『24時間テレビ 愛は地球を救う』44の放送が終わった。

今回のメインテーマは「想い~世界は、きっと変わる。」だったが、はっきり言って視聴率は不調だったと言わざるを得ない。

関東2000世帯・5000人をサンプルに視聴率測定をするスイッチ・メディア・ラボによれば、過去3年と比べて今回は、世帯視聴率が終始一貫してほぼ最低で推移した。

コロナが「感染爆発」する中での本番だったが、何が原因だったのかを追ってみた。

逆風の中で

拙稿「なぜ日テレは『24時間テレビ』にこだわるのか?~民放テレビ第1号のDNAと60年の物語が前提!~」で詳述したが、今回の放送はこれまでで一番厳しい状況で本番を迎えた。

新規感染者・重症者ともに過去最高を更新する中での本番当日だった。

出演予定者の感染があった。現場は厳戒態勢で、「もしも出演者か演者と接するスタッフが感染し、クラスターが発生した場合、番組途中でも放送中止があり得る」とピリピリムードだった。

フジテレビは去年に続き『FNS27時間テレビ』の放送を見送った。

ところが日本テレビは「今年もどんな形であろうが必ずやる」と明言してきた。反対や疑問視する声が出ていた。

それでも開局以来、「競合との軋轢・反対を乗り越える」「それまでにないフロンティアに挑戦する」をモットーとしてきた同局は強行し、最後まで大過なくやり切った。

その有言実行ぶりは評価に値しよう。

視聴率は不発

ただし視聴率は今一つだった。

全放送時間の平均は10%弱。これは過去3年と比べてもかなり低い。同じコロナ禍での開催で、やはり数字が低くなった去年と比較しても2%以上下がっていた。

まず目立ったのは、PART.1の低調ぶり。

今年はメインパーソナリティーをKing & Princeが務め、チャリティーマラソンの第1走者はメンバーの岸優太だった。

PART.1では、その岸が宮城県女川を訪ねたリポート、『イッテQ』女芸人らの大合唱、キンプリの平野紫耀主役のドラマ「生徒が人生をやり直せる学校」などが構成された。

ところが平均世帯視聴率は11.3%。

嵐がメインパーソナリティーだった19年は14.6%だったので、出だしから3%以上低くなってしまった。同じコロナ禍での放送だった去年の「新しい日常での一回目『動く』」でも、今回より2%高かった。

どうやらキンプリの人気やコロナの状況だけが原因ではなさそうだ。

東京五輪のタイミング

実は今回は、東京開催のオリンピックとパラリンピックの合間だったことが響いたようだ。

『24時間テレビ』は超大型企画で、NHKの『紅白歌合戦』に次ぐ季節の風物詩的な存在だ。「フロンティアに挑戦」してきた日テレにおいても、屈指の大番組と位置付けられてきた。

ところが今年は、直前までオリンピックが放送されていた。

しかも今回は57年ぶりの東京開催だ。4年に1度の五輪と比べて、特別感は圧倒的に別格だった。開会式の視聴率56.4%、閉会式46.7%がその証明と言えよう。

つまり『24時間テレビ』は、明らかに霞んでしまった。

その辺りの人々の受け止めは、SNSにも表れていた。

「やってたんだ 全然気がつかなかった」

「やってたの知らんかった」

「TwitterのTLで一つも見てないけど・・・」

「朝のニュースでやってたことを知る」

日テレ側の番宣にも問題があったかも知れない。

占有率からわかること

『24時間テレビ』自体にも課題があったが、他の要因も無視できないようだ。

実はこのPART.1は、視聴率が2~3%低いだけじゃなく、占有率が極端に低い。

例えば19~21時の3時間で比べると、19年の第42回より10%以上落ちているし、去年からも6%低くなった。

今回の放送前、「裏番組が戦わない」と他局の姿勢を批判し、「生放送の特番」の強さを解説する記事があった。

しかしPART.1を見る限り、その指摘は当たらない。フジ『芸能人が本気で考えた!ドッキリグランプリスペシャル』、テレ朝『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』、TBS『ジョブチューン』などは善戦していたからだ。

例えばフジは、C層(4~12歳)で『24時間テレビ』に肉薄し、小学生では上を行った。子どもと一緒に見る親も少なくないので、M2(男性35~49歳)は肩を並べていた。

またテレ朝『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』も、「スポーツ」「健康・福祉・介護」「社会問題」などの各関心層で、互角の戦いぶりだった。プロデューサーやディレクターは、打席に立った以上はヒットを飛ばすべく努力を惜しまない。編成表の並びだけ眺めて決めつけるのは正しくない。

裏番組を放送する局の現場も努力をしており、相対的に地位低下がみられると言えよう。

マンネリ問題

占有率のグラフから浮かび上がるのは、マンネリの問題だ。

深夜や日曜午後帯こそ、他局に比べ『24時間テレビ』は善戦しているが、夜帯での後退が顕著だ。「感動ポルノ」などの批判もあるが、やはりお涙頂戴や最後は出演者の涙や感動というパターンが、飽きられ始めている可能性は否定できない。

「ダーツの旅」的各地訪問、『イッテQ』女芸人大合唱のような一緒に何かを作り上げるパターンは既視感が拭えない。

またオリンピック直後ということもあり、メダリストたちがタレントとスポーツで競うコーナーがあったが、他局のスポーツバラエティの焼き直しという印象も残った。

ただし「健康・福祉・介護」や「社会問題」への関心層の視聴率は、NHK『ニュース7』に迫るほど高い。

ストレートにニュースやドキュメンタリーでやるのではなく、バラエティで包みながら大切なことを伝える手法にニーズがあることは間違いないだろう。

問題は似たような演出で視聴者が飽き始めていること。

「芸能人・バラエティ」関心層では断トツなように娯楽性は十分あるので、後はなぜ今なのか、ワンパターンの感動ではなく何を新たなテーマにしているのか、作り手の問題意識と演出・構成の腕が問われている。

「どんな形であろうが必ずやる」と明言している日テレだ。

来年も必ず続けるだろう。「想い~世界は、きっと変わる。」と掲げた通り、視聴者の予想を超える進化で、新たな世界を切り拓くことを期待したい。