【追記】虚をつく強盗・詐欺が発生、被害続出の懸念!「息子に相談したい」も切り返す犯罪マニュアルとは。
在宅時を狙い、1200万円が奪われる事件が横浜で発生!
12月27日の夕方、保土ケ谷警察をかたった男らが、警察手帳のようなものを見せて家宅捜査を名目に家へ入りこみ、家族らが拘束されて1200万円が奪われる事件が発生しました。
まさに、これは虚をついて行われた強盗です。
この「不意打ち」という犯罪の基本手法を知っておかなければ、ご自身だけでなく、親、祖父母も被害に遭うかもしれません。
今回の事件では、事前に資産などを把握するためにかける犯罪の予備電話(アポ電)があったかは、はっきりしていませんが、用意周到に金庫を開けさせるなど、家にお金がある状況を何かしらの方法で把握されていたのは間違いないでしょう。
「住宅から現金約1200万円“警察官”装い強盗か」(テレビ朝日系(ANN))によると、犯人は5人組で押し入っています。
高齢者だけが住む家を狙う点検業者を装った「点検強盗」では、通常2人組で押し入りますが、今回は5人でやってきて、70代高齢夫婦と40代の息子の3人を拘束しています。多勢となれば、家族の人数も把握したうえで、この人数で犯行に及んだとみられます。
もはや息子が同居していても容赦なく強盗を行っており、家族が同居しているから安心というわけではありません。
いつ自らの身に降りかかるかわからず、他人事にしてはならない事態です。
今回も「警察手帳を見せて信用させる」「現金だけでなく、キャッシュカードも奪う」といった詐欺でもよく行われる手口から、振り込め詐欺などを行ってきた組織的犯罪グループの関与が強く疑われます。
虚をつく手口には厳重警戒
8月、9月には、高齢者宅を狙う、点検強盗が数多く発生しました。そして各地で注意が呼び掛けられました。そして、多くの人に警戒感がでてくると、組織的犯罪グループは点検強盗の手口を控えます。このところ、この種の事件が少ないと油断しているところに、今回の事件が発生しました。
今、まさに”虚をつく”形の犯罪が横行しています。
キャッシュカードをだましとる手口にも、それがみられます。
高齢の女性宅に、役所をかたり「払いすぎた保険料があります」との電話をかけて、「振込の手続きのために、キャッシュカードを郵送してください」と言ってきました。そして女性が郵送の準備をしようとすると、再び電話があり、「偶然、近くに銀行員がいましたので、カードを渡してください」と突然、言うのです。そして、偽の銀行員が家にきてカードをだましとっていきます。
これは「あなたのキャッシュカードで不正なお金の引き出しがあった」と不安にさせたうえで「警察署にきて、被害届を出してください」との電話をかける手口にもみられます。
「【独自】『署に来て』警官装う電話、全国で相次ぐ…都内だけで591件・新手の詐欺か」(読売新聞オンライン)によると、
「警察に来署してほしい」と電話で言われて、相手が本当の警察署員と信じている話の途中で、急に「巡回している警察官が家に行きます」と話を切り替えます。そして、不意打ちを食らわせてカードを詐取するというものです。この他にも「犯人の写真を見てほしい」という理由で警察署へくるように促す電話もかかってくるとのことです。
これは非常に巧妙な手口で、人は突然の出来事には弱いものです。
ただでさえ、「警察」「カードによる不正引き出し」と言われて、パニックになっているところに、いきなり話の流れを変えるのです。こうなると冷静になれずに誘導されやすくなります。
だます側は、流暢に話していたかと思えば、急に話にブレーキをかけて「ところで、どう思いますか?」と質問をしてきます。すると、突然の出来事に、思考がストップしてしまいます。その瞬間を狙って、相手は一気にだましの罠を畳みかけてきます。私もいろんな勧誘先でこの手を使われました。
話に急ブレーキをかけたり、急展開させるなど、不意をつくのは、だましの常とう手段だと思ってください。この手法を使われると、まんまと相手の術中にはまってしまうことになります。
組織的犯罪グループは、マニュアル化した形で犯罪を行います。
先の1200万円が奪われた事件では、偽の警察手帳を見せて事件捜査を装い家にきましたが、「偽の警察手帳提示か 横浜の強盗事件、千葉でも似た手口」(朝日新聞)では、千葉でも同様な手口が発生しており、家宅捜査を装った手法がパターン化されて広がる恐れがあります。
これまでは、家に押し入ったら、必ず家人を緊縛していましたが、「必要がなければそれをしない」傾向も見てれます。
タワーマンションに男らが宅配業者を装って侵入し、約600万を奪った事件でも、彼らはガムテープなどを持っていましたが、「相手が逃げずに、従う」と思えば、縛りませんでした。その場に合わせた、臨機応変に対応してきています。
家宅捜査を名目に多勢できて、現金やキャッシュカードを奪う手口には、十分な注意をしてください。(追記 12月30日)
「息子に相談したい」と言われても、切り返すマニュアルの中身とは。
電話をかけた時に何をどう話すのか、虚をつく犯罪の手口もそうですが、成功率を高めるためにすべてがマニュアル化されています。
「息子に相談したい」と高齢の母親に言われた時には?どうするのか。
入手したマニュアルでは、次のようになっています。
偽の警察官は「実は、私もそうしたいと思っていたのですよ」と相手の話にのったうえで、「とても大事なことですので、こちらからも息子さんにお電話をしたいと思います。息子さんのお電話番号を教えて頂いてよろしいでしょうか?」と切り返します。
番号を聞き出すと、突然、偽警察官は「では、息子さんに電話をかけますね」と息子に電話をかけだします。
もちろん、かけたフリです。
母親とは電話をつないだままの状態にして、こちらの声が聞こえるように「はい。はい。そうですか。わかりました。お母様にもお伝えしておきますね。お忙しいなか、ありがとうございました」と話します。
そして、通話が終わった様子で、再び母親の電話に出ます。
「息子さんは、かなりお仕事で忙しいようですね。詳しいことはお母さんにお聞きして、手続きを進めるように、とのことでした」
母親は息子の了解がとれたならと思い、偽の警察官の話に乗ってしまうことになります。
犯罪者はあらゆる手段で、私たちのお金を狙ってきます。
年末、年始は手元に多額のお金を家におきがちで、犯罪者に狙われやすいうえに、特に今年は新型コロナ蔓延の影響で、外出を控える人も多くなり、被害に遭う確率は高くなっています。
くれぐれも、マニュアル化された「不意をつく」強盗・詐欺の手口には、充分な警戒して頂ければと思います。