録再率が鍵を握る『半沢直樹』ラストの視聴率~35%超も不可能じゃない!?~

番組ホームページから

まもなく最終回を迎える堺雅人主演『半沢直樹』。

2013年版では、最後に視聴率42.2%と、民放ドラマで歴代2位の金字塔を打ち立てた。今回も大記録が出るか否かに注目が集まっているが、鍵を握るのはこれまで録画再生などタイムシフトで見てきた人々の動向だ。

今クールはTBSの他のドラマも最終回で数字が急伸している。

これら2ドラマと『半沢直樹』2020年版9話までの分析から、ラストがどこまで伸びるか占ってみた。

録画再生とライブ視聴の関係

東芝視聴データ「TimeOn Analytics」によれば、『半沢直樹』録画再生視聴の比率はライブの90~100%。

一方『私の家政夫ナギサさん』は115~120%、『MIU404』も165~175%と、録画再生の方が多くなっている。『半沢直樹』が如何にライブで見られるタイプのドラマかわかる。

しかも録画再生のされ方にも特徴がある。

録画再生の頻度が、『わたナギ』も『MIU404』も1.2回前後に対して、1.3回前後再生されている。繰り返し再生して、ドラマの細部を楽しんでいる人が多いのだ。

さらにライブ視聴したのに録画再生する人の数でも『半沢直樹』はユニークだ。

ビデオリサーチのデータによれば、『わたナギ』や『MIU404』と比べて、『半沢直樹』では倍ほどの数にのぼる。ライブで見た感動を、もう一度録画再生して反芻して楽しむ視聴者も少なくないということだ。

繰り返し視聴のフック

このような繰り返し視聴を促す要因の一つは、『半沢直樹』の随所に散りばめられたパワーワード・顔芸・歌舞伎のような大げさな演技などだ。

これらがSNSで拡散し、多くの視聴者がもう一度見たいと思ったようだ。

それは録画予約率にも表れる。

一般的な連続ドラマでは、初回が高く回が進むごとに下がるパターンが多い。ところが『半沢直樹』の場合、初回の23.35%から9話の24.91%まで、一度も下がることなく上がり続けた。

しかも実際に再生する人は4割程度に過ぎない。

それでも録画する人が増え続けたのは、明らかにSNSやネット記事で多く取り上げられたセリフ・演出・役者の演技がユニークだったからだろう。

繰り返し視聴のポイント

東芝「TimeOn Analytics」では、ピンポイントで録画再生される個所も特定できる。

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例えば第8話「まさか頭取が・・・!?極悪政治家の不正を暴け!」の回では、繰り返して録画再生がされたポイントが5か所あった。

最初は黒崎(片岡愛之助)に箕部(柄本明)と銀行の関わりを示唆され、旧T組に10年前から「派閥の絆」が出来ていることを突き止めたシーン。

2番目は半沢と大和田(香川照之)が手を結ぶことにするが、その過程で「おねしゃす」と、7話での「お~ね~が~い~し~ま~す」という珍妙なやりとりを踏まえてアドリブのセリフが飛び出したシーンだ。

3番目は半沢が福山(山田純大)と、紀本(段田安則)が10年前に自殺した牧野元副頭取(山本亨)の部下だったこと、以来「棺の会」が出来、新山智美(井川遥)や中野渡頭取(北大路欣也)が関係していたことが判明したシーンだった。

4番目は智美の店で、紀本が半沢と対峙するシーン。

そこで半沢たちが箕部のクレジットファイルをどう見つけ出したのかが明かされた。さらに半沢が紀本に、「過去を正してこそ未来は正しく開かれる」と、バンカーのあるべき道を主張する感動的な場面だ。

そして最後は、箕部に完膚なきまでにやられ、「大変失礼しました」と半沢は頭を下げる。

さらに箕部により黒崎が金融庁から飛ばされ、半沢と二人のやりとりが交わされる。そして黒崎は、「あなたのことなんか大っ嫌い」と言いつつも、「だから最後まで私が大っ嫌いなあなたでいて頂戴」と言って去っていく。その後ろ姿に半沢が深々とお辞儀するシーンが、8話では最も繰り返し再生されたシーンだった。

誰が繰り返し再生しているのか?

実はこれらの繰り返し再生は、性年齢によって大きく異なる。

T層(男女13~19歳)は、ほとんど行わない。CMはしっかり飛ばすが、重要なシーンを繰り返し見ることはない。F1(女20~34歳)がそれに次ぐ。

ところが年齢が上がるにつれ、再生率のカーブがギザギザになっていく。シーンによって再生頻度が異なり始めるのだ。

その最たる層がM4(男65歳以上)とM3(男50~54歳)だ。

特に半沢が箕部に頭を下げさせられる瞬間や、左遷された黒崎との最後のやりとりは急激に率が上がっている。自らのサラリーマン人生に引き付けて、思うところがあるようだ。

M3やM4ほどではないものの、F2(女35~49歳)やF3(女50~64歳)も似たような繰り返し再生をしている。

自らも会社勤めをして自分事として見られるのか、あるいは夫が属する会社組織に興味をもって見ているのだろう。

いずれにしても、これだけ幅広い層が複数回見てしまう様な、吸引力のあるドラマだ。

『わたナギ』や『MIU』でも最終回の視聴率が1.1~1.2倍ほど急伸している。

それ以上に多くの人が拘る『半沢直樹』には、大いに可能性がある。

しかも究極の巨悪・国家権力との黒白がまだついていない。

圧倒的に不利な状況から“1000倍返し”を成し遂げられるか否かの勝負が残っている。ライブ視聴率は少なく見積もっても1.2倍、多ければ1.4倍くらい上昇しても不思議はない。

最終回を人々がどう見るか、ドラマの内容と同様に注目が集まる。