だからみんなジャパンライフに騙された!?次々と明らかに!笑顔の裏に詐欺の罠・心理誘導テクニック。

(写真:アフロ)

今月29日、東京地方検察庁は、ジャパンライフの元会長・山口隆祥被告を詐欺罪で追起訴し、元社長ら12人を出資法違反で起訴しました。

ジャパンライフによる被害額は、戦後最大規模ともいえる2000億を超えるものとなったわけですが、なぜ、これほど被害が大きく広がってしまったのでしょうか。

それは時流にのった形での組織ぐるみの騙しが行われてきたからに他なりません。

こうして被害は広がった!

「ただでマッサージやエステをしてもらえるから、一緒に行かない?」

知人から温泉施設に誘う電話があり行ってみると、高齢者がたくさん集まっています。誘われた人は、その場所を訪れて初めてここがジャパンライフの集会であることを知ります。実は誘ってきた知人もジャパンライフの商品購入者で、マッサージが終わると「今度はお店に行こうね」と言い、後日、代理店に誘われます。

ある高齢女性はお店に連れて行かれて「腰の具合が良くなる」という磁気ベルトを試着すると、社員から「この商品を購入して、レンタルすれば、年6%の利益が入りますよ」と勧められます。この磁気治療器自体は100万から600万円とかなりの高額ですが、「レンタル料が入ることで、年金よりも安定した収入が一生入りますよ」と言われて契約してしまいます。

これが会社の行っていたレンタルオーナー商法です。

一定期間、商品をジャパンライフに預ける形なので、本人の手元にはいきません。それをいいことに、店側は契約者を欺きます。

2015年の消費庁の調査では、契約者が預けたはずの商品は2万2441個ですが、実際にはその1割ほどしかレンタルされておらず、しかも商品の在庫も95個しかなかったといいます。しかし、これは勧誘を受けた人には知る由もない事実です。

嘘はこれだけにとどまらない。

商品を販売する際「脳梗塞を予防できます」と謳っていました。これは元会長が勝手に言い出したということで、効能の裏付けは何もありません。エビデンスがないままに商品を販売することは、法律に違反した行為になります。さらに、磁気治療器についている磁石は数十円と安価ですが、販売する時には「数千円ものレアメタルを使っている」と嘘をついていたことも明らかになっています。

嘘にまみれた形で契約をさせていたわけですが、ジャパンライフの悪辣さは、さらに続きます。

震災後という時流にのって、ターゲットを定める。

特に狙われたのは、2011年の東日本大震災で原発事故の被害に遭った福島の人たちでした。福島県は全国で店舗数が一番多く、しかも営業の月のノルマも他の県よりも高く設定されていたということです。勧誘強化の狙いは、事故による賠償金であることは間違いないでしょう。社員らに仮設住宅を訪問させて信頼関係を構築させるなど、被害に遭って弱っている人たちのお金に群がるなど、卑劣な行為というより他はありません。

さらに、勧誘をする上でもランクを決めており、資産の状況を聞き出し、お金をたくさん持っている人から勧誘をしていました。それにより、億単位の被害になっている方もいます。

では、どのように信用させたのでしょうか?

詐欺では、肩書、権威を利用して、相手からの信用を得ようとします。

ジャパンライフも同じように、著名な国会議員の名前を使い、自分には権威あるブレーンがいることをアピールしながら、顧客らを信用させていました。

その最たるものが、「桜を見る会」です。

当時の安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の招待状が届いたことを勧誘のチラシに載せており、これを見た人は元会長が当時の総理大臣からの信頼を得ていると思って、契約をしたに違いありません。

ですが、これは外部だけでなく、内部に向けた意味もあります。

営業社員に、この事実を見せることで「自分たちのやっていることは間違いがない」という気持ちを鼓舞させて、高齢者への営業をさらに邁進させることにもつなげられるからです。肩書や権威を使って信用を得るやり方は、会社の内外に向けた手法なのです。

これだけ被害が広がった理由には、口コミによる情報での拡散があります。

ジャパンライフでは、知人に知人を誘わせていました。イベントなどに新規の顧客を連れてくる商品購入者を「活動者」と名付けて千円ほどの時給を払っていました。さらに契約となると紹介料が支払われます。

冒頭の温泉施設への誘いがまさに、「活動者」によるものです。

ここではマルチ商法でも使われる、とても効果のある口コミ勧誘の手法、ABCテクニックが使われていました。

これは、A:Adviser、B:Bridge、C:Customerの頭文字を取ったものです。

ジャパンライフでいえば、実際に配当があり、儲かると信じきっている「活動者」橋渡し役(B:ブリッジ)に、知人の新規顧客(C:カスタマー)を連れてこさせて、話術に優れた営業社員(A:アドバイザー)が説得に当たります。

この役割分担をすることで、契約の成功率は飛躍的に上がります。自分が良かれと思って紹介してしまうことで、被害が広がってしまったのです。

極めつけは契約のさせ方です。自らの有利な環境に引き入れて行っています。この手法を使われた高齢者はひとたまりもないでしょう。

環境を操作して騙す。

誘い入れた人に契約書へのサインをさせる。これが大事な最終局面になります。ジャパンライフは環境を巧みに操りながら、高齢者を誘導していました。

考えて頂きたいのが、もしネット上の通販サイトで、数百万円もの磁器治療器が売られていたとして、それを見ただけで誰が買おうとするでしょうか?

いくら説明文がすばらしくても、簡単には申し込みボタンを押さないと思います。

つまり通常の状況下では、誰も購入しないものを、ある環境に引き入れることで、簡単に買わせることができるのです。

ここには「浅慮」という心理状態があります。

浅慮とは、思考の範囲が狭まったり、本来の意思決定の状態から注意が逸らされてしまうなど、思考力、判断力が低下する心理状態のことで、こうなると、普段なら行うはずのない、意思決定をしてしまいがちなのです。

高齢者を会場に集めて、高額商品を販売する催眠商法を例にあげれば、わかりやすいかと思います。

催眠商法では、会場でたくさんの「ものを無料であげて」、感謝の思いを募らせます。

こうした「ありがたい」思いを積み重ねながら、笑わせて、楽しい状況(興奮状態)を作りだし、浅慮の状態にしていきます。すると、しだいに高齢者は思考力が低下して、契約の良し悪しを冷静に判断できなくなるのです

その上で、数十万、数百万円もの「布団」や「健康食品」をすごく良い物のように紹介して販売します。一種の催眠状態にさせながら、ものを販売することから、その名がついています。

ジャパンライフでも、誘われた高齢者に対して、店員や知人から徹底した尽くす行為が行われます。たとえば、集会には社員が車で送り迎えをする。会場ではただでマッサージが行われて、健康食品なども配られます。そして、知人をまじえた楽しい会話。こうした溢れかえる親切や優しさ、尽くしのなかで、レンタルオーナーを紹介されて、数百万円もする商品の契約をしていまします。本人としてはよく考えて契約したつもりかもしれませんが、会場の雰囲気に飲まれて、客観性に欠ける判断をして契約をしてしまっているのです。

得てして悪質業者は、契約の締結ができるように、状況や環境を巧みに操るものです。

騙されないためには、勧誘場所へ行かない!

悪質業者が待っている、アウエーの状況に追い込まれない!

もし会場に行ったとしても、その場での契約はしないこと!

これらを心掛けることが被害に遭わないためには大事になります。

約2400億円の負債を抱えて経営破綻するまで、長年にわたり債務超過の事実を隠すなど、ジャパンライフは高齢者らを中心に騙し続けてきました。過去に類を見ないほどの大きな被害になった理由も、笑顔の裏に隠された数々の嘘と、元会長を中心とした組織的な騙しの手法に長けていたことが大きいといえるのです。