「日本的雇用が日本人を不幸にしてきた」という不都合な真実

(写真:アフロ)

平成もいよいよ終わろうとしていますが、この30年間を振り返っていちばん大きな変化は、日本がどんどん貧乏くさくなったことです。

国民のゆたかさの指標としては1人当たりGDPを使うのが一般的です。日本はバブル経済の余勢をかって1990年代はベスト5の常連で、2000年にはルクセンブルクに次いで世界2位になったものの、そこからつるべ落としのように順位を下げていきます。

2017年の日本の1人当たりGDPは世界25位で、アジアでもマカオ(3位)、シンガポール(9位)、香港(16位)に大きく水をあけられ、韓国(29位)にも追い越されそうです。訪日観光客が増えて喜んでいますが、これはアジアの庶民にとって日本が「安く手軽に旅行できる国」になったからです。

このていたらくを「グローバリストの陰謀」と怒るひとがいそうですが、これは事実(ファクト)に合致しません。「グローバリストの総本山」であるアメリカ(8位)の1人当たりGDPは5万9792ドルで、日本は3万8449ドルですから、国民のゆたかさは3分の2しかありません。これを単純に解釈すれば、「日本をもっとグローバリズムの国に!」ということになります。

平成の日本のもうひとつの「不都合な事実」は、サラリーマンのエンゲージメント指数が極端に低いことです。「会社への関与の度合いや仕事との感情的なつながり」を評価する基準で、エンゲージメントの強い社員は仕事に対してポジティブで、会社に忠誠心を持っているとされます。

近年になってエンゲージメントの重要性が認識されるようになり、コンサルタント会社を中心にさまざまな機関による国際比較が公表されるようになりました。それぞれ評価方法はちがいますが、衝撃的なのは、どんな基準でも日本のサラリーマンのエンゲージメント指数が最低だということです。

「グローバルスタンダードの働き方を日本にも導入しよう」という話になったとき、右も左もほとんどの知識人は、「終身雇用・年功序列の日本的雇用が日本人を幸福にしてきた」として「雇用破壊の陰謀」を罵倒しました。ところが「ファクト」を見るかぎり、日本のサラリーマンは世界でいちばん会社を憎んでおり、仕事に対してネガティブで、おまけに労働生産性は先進国でいちばん低いのです。これを要約すれば、「日本的雇用が日本人を不幸にしてきた」ということになるでしょう。

会社が大嫌いにもかかわらずサービス残業などで長時間労働させられるため、日本の会社では過労死や過労自殺という悲劇があちこちで起きています。市場が縮小するなかでは昇進の余地は限られ、どんなに頑張っても給料はほとんど上がらず、年金と高齢者医療・介護を守るために保険料は重くなって手取りが減っていきます。国全体がどんどん貧乏になっているのですから、「戦後最長の好景気」を実感できないのも当たり前です。

日本人は「嫌われる勇気」を持って「置かれた場所で咲こう」としますが、現実には置かれた場所で枯れていってしまいます。そんな社会で「幸福」を手にするにはどうすればいいかを『働き方2.0vs4.0』(PHP)で書きました。

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