“2話の谷”を超える『半沢直樹』~見入ったのはF1と管理職、ただし草食男子は敬遠気味!?~

番組ホームページから

堺雅人主演『半沢直樹』が初回視聴率22.0%に続き、2話で22.1%となった。

多くの場合、連続ドラマは初回が高くても、2話で落ちることが多い。いわゆる“2話の谷”だ。

ところが『半沢直樹』は第1シリーズに続き、第2シリーズでも2話で数字を落とさなかった。立役者はF1(女性20~34歳)と企業で部課長を務める管理職。

一方、マウンティングは苦手なのか、若年男子は“2話の谷”にしっかり陥っていた。

層別に視聴動向がどうなっているのかを追ってみた。

2話の谷

連続ドラマは、とにかく初回を見てもらわないと話にならない。

そのため各局は、初回の番組宣伝に注力する。主役やメインの俳優を、放送開始直前に情報番組やバラエティ番組に多数出演させるなどは、その最たるものだ。

『半沢直樹』も初回放送までに、主人公役の堺雅人が9番組に出演した。妻役の上戸彩も5番組、主人公の敵を演ずる市川猿之助も3番組、ご存知・香川照之も4番組に動員されるほどの念の入れようだった。

ところが初回に力を入れた反動で、2話以降は番宣のペースが落ち勝ちだ。1段ロケットの打ち上げが成功すれば、「やれやれ」と思い一息入れるのは仕方ない。

また視聴者の方も、初回は“試し見”をするが、そこで合わないと感じたら、さっさと止める人が多い。元ビデオリサーチの評論家から、1~2割数字を落とす連ドラが一般的と教わったことがある。

実際にこの春クールでも、『SUITS/スーツ2』は2話で2割強視聴率を失った。

好調なスタートを切った『私の家政夫ナギサさん』『ハケンの品格』『MIU404』も、軒並み1~2割数字を失った。

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実は今世紀2位の視聴率を誇る『ビューティフルライフ』(TBS・00年)も、2話で1割落としていた。

3位『家政婦のミタ』(日本テレビ・11年)は4%ほどの下落にとどまったが、4位『Good Luck!!』(TBS・03年)は13%下がった。5位『HERO』(フジテレビ・01年)も2話で2%落とした後、3~4話も下げ続けた。

その中にあり、今世紀1位の『半沢直樹』(13年のシーズン1)は、逆に数字を上げた。

初回で好記録を出した連ドラとしては例外の部類に入るが、その後も一度も数字を落とさず、最終回に42.2%という金字塔を打ち立てたのである。

今回の『半沢直樹』(シーズン2)も、2話で記録を伸ばした。

“2話の谷”を克服したところを見ると、制作陣に十全の準備があるように見える。

女性と1層

では、どんな人々が2話を支えたのか。

属性別の個人視聴率を測定しているスイッチ・メディア・ラボのデータで追ってみよう。

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まず目につくのは未婚女性。個人視聴率は初回8.9%が2話で11.7%と31%も上昇した。女性全体も4%増え、働く女性は5%増だった。

銀行や証券会社で男の論理が火花を散らす物語だが、何と女性が大きな関心を持って見入ったようだ。

ちなみにF1(女性20~34歳)は30%増、F4(女性65歳以上)が13%増、そして主婦が8%増だったのも興味深い。直接経験していない男社会に、好奇心をくすぐられたということだろう。

逆に男性全体は2.5%減。

大きく落ちたとは言えないが、壮大なマウンティング物語に、あまり興味をそそられない人もいた。特にMT(男性13~19歳)26%減・M1(男性20~34歳)11%減と、“2話の谷”に陥ってしまったのが若年男子という点が興味深い。草食男子は平和&マイペースで仕事をしたいのかも・・・。

逆に男社会が懐かしいのか、M4(男性65歳以上)が6%増とハマってきているのは面白い。

力の論理は現実!?

男女年層ではなく、携わる仕事別の個人視聴率もなかなかの結果だ。

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最も見入っているのが建設・運輸で働く人々。2話で13%増えた。

「やられたらやり返す」「倍返し」の物語は、裃をスーツに着替えた現代の”チャンバラ時代劇”と見ることもできるが、やはり力の論理に見入る人々はいる。

しかも部課長クラスが9%増となっている。

筆者は番組制作現場の頃、企業買収で中高年が支配する企業に勇躍乗り込んでいった30歳そこそこの青年実業家のドキュメンタリーを制作したことがある。

その放送後に複数の大手企業から、「社長がぜひ見たいと言っているので、VTRを売って欲しい」という連絡を頂いた。描いたM&Aの理屈自体は決してユニークなものではなかったが、具体的に取締役会や関連会社社長会でどう振舞うのか、生きた教材として見たいということだった。

なるほど部課長などの中間管理職にとって、『半沢直樹』は娯楽番組であると同時に、仕事をする上でのハウツーや姿勢を学べる教育番組であるのかも知れない。

ただし製造業で働く人や公務員では、“2話の谷”が起こってしまった。

金融証券の世界での大活劇は、身近ではなかったようだ。

いずれにしても『半沢直樹』は、シーズン1に続いて“2話の谷”をクリアした。

親会社の銀行に、子会社が全面戦争をしかけることになった『半沢直樹』。期待を裏切られることのない血沸き肉躍る展開を前に、視聴率は堅調に推移しそうだ。次が待ち遠しい。