デジタル時代こそアナログ風情~ヘタウマな手書きイラストがPVを稼ぐ!~

「Actvila」の新サービス「Chips!TV」

新型コロナウイルスの感染拡大で、大躍進を続ける動画配信業界。

デジタル技術を駆使したデータ分析技術や最先端のUIで、これまでも成長していた「Netflix」「Amazon」「hulu」「Paravi」などが、ここにきて生活者の在宅時間が長くなり、一挙に利用者を急増させている。

そんな中にあり、ローテクでアナログなサービスが奮闘している。

インターネット接続テレビ向けVODサービスを行う「Actvila」が始めた「Chips!TV」だ。

ヘタウマな手書きイラストで、利用者のアナログ感覚に訴えて、VODを利用してもらおうという企画だ。

デジタル時代だからこそ一定の支持を得る“アナログ風情”の可能性を考えてみた。

ヘタウマなショートストーリー

VODサービスが大躍進している。

ところが、「何か観たいけれど、世の中に映画やドラマなど、コンテンツが溢れすぎていて探すのが面倒」と感ずることはないだろうか。

その思いに対応しようというのが、「Chips!TV」。

無限と感ずるほど数多いコンテンツの中から、スタッフが独断と偏見で、「今、観てほしい」と信じるお勧め作品を、ヘタウマな手描き漫画にして、1分程度のショートストーリーで紹介している。

例えて言えば、書店で店員さんが手書きで作っている書籍紹介、つまりPOPのようなものだ。

では突然だが、サービスの詳細をクイズ風に紹介しよう。

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ヘタウマ漫画で描かれた経理担当と思われるOL。

「余計な仕事はしたくない」と思いつつも、「公私混同などの不正は絶対許せない」という頑固な部分もある。手書き紙芝居風のショートストーリーで概要が紹介されているが、さてこのコンテンツは何だろうか。

答えは後ほどまとめて紹介するとして、第2問。

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今度は一転して水彩画風のポンチ絵。

世界各地の風景や、そこで暮らす人々が登場する。そして何故だかネコが、“まったり”“泰然自若”と何をするでもなく出てくる。

つづけて第3問。

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今度は色鉛筆で書いたような淡白な絵だ。

うどんやそばを売っている自動販売機の前に、人々が集まっている。説明によると、その自販機と人々がお別れをするらしい。

ん? なぜか3日間? これがヒントか?

Chips!TVの可能性

さて回答は、1問目が『これは経費で落ちません!』

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青木祐子の連載短編集を原作としたテレビドラマで、多部未華子が主演した。各部署より持ち込まれる領収書から、社内の疑惑や人間関係を洗い出す物語。

実はテレビ局こそ怪しい領収書がふんだんにあり、不祥事も頻発している。そのテレビ局が自ら経理の問題をドラマ化するとは、その蛮勇に筆者は驚いて見せてもらった作品だ。

2問目の答えは『岩合光昭の世界ネコ歩き』

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世界遺産の地など行ってみたいと思う場所を、動物写真家の岩合光昭がネコを切り口に番組にしている。犬猫はネットの世界でもキラーコンテンツだが、これを世界各地の紹介に取り入れた発想が凄い。しかもネコの目線で撮影されるなど、猫好きに限らず普通の人が見ていても、ほっこりできるところが優れている。

「Chips!TV」のポンチ絵と、世界観がうまくマッチしている。

最後は『ドキュメント72時間』

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ある1か所で72時間(3日間)に渡ってロケし、そこでの様々な人間模様を定点観測するというドキュメンタリーだ。

テレビ番組の醍醐味は、長時間にわたるロケ映像をぐっと圧縮することで、普段は見えない事実や情緒を浮かび上がらせること。この番組は、そうした“基本のキ”というべき役割を果たしている。

ちなみにヘタウマなショートストーリーで、「Chips!TV」はPVを着実に伸ばしている。

サービス開始当初は1日2000程度だったが、1か月で4000前後と倍増させた。週末には7000~8000に達することもある。

明らかにゆったり時間のある時に、アナログ風情に人々が反応している。

春爛漫まったり満開中継

さて「Chips!TV」は今月末から、新型コロナウイルスで外出自粛となっている状況に対応して、「テレビでお花見」企画を始めた。

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企画意図は、「こんな時代だからこそ、TVでお花見をしてつながろう!」。

Chips!TVのホーム背景動画を桜の映像にし、同サービスのメインキャラクター「おイモ(仮)」と一緒にお花見をしようという企画だ。

Twitterで会話も出来るようになっている。

ただし満開の桜の映像は、地上波テレビがやるサクラ中継と比べると、素人の映像っぽさ丸出し。

TVのプロだと、レフ板や照明を駆使して、青空の青にも負けないサクラの白やピンクを鮮やかに際立たせる。あるいは夜桜だと、大電力の強力ライトを総動員して、幻想的な世界を夜の静寂に浮かび上がらせる。

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ところが「Chips!TV」のお花見は、素人ビデオとドッコイどっこい。

「Chips!TV」の名前は、カウチポテト(寝いすでくつろいでポテトチップスをかじりながらテレビを見るライフスタイル)から来ているのだろう。

持て余した時間にボーっと過ごすには、素人ビデオとベタな音楽が“ちょうどいい”のかも知れない。

さて大資本と先端技術で、国難というべき状況でも大躍進を続ける動画配信サービスの数々。

その中にあり、個人の努力とアイデアで状況を打開しよういう「Chips!TV」。アナログを前面に押し出したサービスがどこまで支持を広げるのか。行く末を楽しいにしたい。