テレ東『WBS』が敢闘賞!~テレ朝『報ステ』の一角はこう崩された~

両番組ホームページから

テレビ東京『ワールドビジネスサテライト(WBS)』が22時スタートで始まった。

テレビ朝日『報道ステーション』とガチンコ勝負となったが、初日の結果は『WBS』が健闘した。

今年1~3月の月曜平均と新年度初日(3月29日)を比べると、『報ステ』は個人視聴率を落としたが、『WBS』は個人全体こそ微増だが、ビジネスに深く関与する特定層で躍進してみせた。

『報ステ』の一角はなぜ崩されたのか。

採り上げたニュース項目や構成と、視聴データとの関係から考えてみた。

右肩下がりvs微増

関東地区5864人のテレビ視聴動向を調べるスイッチ・メディア・ラボによれば、両ニュースは明暗がわかれた。

2回目の緊急事態宣言が出された1月、『報ステ』の個人視聴率月曜平均は7%弱と良く見られていた。ところが2月は0.3%減少し、21日に宣言が解除された3月はさらに0.7%下がってしまった。

一方23時台で放送されていた『WBS』には大きな変化はなかった。

2%前後で推移していたが、1月より2月の方が高い。コロナの影響はほとんどなかった。

そして新年度初日の月曜日。

コロナの感染者が増加傾向で第4波の可能性が濃厚となったタイミングで、コロナ関連のニュースをトップで扱ったが、『報ステ』は、右肩下がりの個人視聴率に歯止めをかけられなかった。

一方22時台に枠移動し、番組を一新した『WBS』。

コロナをトップで扱わず、しかも経済系のニュースを分厚くしたのが功を奏したのか、視聴率を上げた。ただし上昇は微増に留まっている。

ニュース構成と毎分視聴率

『報ステ』は21時54分のフライング編成により、冒頭の視聴率を急上昇させるのが常だ。

新年度初日も6%ほど伸ばしていた。ところがその後、コロナ関連・スエズ運河関連・柔道 古賀稔彦の告別式と大項目3つが続いたが、ほぼ横ばいとなってしまった。

そして黄砂飛来・内閣不信任案・石炭火力の建設支援停止・IR汚職事件初公判などのフラッシュニュースとなったところで、視聴率は明らかに下落を始めた。

平均で10分を超える大項目3連発のあと、視聴者の集中力が途切れたかのような視聴率動向だ。

一方『WBS』冒頭は、スエズ運河関連がトップ、コロナが2番手だった。

ただし『報ステ』と比べ1項目は5分ほどと短い。この間、視聴率は上昇を続けた。特に世界経済全体に影響を及ぼすスエズ運河の5分では、2%数字を上げており、経済に強い同番組の面目躍如といったところだろう。

そして三番目が孫正義氏のコーナー。

ソフトバンクグループ経営トップの生出演は、20分を超える大項目だったが、視聴率を大きく落とすことはなかった。ビジネスに関心を持つ視聴者が、注目して見続けていたと想像される。

さらに経済ニュースとトレンドたまごのコーナーが放送された40分台。

番組の後半ではあるものの、個人視聴率は上昇に転じた。やはり同番組がどんな視聴者に支持されているのかを示す視聴率動向だ。

対照的な個人視聴率

両番組の違いを端的に示すのが、特定の個人視聴率が対照的となっている点だ。

今年1~3月の月曜平均と新年度初日の比較では、『報ステ』は個人視聴率を落としていた。

顕著だったのは、M2~3(男性35~59歳)・既婚男性・経営/自営者・部課長クラス・一般社員・従業員500人以上の企業に勤めるサラリーマンなどだ。

一方『WBS』は、逆にその全ての層で個人視聴率を上昇させた。

特に違いが大きかったのが、ビジネス情報に関心のある層。『報ステ』では3.2%落としていたが、『WBS』は2.1%上げていた。

他にも、M3(男性50~64歳)・経営/自営者・部課長クラス・従業員500人以上の企業に勤めるサラリーマンなどで明暗が大きく分かれた。

経済ニュースに特化した『WBS』は、世帯視聴率二桁で安定していた『報ステ』の特定層の一部を、奪っていると言えそうだ。

世帯視聴率で比べると両番組の差は2~3倍あるが、移設により広告主のニーズが高い特定層を増やしているので、今後の広告営業では有利に展開できる可能性が出て来た。

テレ東の狙い通りの改編と言えそうだ。

ただし結果はまだ最初の1日に過ぎない。

6分早く始まる『報ステ』が採れる対抗策は、まだたくさん残っている。問題の序盤を、ビジネス関係者が関心を持つ項目をコンパクトに伝え、『WBS』への流出を防ぐことも可能だろう。

片や後半に経済ニュースや人気のコーナーを持つ『WBS』は、序盤でより数字を上げるための工夫がまだまだ出来そうだ。

22時台で始まった新たなニュース戦争。形勢がどう変わっていくのか、今後を注目したい。