「お値段そのままサイズダウン」シュリンクフレーションで買い物はどう見直すべきか

お値段そのままにサイズダウンする方法で、じわじわ値上げが始まっている。(写真:アフロ)

お値段そのままサイズダウン、それはシュリンクフレーション

スーパーマーケットで、「お値段そのまま」と書かれたスリムボトルの飲み物を見かけたことはありませんか。あるいは手に取ったとき「あれ、なんかちょっと軽くなったな」と思うこともあるでしょう。実はそれ、「シュリンクフレーション」かもしれません。

シュリンクフレーションというのはピッパ・マルムグレンの造語のようですが、簡単にいえば「お値段そのままサイズダウン」による実質的な値上げのことです。シュリンク(収縮)とインフレーションを掛け合わせた言葉になります。

例えば様々な商品が、価格やパッケージが変わらないままサイズだけはシュリンクしている。この「シュリンクフレーション」こそが兆しなのだ~ピッパ・マルムグレン

出典:Wikipedia シュリンクフレーション

先日GIGAZINEの下記記事でシュリンクフレーションをまとめているサイトを知りました。

GIGAZINE 値段は同じなのに内容量が減る「シュリンクフレーション」を確認できる「いつの間にか容量が減っている商品Wiki」

いつの間にか容量が減っている商品wiki

まとめサイトをみてみると、シュリンクフレーションはたくさんの商品に及んでいることが分かります。おそらく「え、私が買っているあの商品も?」という商品がたくさんみつかるはずです。

私が最初に実感したのは、いつも買っていたペットボトルの野菜ジュースが容量を少なくしたことです。ちょっとスリムサイズになったな、と思っていたらパッケージ横に、冷蔵庫内で収納が楽になることや持ち運びの負担が楽になることがかかれていて、「おや、これは実質値上げじゃないのか?」と気がつきました。

経済的には「値上げ」というのはむしろ売り上げダウンのリスクをはらみます。消費者の印象を強く刺激するからです。2008年に日清食品がカップヌードルの値上げをしたときは、大きく売り上げが減少したことが話題となりました。

しかし「お値段そのまま」でも「内容量は少し減っています」というのは私たちに値上げの印象を与えにくいので、わずかにインフレ圧力があって、原材料の値段が高騰している時代(つまりこれからの時代)には採用されていくことが増えていくと思われます。

今回はビジネス論ではなく、ファイナンシャルプランナー的な感覚で、個人の家計はこのシュリンクフレーションをどう考えていくべきか整理してみたいと思います。

シュリンクフレーションを家計としてどう考えるべきか

お値段そのままで1000mlの飲み物が900mlになったとすればこれは値上げ以外の何ものでもありません。まずその事実はよく考えておくべきです。同じお金を出して買える「量」は確実に減っているわけですから、家庭内での使用量が変わらないとすれば必ず出費は増大します。

しかし、私たちの多くはこのくらいの容量変化では大きく値上がりしたという印象を持ちません。「改訂前の価格」と「新価格」を正確に比較することもできませんから(検索すればすぐ分かるのですが、スーパーマーケットでいちいち検索などしていられない)、「ま、たぶん値段は変わっていないのだろう」と思いつつそのまま買い続けてしまいます。そこが怖いところです。

もしもすべての商品がシュリンクフレーションして10%の容量が減ったとすれば、私たちは同じ量の消費をしたいとすれば11%多いお金が必要になります。

200円で1リットルのジュースを買えていたものが買えていたものが900ミリリットルで200円になれば、1リットル欲しければ222円が必要ということですから、食費や日用品がすべてそうなってしまえば、かなりの家計の負担増になります。食費や日用品に月10万円かかっていたとしたら、11.1万円かかるというくらいのインパクトがあるわけです。

もちろん、実際にはすべての商品がシュリンクフレーションするわけではありませんし、賃金上昇圧力も生じるため完全な「11%負担増」とはいかないものの、覚悟をしておく必要はあります。

シュリンクフレーションの対策をFPなりに考えてみると

さて、シュリンクフレーションについて、家計で考えてみたとき「使う量を減らす」という対策は考えられます。それでもまずはチャレンジしてみなければいけません。

例えば、1本の牛乳やフルーツジュースを「家族で3日で飲みきる」というようにしていたなら、そのペースを変えなければシュリンクフレーションの影響は生じずにすみます。これは要するに「飲む量を毎日ちょっと減らす」ということなのですが、なんとなく注いで、1~2割くらい残していることはよくあります。飲み残しが日常化しているなら、気をつかってみるだけで値上げの影響を回避できます。

食品によっては枚数や個数は同じで、ひとつあたりのグラム数を減らしていることもあり、この場合は生活はそのままにしておけば値上げ対策になったということです。しかし「なんか物足りないな」といつも2枚のハムを3枚食べたり、チョコを1.5枚食べてしまうようではシュリンクフレーションの罠にはまって11%以上の出費増になるので注意が必要です。

節約の観点でいえば「不要なものはもう買わない」も大事な手段です。賞味期限を経過してしまったり傷ませてしまい食材を廃棄することが少なくないなら、家庭内で一度見直しを考えてみるべきでしょう。そもそも買わなければ、シュリンクフレーションの影響を受けなくてすむどころか、支出は大きく減らすことができます。

難しいのは日用品です。たとえば洗濯洗剤のシュリンクフレーションについては一回当たりの使用量はおそらく変わらないでしょうから、値上がりそのものを受け入れるしかありません。この場合は「洗濯回数をまとめる(半分も入っていない状態で一回分の洗剤を入れるようなことはやめる)」とか「適量より多く洗剤を投入しているのを適正化する」のような対策が考えられます。また「ドラッグストアのセールをしっかりチェックして、底値で買う」のようなところで回避するのも効果的でしょう。

あまりにも久しぶりのインフレは、おそらくシュリンクフレーションで対応することになる。要注意を!

日本ではあまりにも長期にわたってインフレがありませんでした。社会人の半分以上が社会人になってインフレを経験していない世代になっているほどです。毎年のようにモノの値段が5~10%上がるけれども、給料も同じくらい上がり続けている時代があったなどほとんど想像もできないでしょう。しかし原材料費やサービス価格がいつまでも下がり続けることは難しく、いつかは値上げが始まります。

そのとき、「内容そのまま」の値上げはなかなか難しいため、「お値段そのまま」の実質値上げに踏み切るところが増えていくことでしょう。初期のインフレ、マイルドなインフレについてシュリンクフレーションでメーカーは対応していくと思われます。

これからの「お値段そのまま・サイズダウン」というシュリンクフレーション傾向については、店頭で気をつかっておきたいものです。

「なんだかよく分からないけど、家計の支出が11%増えているぞ?」ということになってからでは遅いのですから。