東南アジア各地で組織的詐欺を働いていた中国人らが、続々に帰国して逮捕されている報道がありました。その数は5万人を超えるといいます。

たとえれば、東京ドームの収容人数は5万5000人ですが、まさにその人数にも迫る恐ろしいまでの詐欺犯の数です。

記事によると、詐欺の手口は「SNSのやりとりなどで恋愛感情を抱かせ、架空の投資話に勧誘」とありますので、今、国内で被害が多発している、マッチングアプリやSNSで出会った異性から恋心を抱かせて、偽の投資サイトを紹介し、多額のお金をだまし取る手口と見て良いでしょう。

つまり、この問題は、日本にも大きく関わってくる問題です。

中国の詐欺グループ容疑者、東南アジアから続々帰国 戻らなければ… (朝日新聞)

今年4月の習近平国家主席による、この犯罪への取り締まり強化の指示が摘発につながっているとのことです。今も、この詐欺は行われており、今後も逮捕者が続くことで、その全貌がさらに明らかになることと思います。

東南アジア拠点の詐欺の実態

「ご飯食べた?」「何食べた?」は、美男美女になりすました詐欺師のサイン!背後にうごめく犯罪組織は? の記事にて、この背後には中国人の犯罪グループが関わっていることを明らかにしてきました。

今回の摘発により、このことが裏付けられてきています。

すでに拠点が東南アジアにあるだろうことは、

きっかけはマッチングアプリ…「40代女性から1700万円だまし取る」投資詐欺の許せない手口 IPアドレスを辿ると、そこはラオス (PRESIDENT Online)

の記事でも、詐欺犯の使っていたLINEのIPアドレス(ネット上の住所にあたるもの)をたどると、「ラオス」の緯度と経度が出たという話を被害者から受けており、詐欺グループの拠点は中国に接した東南アジアの可能性があると指摘してきました。

今回の報道には「ラオス」の名はなかったものの、国境を接するミャンマー北部を中心に、ベトナム、フィリピンなどに拠点が広がっていたといいますので、偽サイト詐欺を行う拠点が、この近辺にあることがはっきりしてきました。

過去にも、国内振り込め詐欺を行う日本人グループが、タイから日本国内に詐欺の電話をかけて、一斉に検挙されたことがありました。

この時、犯行にかかわった人物らは、詐欺組織から「海外で稼げる仕事がある」などと誘われて、現地に行ったところ、パスポートを取り上げられて、缶詰状態で詐欺の電話をかけさせられていたといいます。

今回の中国人組織グループによるケースも「楽に稼げる」「コールセンターのような仕事」との誘い文句で現地にくると「身分証を奪われて自由に動けなくなった」のことですから、詐欺組織の手口は、ほぼ同じと見て良いでしょう。

中国の公安省の発表によると、すでに、この詐欺に関わった帰国者数は5万人を超えるといいますが、どれだけ大掛かりな詐欺組織が多数、存在しているかがわかります。

当然ながら、逮捕された人物らが所属していた犯罪グループの中に、日本人からだましとったお金も流れている可能性は非常に高いと考えます。

うっすらと暗号資産でだまし取られた人の返金の道もみえてきた!?

恋愛感情を抱かせて、偽投資サイトに誘導してのお金のだまし取り方は「国内の銀行に振り込ませる」と「暗号資産で送金する」の2つがあります。

これまでは暗号資産で送金した場合「詐欺相手の身元もわからないのだから、返金の可能性はまずない」などと、言われてきました。

しかし今回の逮捕ケースにより、うっすらとですが、暗号資産で送金したケースの返金の道がみえてきたように思います。

そもそもビットコインなどの暗号資産の取引状況は一般にも見られますし、詳しい人が調べれば、そのお金の流れも追えるという話も聞きます。

となれば、今回の逮捕で、被害者の詐欺グループの拠点がわかり、お金がそのグループに流れていたことがわかれば、これまで絶対に不可能と言われてきた、返金の道への道筋も出てきているのではないかと思います。

日本と中国の金融犯罪への連携が必須

ただし、これを行うにも、日本と中国警察との金融犯罪に関する連携が必須になります。この点が今後の課題といえるでしょう。

確かに、日本と中国の政治的な関係はよくありませんが、経済における関係は、今後も一層、緊密になっていくはずです。

当然、経済の結びつきが強くなれば、その負の部分である金融犯罪も増えていきますので、経済の結びつきと同等の”金融犯罪における日本と中国との密接な連携”が不可欠になってくると考えています。

しかも、中国人による投資を絡めたロマンス詐欺の被害は世界で広がっています。

オーストラリア在住の日本人男性は、マッチングアプリを通じて出会った中国人の女性から紹介された偽投資サイトに、海外の暗号資産交換所を通じてusdt(テザー)という暗号資産で25000australia dollars(約200万円)を送金して被害に遭い、現地警察に相談しているとの被害報告も寄せられています。この時、メッセージアプリでやりとりした時の電話登録の国番号はベトナムだったといいます。

世界に広がる詐欺に対して、今こそ、日本が強いリーダーシップを発揮して、金融犯罪を撲滅するための国際的な連携を後押しすることが求められているのではないでしょうか。

今後、日本が中国警察との連携をはかり、甚大な被害を出している、偽投資サイト詐欺の撲滅と、その組織の全容解明にむけての取り組みを大いに期待するところです。