ警告の画面を出して、さも解決したかのように見せかけてだます。まさに自分で火をつけて、自分で火を消す「マッチポンプ」な仕組みになっています。

いつも手元にあるスマホゆえに、ちょっとしたきっかけで、普段なら絶対にしないはずの操作をしてしまい、スマホが乗っ取られることはありえますので、充分に気をつけてください。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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