Yahoo!ニュース

小銭貯金はもうやめろ! 1円玉1000枚を預金したら手数料1100円……ってマイナスじゃん!

山崎俊輔フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP
小銭を貯めて銀行へ、貯金になるどころかマイナスになる時代が始まっている(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

小銭をコツコツ貯めて預金するのは貯蓄の定番だと思っていたらマイナスかも

貯金箱や空き缶に、日々のおつりの小銭を貯めていき、満杯になったら銀行に出かけて入金する。昔からある貯金をする定番手法のひとつでした。

日々の買い物の端数で出たおつりですから負担感は小さいですし、気がつけばけっこうな金額になったりします。子どものころチャレンジした経験をお持ちの人もいるでしょう。

しかし今はこの方法、うまくありません。例えば「1円のおつりを1000枚貯めたので、窓口に並んで入金をお願いしたら、1100円の手数料を取られた」なんてことが起こる時代になっているからです。

窓口へ大量の硬貨を持ち込むと入金手数料がかかる

近年、各銀行は「大量硬貨取扱料金」のような手数料を取るようになっています。これは窓口に大量の小銭を持ち込んだ場合、手数料をもらうというものです。例えば三井住友銀行の場合を見てみましょう。

三井住友銀行 硬貨入金整理手数料のご案内

 ※300枚までは無料で以降は有料

2019年12月にスタートした同行の場合、1000枚のコインを持ち込むと1100円、以降は500枚ごとに550円が加算されるルールです。言ってしまえば「1円玉を1000枚貯めたので入金に行ったら、1100円の手数料を現金で払う」ということになります。

この手数料は今のところ窓口に限り、ATMでは手数料を取りませんが、こちらはこちらで機械の処理制限がありますので、100枚までしか一度には入金できません。それでも今のところは毎日ちょっとずつ、ATMで処理すれば入金できます。

同様の手数料はメガバンク各行が採用しています。

みずほ銀行 大量硬貨取扱手数料の新設について

 ※100枚までは無料で以降は有料

三菱UFJ銀行 大量硬貨取扱手数料新設のお知らせ

 ※100枚までは無料で以降は有料

同様の手数料はりそな銀行やいくつかの地方銀行でも設定されています。りそな銀行は2021年10月1日から手数料の値上げもしています。

今は枚数制限なく無料で入金できるゆうちょ銀行でしたが、2022年1月17日から手数料を取ることを決めています。

ゆうちょ銀行 硬貨取扱料金の新設(窓口での取り扱い)

ゆうちょ銀行 ATM 硬貨預払料金の新設

ゆうちょ銀行の新設手数料で恐ろしいのは、ATMでの入金についても硬貨について手数料を取るということです。

リンク先をご覧いただくと分かりますが、出金も対象なので、もはやゆうちょ銀行では「小銭でおろしても、小銭を預けても手数料が取られる」ということになります。

キャッシュレス社会において、小銭を貯めることはマイナス

時代はキャッシュレス決済の時代です。私はスマホに設定したモバイルSuicaを中心にクレジットカード(スマホに設定したiDやQUICPayを含む)を活用しているので、現金をほとんど使いません。子どもにガチャガチャを遊ばせるときはあわてて小銭を作ります。

キャッシュレス時代に小銭を貯める、ということはもはやほとんど意味がないといえます。そもそもキャッシュレス決済を利用し始めると小銭が発生しないわけですから、おつり貯金の意味も薄れてしまうからです。

日々の買い物のおつりが幾度も発生し、そのつど数円から数十円を貯めるのであればおつり貯金の意味があったわけですが、買い物の何割かをキャッシュレス化すれば、おつりの発生割合もその分減ってしまいます。つまり、おつりが貯まらないわけです。

それに入金時に手数料がかかるとすれば「日々の現金決済で小銭を使ってしまう」ほうがよっぽどマシです。部屋のどこかに、小銭を貯めておく空き缶や貯金箱がある人は、もうその貯金はストップして、日々の買い物で小銭として使ってしまうほうがいいでしょう。

現金で買い物をして手数料を取られることはさすがにありません(キャッシュレス決済でポイントが貯まることを考えれば、現金の買い物は0.5%以上割高であるともいえ、それは「現金払い手数料」ともいえますが)。

「おつり貯金」の代わりに「おつり投資」でもしてみたらいかが?

「おつり貯金」にどうしてもこだわりたいという人は、現金を介さない方法を検討してみましょう。

たとえば、「マメタス」「トラノコ」といったサービスは「おつり投資」という仕組みです。家計簿アプリから買い物履歴を収集し(記帳は自動化できる)、「88円の出金があれば12円をおつりと認識」のように積算し「今月のおつり累計額は○○円」と計算、毎月自動積立をしてくれます。おつり貯金の自動化というわけです。

家計簿アプリは銀行口座、クレジットカード、電子マネー、ECサイトなどのアカウントを連携すると買い物履歴を自動収集し記帳してくれるので、空き缶でやっていたことと同じ貯金が、むしろ厳密に行われます

同様のサービスには「THEO+ docomo」もあります(ただしdカードの利用が必要で同カードの履歴のみでおつりを算出)。

キャッシュレスの時代には「おつりを貯める」のもキャッシュレスというわけです。

こうしたおつり投資は引き落としの手数料を取りませんので、少額からの積立をなんとかやりたい人は検討してみるといいでしょう。

……いずれにせよ、「小銭は正直いって迷惑です」というのが銀行の本音です。今のうちにキャッシュレス生活に慣れて、現金を使わない生活に切り替えていくことをおすすめします。

フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP

フィナンシャル・ウィズダム代表。お金と幸せについてまじめに考えるファイナンシャル・プランナー。「お金の知恵」を持つことが個人を守る力になると考え、投資教育家/年金教育家として執筆・講演を行っている。日経新聞電子版にて「人生を変えるマネーハック」を好評連載中のほかPRESIDENTオンライン、東洋経済オンラインなどWEB連載は14本。近著に「『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」「共働き夫婦お金の教科書」がある。Youtube「シャープなこんにゃくチャンネル」 https://www.youtube.com/@FPyam

山崎俊輔の最近の記事