男性育休は一瞬だが、仕事しつつ家事育児は永遠の課題~不倫問題で矮小化しないために

男性の育休問題は不倫問題で矮小化してはいけない(写真:アフロ)

フローレンス駒崎さんのいうとおり「男性育休」を悪者にしてはいけない

政治家先生の男性育休宣言は、ご本人の不倫問題で意外な結末に向かっています。ご本人は議員辞職の意思表示をして、育休ではなく専業主夫(離婚しないとすれば)として育児に携わることになるのかもしれません。

「男性の育休」問題について私たちが考える入口まできたところで、これをもって議論も幕引きにしてはいけないと思います。もちろん、男性の育休についてマイナス印象のままで終わらせてしまうのもよろしくありません。

NPOフローレンスの駒崎さんもYahoo!ニュースで「宮崎議員は嫌いになっても、男性育休は嫌いにならないでください」と書かれているがまさにその通りです。

しかし、男性にとっての本当の課題は数カ月の「育休」ではない

筆者は個人のマネープランについて語るファイナンシャルプランナーですが、自身が毎日5時間(年間1500時間)以上は家事・育児をしているイクメンの当事者でもあります(ちなみに個人オフィスの代表なので現行法の男性育休は取得できない悔しい立場でもある)。

私が男性育休についてもっと議論を深めてほしいと思うのは「数カ月の男性育休」で男性の育児問題が終わるわけではない、ということです。

そもそも男性の育児休業取得率は低いうえに長期に及ぶことはあまりありません。厚生労働省の調査によれば男性の平成26年度の育児休業取得率は4.2%と低く(これでも上昇傾向である)、女性の同取得率が86.6%であることと比べれば約20分の1です。

また、別の調査によれば男女の育児休業の期間はまったく異なります。女性は3カ月以上の取得が92%であるのと対照的に、男性の3カ月以上の取得は2割程度にとどまっています。

取らないより取るほうがいいのは当然ですが、取得率が低くて取得期間も短期に及ぶ「男性育休」の本質的問題を直視すれば、本来考えるべき「男性の育児」の問題が見えてくるように思います。

それは「数カ月の育休のその後」です。

男性が長期に休むと家計は経済的に苦しむ

育児休業給付金は育児休業が子育て世帯の経済的貧困にならないためにも重要な制度であり、拡充もされているが、最初の半年が休業前の67%、それ以降は50%しか支給されません。簡単にいえば、月30万円の給与の男性が育児休業を取れば月20万円で半年間やりくりをし、それ以降は月15万円でやりくりをする、ということです。

妻も育休している(こちらも育児休業給付金が出る)、あるいは妻が復職したばかりで所得が下がっている時期に、夫も育児休業を取得したことで所得をダウンさせることはファイナンシャルプランナー的に考えればかなりリスクのある状態だといえます。子の誕生前から計画的に貯蓄し取り崩す方法もあろうが、多くの場合家計は悪化します。

子育て費用を考えればこの先ずっと子どものお金の面では苦労をし続けることになるわけで、生まれて最初の一年間で貯金を取り崩したり、借金をするような事態は避けるべきでしょう。実はお金の問題こそが主たる稼ぎ手であることの多い男性が育児休業を取得しにくく、また長く取得できない理由にもなっています

ではやはり、男性は育児休業など取るべきではないのでしょうか。

仕事をしつつ、家事育児も参加し続けることが本来の男性の課題

「男性育休」は妻の体調や子どもの病状なども考えつつ、必要なら積極的に選択するべきだと思います(繰り返すが、フリーランスや企業経営者は育児休業給付金を一円ももらえません。使うべき権利を使える人にはどんどん行使してほしいと思います)。

しかし「男性育休=男性の育児参加のすべて」であり「男性育児休業から復職=仕事100%の生活への復帰」と簡単に考えるべきではありません。むしろ男性の育児休業からの復帰は、これから20年に及ぶ家事育児参加への壮大なプロローグだと考えるべきなのです。

しかも「仕事をしながら家事育児をする」わけで、「仕事は完全に休ませてもらいながら家事育児をする」育児休業よりハードなミッションかもしれません。仕事は今までと同様にこなし、年収を稼ぎつつ(できれば今よりも多くの年収を得られるよう努力し)、今まではいなかった子どもを育てていくための時間を確保しなければならないからです。

単なる数カ月の「男性育休」問題に押し込めてはいけない課題です。これから20年にわたって続くことなのです。

タイムマネジメントと効率的業務がカギになる

仕事と家事育児のバランス(これこそまさにワークライフバランス)をどう整えるかはやってみるとなかなか難しい問題です。

私の場合、朝7時から9時までは長男の相手をほぼ100%みています。妻は0歳児の娘の相手に忙しくしている中、長男の食事も作れば皿洗いもするし、着替えもさせれば通園までします。このため午前の取材などは10時以降に入れるようタイムマネジメントをしています。

夕方は6時帰宅を基本としており、これまた長男の食事や皿洗いからトイレ、風呂入れ、寝付かせの入り口まですべて担当しています(妻は同時並行で娘の相手をしている)。そのため、業務終了を5時頃に設定しています。だらだら残業の余地はありませんので、タイムマネジメントが欠かせません。

しかし仕事が終わらないことも多いので、寝付かせ開始のところで妻にバトンタッチし外に出てスタバとかで原稿を書くようにしています。ただしこれは個人オフィスだからできる時間管理で会社員には難しいでしょう。

職場の理解や協力も得ながら、出社時間の調整、退社時間のマネジメントをしつつ、業務も通常通りこなすことは男性も本気で考えてほしいテーマです。結果として仕事の効率化ができるかもしれません(会社は人事評価について業績のボリュームだけでなく労働時間見合いの効率性も評価すべきです。このあたりは小室淑恵さんがよく指摘されているところですね)。

保育園送迎のどちらも妻がやって、家事もすべて妻がやって、病気になったら妻が早退してお迎えし、しかも仕事は復職して妻も一人前に働け、というのは、私に言わせればDVだと思います。

「男性育休問題」は個人レベルの不倫問題で面白おかしく終わらせるものではありません。むしろ今後も議論が続いて、「男性育休その後」にも軸足を移してほしいと思います。そして、「男性が仕事しつつどう家事育児するか」のテクニックや支援制度のあり方に議論がつながっていくとよいと思います。