二階堂ふみに迫る波瑠と志田未来~静と動 対照的な二人の魅力~

両ドラマそれぞれのホームページから筆者が作成

今週は演技力で評価の高い若手女優2人に注目が集まった。

一人は次が最終回となる『路』の主人公を演ずる波瑠。

もう一人は『美食探偵』で農家の娘役で話題となった志田未来。

「春ドラマ出演者の中で、演技がうまいと思う若手女優」というアンケートで、二人は2位3位と上位を占めるが、演技の特徴は実は対照的だ。

ここに来て盛り上がりを見せる両ドラマ。それらを彩る二人の魅力を考えてみた。

演技がうまい若手女優

アンケートはパイルアップ社がこの春実施したもの。

テレビを一定以上見る1200人に、春ドラマ出演を前提に、20代以下の若手女優の中から選んでもらった。

1位に輝いたのは、朝ドラ『エール』のヒロイン・二階堂ふみだった。

拙稿「『エール』から始まる二階堂ふみ最強伝説~周囲を引き立てる演技力~」に詳細を書きとどめたが、幅広い演技力で多様な視聴者を魅了し、彼女の出番が増えるにつれ朝ドラの視聴率も上向いていた。

そして二階堂ふみに迫る2位には志田未来、3位に波留が選ばれた。

志田未来は『美食探偵 明智五郎』(主演・中村倫也)で、連続殺人鬼・マグダラのマリア(小池栄子)に殺人を依頼するりんご農家の娘を演じた。

4月放送の第2話が大きな話題となり、先日の特別編で再び脚光を浴びた。

いっぽう波瑠は、『路(ルウ)~台湾エクスプレス~』の主役。

日本と歴史的に特別な関係を持つ台湾を舞台に、台湾新幹線開通という“プロジェクトX”ストーリーと、波瑠をめぐる男2人の三角関係が描かれている。

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調査を実施した同社の高木章圭メディア研究員によれば、二人のアンケートは稀に見る対照的な結果だったという。

「演技がうまいと思う全体の回答では二人は僅差。ところが男女の得票では、志田未来さんは男性より女性が圧倒的ですが、波瑠さんはどちらも同じくらい。また年齢でも、志田さんは男性10代と60代が極端に低いが、逆に女性20~50代で高くなっています。ところが波瑠さんは、年齢でも万遍なく支持されています。二人の対照的な結果は、とても興味深いと思います」

SNSの声も対照的

投票結果だけでなく、放送直後のSNSのつぶやきも対照的だった。

志田未来に対する声は、演技についての声が目立った。

「志田未来ちゃんの演技はほんとに引き込まれる」

「演技にボロ泣きする2話でした」

「芝居がうますぎて飲み込まれる」

「美しいのに役によってオーラを消せる女優さんって本当にすごい」

「高校生も田舎の女性も、弱気な女性も、殺人鬼も、何でもこなしてしまうところが怖い」

いっぽう波瑠については、演技についての意見はあまりなく、もっぱら存在そのものと微妙な表情についての意見だった。

「やっぱり、 波瑠さん素敵ですね」

「相変わらず可愛い。好き!」

「透明感えぐいな」

「細かな表情変化好きだなぁ」

「表情めちゃめちゃ好きなんだよな。恋する女の顔、迷う顔、切ない表情・・・」

対照的なキャリア

実は二人の対照性は、女優としての今日までのキャリアにもある。

志田未来は12歳で『女王の教室』(主演・天海祐希)に抜擢、大人顔負けの演技でブレイクした。

そして14歳で『14歳の母』を主演。中学生で妊娠・出産という難しい役どころを演じ切ったが、喜怒哀楽などの感情を出す演技で評判になっていた。

いっぽう波瑠は、中学1年で芸能界入りしたが、下積みが長かった。

志田未来が主役だった『14歳の母』でも、端役で出演していたが影は薄かった。出演した映画の監督も、「自分を過小評価してると思うようなところがある」と言っている。本人も「ブレイクしたいとはあまり思っていないんです。長く女優を続けたい」と言っているように控えめだ。

ところが24歳で朝ドラ『あさが来た』(15年度下期)で主演して以降は、連ドラ主役級の常連となる。

16年春『世界一難しい恋』でヒロイン。

16年夏『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』主演。

17年冬『お母さん、娘をやめていいですか?』主演。

17年春『あなたのことはそれほど』主演。

18年冬『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』ヒロイン。

18年春『未解決の女 警視庁文書捜査官』主演。

18年夏『サバイバル・ウェディング』主演。 

19年秋『G線上のあなたと私』主演。

いっぽう志田未来は大人になって以降、GP帯(夜7~11時)放送の連ドラでは主役はない。それでも脇で印象的な役を任され、演技力で話題になることが多かった。

16年夏『はじめまして、愛しています。』最終回では、虐待していた実母役で圧巻の演技をみせた。

17年秋『コウノドリ』。耳が聞こえない妊婦役で迫真の出産シーンを演じ、「涙腺崩壊!」「神演技すぎてヤバい」などと絶賛された。

19年冬『ハケン占い師アタル』。優柔不断な派遣社員だったが、見る者をイライラさせる絶妙な味を出していた。

そして19年夏『監察医 朝顔』。法医学に興味のない医学部生で登場したが、5年間での成長ぶりを見事に演じ好評を博していた。

対照的な魅力

老若男女に満遍なく評価される波瑠。

この5年間の実績に加え、佇むだけで「素敵」と言ってもらえる清楚なイメージ。そして60代男性でアンケート1位に象徴される整った容貌が、女優としての存在感を裏打ちしている。

いっぽう『女王の教室』で、12歳にして視聴者の胸を熱くした志田未来。

以来、視聴者の感情を大きく揺さぶったり、地味な存在でも共感を呼ぶような演技を見せて来た。男性より女性に圧倒的な人気なのは、こうした演技の幅によるものだろう。

子役から脇役でも大人の魅力をしっかり刻むようになった志田未来。

下積みから主役・ヒロインを連投するようになり、居るだけで大勢を魅了する波瑠。

いわば“静”と“動”は、次にどんな対照的な進化を見せるのだろうか。行く末が楽しみな二人である。