『半沢直樹』新記録達成!?~13年版を超える20年版の破壊力~※修正あり

番組ホームページから

堺雅人主演『半沢直樹』が、またしても視聴率を塗り替えた。

20年版の今回は第2部の初回(5話)だったが、関東2000世帯5000人のテレビ視聴を調べるスイッチメディアラボ(SML)のデータでは、個人視聴率13.9%、世帯視聴率20.9%。いずれも第1部(初回~4話)を大きく上回った。

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ビデオリサーチ(VR)のデータでも、個人視聴率15.2%、世帯視聴率25.5%。やはり共に今期最高となった。

13年版の際には、第1部ラストと第2部初回は、ともに世帯視聴率29.0%。シリーズを通して唯一足踏みをした回だった。ところが20年版では、とかく難しいと言われる2部で、画期的な再スタートを切ってみせた。

2部初回の課題

『半沢直樹』13年版は、大阪西支店編と東京本店編の二部構成だった。

そして20年版も、東京セントラル証券編と帝国航空編に分かれている。実はこうした二部構成は、『下町ロケット』でも使われた。15年版がロケット編とガウディ編、18年版がゴースト編とヤタガラス編だ。

1クールの連ドラを敢えて二部に分けると、一定のメリットがある。

・物語が濃密で、テンポも早く、視聴者を飽きさせない。

・クライマックスが2つとなり、視聴率をとりやすい。

・途中で脱落した視聴者を、呼び戻す機会ができる。

ただしメリットとは逆に、課題もある。

2部初回の視聴率で苦戦し勝ちとなるからだ。例えば『半沢直樹』13年版は、世帯視聴率が右肩上がり基調だったが、唯一2部初回で足踏みとなった。

『下町ロケット』15年版では、ガウディ編初回はロケット編最終話より2.4%下がった。18年版では何とか上昇したが、その幅は0.4%と微々たるものだった。

2部での再出発が苦戦するのは、1部ラストの盛り上がりの反動があるからだ。

新たな物語を立ち上げるため、状況説明も多くなりがちだ。しかも展開が仕切り直しとなる分、1部ラストのボルテージを一旦下げざるを得ない。視聴者にいわば「一息ついた」と思われ、視聴意欲を高め難くなるからだ。

リスタート絶好調の背景

ところが『半沢直樹』帝国航空編は、見事なテイクオフを見せた。

SMLの世帯視聴率は2.3%、個人視聴率も1.7%上がった。上昇率では共に1割強となった。VRでも世帯視聴率は2.6%と1割強上昇した。

ちなみにSMLのデータでは、50歳以上の個人視聴率が高く出ていた。VRのサンプルの方が高齢者の含有率が高いので、VRの世帯視聴率がより大きく伸びたようだ。

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ただし『半沢直樹』の勢いは、50歳以上だけで作られているのではない。

1部最終回を1として、2部初回がどうなったのかを指数で表現すると、高齢者より1層(20~34歳)や2層(35~49歳)の現役世代の伸び率が高い。さらにT層(13~19歳)やC層(4~12歳)も、度合いは他の年齢層ほどではないものの、いずれも伸びている。

幅広い層に支持され、2部のリスタート絶好調が本物であることがわかる。

幅広い支持

支持の幅広さは、年齢層だけではない。

男女別の見られ方を見ても、同ドラマが多様な層に注目されていることがわかる。

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例えば男女を全体として比較すると、男性は1部最終回から2部初回を1.2倍見ており、女性に大きな差をつけているように見える。

ところが20~30代の会社員で見ると、女性も大きく伸びている。さらに主婦も男性全般とそん色がない。銀行を舞台にした硬派な物語で、専門用語も飛び出す難しさがあるが、若い女性会社員や主婦も大きく反応するほど、娯楽としての魅力も兼ね備えていることがわかる。

属性別個人視聴率の伸びでも、同ドラマの底力が垣間見える。

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2部は銀行マンの主人公が、国家権力に挑む話へとステージが上がった。ところが「政治に関心あり」という人、金融系で働くビジネスマン、さらには部課長などの管理職以上に、普通のサラリーマンがより見るようになっている。

政治家がからむ航空会社の再建物語という公共性の高く難しい物語ではある。

ただし誇りをもって働くことの意義など、普遍的なテーマが力強く描かれているため、普通のサラリーマンたちを感動させ、魅了してやまないようだ。

今後への期待

2部の物語を展望すると、より難度の上がったピンチを半沢直樹がどう乗り切るか、刺激は増す一方と思われる。

因縁の対決となる金融庁の黒崎(片岡愛之助)。

開発投資銀行の谷川(西田尚美)という気になる存在。

帝国航空の再生タスクホースを指揮する乃原(筒井道隆)との衝突。

白井国土交通大臣(江口のりこ)の思惑。

彼女を大臣に据えた大物議員・箕部(柄本明)の真意。

そして同ドラマで、もう一人の主人公というべき大和田取締役(香川照之)との最終決着。

他にも決定的な対峙があるかも知れないが、いずれにしても半沢直樹にとって今まで以上に難しい局面になることは間違いない。

その一つ一つを乗り越えるべく、これまで見せていない新しい解決方法や、他者を納得させるより普遍的な主張で、半沢直樹の破壊力はどこまで上がるのか。

ステージが上がる一方の、同ドラマの着地が待ち遠しい。