「職員室カースト」が子どものいじめの元凶

(写真:アフロ)

神戸市の市立小学校で、4人の教師が20代の後輩教師に陰湿ないじめを繰り返していた事件が波紋を広げています。報道によれば加害者はリーダー格の40代の女性教諭と30代の男性教諭3人で、暴言・暴行のほか、激辛カレーを無理矢理食べさせたり、LINEで別の女性教員にわいせつなメッセージを送るよう強要していたとされます。

女性教諭は校長から指導力を評価されている校内の中心的な存在で、男性教諭たちは生徒から人気があり、いじめに気づいていた他の教員も、報復を恐れて言い出すことができなかったようです。

すでに指摘されているように、これは子どもたちのいじめと同じ構図です。

いじめ加害者の多くは担任から気に入られているリーダー的な存在で、クラスメイトからも人気のある「スクールカースト上位」です。それに対して被害者は「下位カースト」で、生徒ばかりか担任もこころのどこかで「いじめられても仕方ない」と思っています。

この構図をそのまま「職員室カースト」に当てはめれば、校長のお気に入りの加害教師と、“いじられキャラ”の被害教師という関係になります。校長にいじめを相談しても相手にされなかったのは、そもそも被害教師のことが好きではなかったからでしょう。加害教員の謝罪のコメントが火に油を注いでいますが、自分の加害行為をまったく認識していないのも子どものいじめとまったく同じです。

深刻ないじめは、例外なく閉鎖的な組織で起こります。自由に離脱できる環境では、イヤな奴がいればさっさとほかに移ればいいだけです。相手が逃げることができず、どれほどいじめても無抵抗だから面白いのです。

学校は典型的な「閉鎖空間」ですから、子どもたちだけでなく、教師のあいだでいじめが起きてもなんの不思議もありません。

1999年に福岡の小・中学校の教師を対象に、研究者が職員室の人間関係を調べました。その後、この種のアンケートはほとんど行なわれておらず、現在でもきわめて貴重な研究です。

その結果は、学校での教師間のいじめが「よくある」「ときどきある」とした小学校教師は合わせて15.1%、中学校教師は20.6%で、自分が他の教師からいじめられることが「よくある」「ときどきある」とした小学校教師は合わせて13.0%、中学校教師は14.8%でした。他の教師から陰口を言われたという小学校教師は46.1%、中学校教師は48.5%、嫌味を言われた小学校教師は58.6%、中学校教師は60.5%にのぼります。

日本の学校では、教師の5~6人に1人が「教師同士のいじめがある」と報告しており、自分が「いじめられたことがある」とする教師も6人に1人程度いるのです。

ここからわかるのは、教師が教師をいじめる「学校風土」が、子ども同士のいじめの背景にあることです。自分たちのいじめを解決できない教師が、子どもたちのいじめに対処できるはずはありません。

文科省がどれほど「いじめ対策」を進めても、なんの効果もない理由を今回の不祥事は教えてくれます。それでもいじめを根絶しようとするのなら、「学校」という閉鎖空間を解体するほかはないでしょう。

参考:和久田学『学校を変える いじめの科学』(日本評論社)

『週刊プレイボーイ』2019年10月28日発売号 禁・無断転載