米大統領選でトランプが勝つとAI政治が始まる?

(写真:ロイター/アフロ)

2020年の日本は56年ぶりのオリンピックで(おそらく)盛り上がるでしょうが、世界的に注目されるのはなんといってもアメリカの大統領選挙です。

民主党は夏の党全国大会で候補者を決め、11月の大統領選で二期目を目指すトランプとたたかうことになります。この対抗馬が中道左派(リベラル)になるか、国民皆保険制度などよりラディカルな政策を唱える急進左派(レフト)になるかが第一の注目点です。

対するトランプは、「こんな奴が大統領になったら世界は破滅だ」との予想を裏切って、北朝鮮のミサイル発射を止め(これについては日本人は感謝すべきでしょう)、懸案だったメキシコ、カナダとの貿易協定をまとめ、米中貿易摩擦にもかかわらずニューヨーク株価は市場最高値を更新し、共和党支持者から90%ちかい圧倒的支持を得ています。

米大統領選の行方を占う前哨戦が、昨年12月に行なわれたイギリスの総選挙でした。EUからの離脱を掲げる「ポピュリスト」の保守党ジョンソン政権に急進左派のコービン労働党が挑みましたが、結果は保守党の大勝、労働党の惨敗で、コービンは早々に党首辞任を表明しました。

すでにいわれているように、勝敗の分かれ目は、保守党が「(ブレグジットの実現が進まない)国家的にみじめな状態を終わらせる」というシンプルな主張をしたのに対し、党内でEU残留派と離脱派が対立する労働党は、「反緊縮」などの経済政策を前面に押し出さざるを得ず、「これでは混乱を収拾できない」と有権者から思われたことでしょう。しかしそれでも、「格差拡大を国家のちからで止めるべきだ」との主張が一顧だにされなかったことは、同様の政策を掲げるアメリカの”レフト“たちに大きな衝撃を与えたはずです。

とはいえ、イギリスの年齢別政党支持率からは別の側面が見えてきます。「保守党圧勝」の選挙でも、18歳から45歳までの若年層では労働党支持が多数派で、とりわけ10代、20代の若者は8割が労働党に投票しているのです。イギリスの総選挙は世代間対立で、「EUへの残留を望む若者世代の希望が高齢者世代によって粉砕された」と見ることもできそうです。

日本でも世界でも高齢化が進んでおり、投票率の高い高齢者層に支持されなければ選挙に勝てません。そうなると、どれだけ選挙を繰り返しても若者世代は永久に負けつづけることになります。

日本では団塊の世代が後期高齢者になり、年金や医療・介護で高齢者負担を増やすような改革はほとんど不可能になりました。少子高齢化が世界最速で進む日本の若者世代はずっと前から「絶望」しており、その意味では日本は世界の先端にいたのかもしれません。

若者世代が改革を求め、高齢者世代がそれを拒絶する構図が固定化すると、賢い若者たちはデモクラシーに興味を失い、現実政治から撤退していくでしょう。次にやってくるのは、「AI(人工知能)に社会の効用を最大化する政策を計算させればいい」という「テクノロジー・ポリティクス」です。

これを“初夢”と笑うかもしれませんが、トランプが再選されれば、案外早くそんな未来が到来するかもしれません。

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