副業や複業が公的にも解禁に?ダメなやり方上手なやり方を考える

働き方改革の流れで兼業禁止を見直す動きですがさて、副業や複業をどう考えればいい?(ペイレスイメージズ/アフロ)

副業や複業を禁じた「就業規則モデル」の見直し~禁止から「どうやるか」の時代へ

「国が副業を認める」というニュースが話題になっています。これは厚生労働省が公表しているモデルの就業規則にあった兼業禁止規定を見直す方向で検討されている、というものです。

政府が年度内に副業解禁へ:長時間労働不安、社会保険はどうなる?

出典:BUSINESS INSIDER JAPAN

もともと兼業は法律で禁止されているわけではなく、多くの場合就業規則にその旨を記載し、社員がそのルールにより兼業を制限されています。しかし、会社が社員を強く拘束する規則は時代の流れに合っておらず、また国の就業規則モデルが禁止している条項を残していることも見直しが進まない一因となっているとして、手直しをかけているとのことです。

確かに、厚生労働省のホームページには兼業を制限する就業規則のモデルが掲載されています。

モデル就業規則について

出典:厚生労働省ホームページ

(遵守事項)

第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。

 (略)

(6)許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。

就業規則モデルの見直し自体は「働き方改革」の一環でもあるので、ほぼ確実に実現することでしょう。しかし、兼業禁止規定が削除されたからといっても、何をやってもいいわけではありません。「副業」「複業」について今から少し考えてみましょう。

「副業」は“正”業に支障がないことと「好き」でやることがカギ

副業とか複業というのは法律用語ではありませんが、すでに意味合いの異なる言葉として使われていますので、ここでもふたつの兼業について考えてみます。

まず、今勤めている会社の勤務実態はフルタイムのまま、別の仕事をサブでやってみるというのが「副業」です。本業が「正」に対して「副」というイメージです。原則として「今の仕事と同じ業務で副業しない(プログラマーが私的にクライアントを奪って開発案件を受けるようなことはNG)」「業務時間内には副業はしない」などが求められます。これは新しい就業規則でも明記されることになるはずです。

基本的にはメインの仕事の勤務日数はまったく変わらず、その他の時間で別の仕事をするのが「副業」の基本パターンになります。ブログをいくつか運営していて、アフィリエイトをやっているようなケース、週末だけバイトをしている、というようなケースが副業のよくあるパターンです。

マネープランとしては本業の仕事については給与がまったく減ることがなく、副業で追加の収入を得ることになることがメリットです。これにより合計年収を増やすことができます。

しかしこの場合、夜や週末の休みの時間を使うわけですから、無理をして本業の仕事に影響が出ないようにする必要があることが注意点です。本来ならのんびり休んでリフレッシュする時間に働くわけですから、体調を崩すことのないようにしなくてはいけません。

月に10万円くらい確実に増やそうと考えるのはたぶん無理があって、「時給」を目当てにたくさんの時間を拘束しなくてはなりません。深夜や土日のほとんどの時間をコンビニバイトするようなことはやめておいた方がいいでしょう。

その点では、副業の収入に過度に依存しないことと、「好き」であることをするのが大前提です。たとえば興味もないテーマで苦痛を感じながらブログ連載をしていてもうまくいかないでしょう。

それでも、副業がおおっぴらにできることはよいことです。本名でブログを運営できたり、趣味が長じてアート系のアイテムをWEBで販売できるようになれば、もしかすると思わぬステップアップがあるかもしれません。

本格的な「複業」は契約も難しくなるが、本気ならやってみたい

複数の会社に所属したり、自分がもっている会社との「ふたまた」をかけながら働くのを複線化、の言葉にかけて「複業」と呼ぶようです。こちらはどうでしょうか。

今回の就業規則モデル見直しでも「複数の会社に所属すること」を禁じる条項をカットすることで、「ベンチャー企業で週数日働きながら、今の会社の主たる仕事も維持する」というような働き方を可能とするようです。

会社はいくつもの会社と取引するのが当たり前です。個人事業主(フリーランス)もいくつもの会社と取引をして収入を得ています。これらと同じように、会社員も複数の会社と契約して働けるようになるというのが「複業」のイメージです。

チャレンジしてみたいもう一つの仕事がある場合、今までは「諦めるか、今の会社を辞めるか」しか選択肢がありませんでした。しかし「複業でチャレンジ」という選択肢が増えることになります。また複業でうまくいかない場合も、本業の雇用や収入は維持できるのもメリットです。

しかし複業の場合、副業と比べると会社としっかり話し合ってその複業のあり方について了承を得ることが必要になります。「月・水・金は今の会社で働き、火・木は別の会社で働く」というような働き方は一般的な会社員の契約ではないので、きちんと話し合っておかなければなりませんし、その中には給与条件の見直し、人事評価の影響、社会保険や税金の取り扱いなども含まれます。

複業の場合は特に、「複数の会社から給料をもらう」ということになりますので、税金と社会保険の面で注意が必要になります。基本的には給与が高く、勤務日数が多い方で適用を受ければいいのですが、仕組みとしては本人が手続きをする、ということになっています(それぞれの勤務先の月収を申告し、社会保険料音計算基礎とする)。

複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き

出典:日本年金機構

税金についても勤務先にそれぞれ申告し、どちらかを主たる納税先(年末調整等も行う)とします。このとき、従たる勤務先のほうは税率が高くなり(乙の適用を受ける)、複数の会社に働くことで税金逃れをすることはできないようになっています。引かれすぎている分は確定申告で還付金を申請します。

No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収

出典:国税庁 タックスアンサー

複業については、二つの仕事を同時にこなす大変さもありますし、場合によっては合計の年収がダウンすることもあるかもしれません。しかしやりがいもあります。セカンドキャリア、複線化のキャリアをイメージできる人材にとっての新しい選択肢として注目してみるといいでしょう。

ひとつの会社に全面依存することのリスクヘッジとしても副業・複業を今から考えてみてはどうか

今回の報道(とネットのコメント)をみていると、「会社は給与をこれ以上払えないから、副業を許すので自分で追加収入を稼げ、というのか」という意見が少なくないようです。しかしこれはミスリードだと思います。

もともと空き時間にお金を稼ぐ自由(副業)があるのを、会社が制限していて、今後はそれは制限されない、ということの問題整理が今回の解禁の流れにあるし、今回一番重要なことです。

また、複業などは「個々人ごとの労働契約」ということも会社が認めることになるわけで、多様な働き方にもつながります。私も、「自分の会社と別の会社の2カ所から給与をもらう」という働き方を何年かして、試行錯誤の末に今は「自分の会社が別の会社と契約して、取引先にヤマサキを派遣する(別の会社からの報酬は自分の会社の売り上げとしてもらい、給与は自分の会社1カ所からもらう)」という働き方にしています。

複業をして、ダブルで正社員になるとちょっと大変なのは事実でしょう。しかし、違う会社にも席をもつことはちょっと面白い経験です。しかもその会社に常駐ではないので、会社組織のしがらみからは少し距離を置けるというのも気楽だったりします。

やってみると会社人間として組織に思考を縛られている自分に気がつかされるかもしれません。もしかしたら、今の会社を完全に辞めて、新しいチャレンジをする足場作りになるかもしれません。副業や複業、これから考えてみてはどうでしょうか。