2話急落・3話持ち直しの東出ドラマ~セリフが現実とリンクした『ケイジとケンジ』の妙~

『ケイジトケンジ』HPから

東出昌大と桐谷健太のW主演となった『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』。

順調なスタートを切ったが、東出と唐田えりかの不倫問題が発覚し、第2話では視聴者が3割脱落した。視聴者の厳しい声から、第3話はさらに下落すると思われたが、実際には持ち直した。

相変わらず視聴をやめた人はいたようだが、大きな話題となったために、3話から見始めた人もかなりいた。しかも登場人物たちの言動が、騒動の現実と微妙にリンクしたために、話題が話題を呼んだ。

番組中にも視聴率が上がり続けた同作。TVドラマという“生もの”の妙を振り返りたい。

視聴者の動向

関東地区で2000世帯5000人ほどのテレビ視聴動向を調べているスイッチ・メディア・ラボによれば、『ケイジとケンジ』の個人全体の視聴率は、初回5.0%から2話は3.5%と3割下落した。

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不倫問題からバッシングが激しさを増す一方の東出が、主演のため続投となった同ドラマ。3話は一段の視聴率低下が予想されていた。

ところが放送されてみると、個人は3.8%と持ち直した。大方の予想を裏切る結果だった。

ただし年齢や属性により、反応は異なった。

一番厳しかったのは主婦層。2話で見るのをやめたのは3割ほど。そして下落は続き、3話では4割ほどに膨らんだ。嫌悪感おさまらずといったところだろう。

1層(男女20~34歳)も手厳しい。2話で2割、3話で3割が脱落していた。

ところが2層(男女35~49歳)と3層(男女50歳以上)は、反応が少し違った。

共に2話では離脱者が大量に出たが、3話では逆に視聴者が増えた。テレビ視聴者の3分の2以上を占めるこれらの層が増加に転じたため、個人視聴率全体も2話急落・3話持ち直しとなったのである。

持ち直しの理由

3話で視聴をやめる人もいた。

ただし大方の予想を裏切る結果となったのは、騒動が大きなニュースとなり、3話から見る人が少なくなかったからだ。

SNS上には、こんな声が散見された。

「逆にあの騒動で東出見たくて見とるよ」

「初めて見るけど結構面白いやん…」

「東出くんを今のうちに見ておかないと」

「初めて見ている(中略)ダメンズぶりが気持ち良いくらい」

もう一つ、視聴率の持ち直しは、番組中に視聴者がどんどん増えたことにある。

登場人物たちの言葉は、今回の騒動と妙にリンクするものが多く、ネット上で大きく話題になり続けた。

物語の展開では、東出が演ずる真島検事が「僕はどこでミスったんだ」と頭を抱えるなど、失敗を嘆くシーンが何度も出て来た。

きわめつきは柳葉敏郎演ずる樫村部長検事が「お前、終わったなあ」と真島検事に言い、東出が膝から崩れ落ちるシーン。SNSはここで一番盛り上がった。

「『お前、終わったな』超リアルタイムリー」

「柳葉さんの『お前、終わったな』の破壊力wwwwww」

「ここまでドンピシャな『お前、終わったな』は他にないな」

「『お前、終わったな』 役者も因果な商売」

この前後で個人視聴率は3.7%から4.1%まで上昇した。

男女年層別でみても、男女を問わず中高年層で一連のシーンを楽しんだ人が多かったようだ。

フィクションと現実の符合

この場面に限らず、登場人物たちの言動は、妙に今回の現実とリンクし、SNSはかなり盛り上がった。

「言い訳まみれの東出昌大に桐谷健太がドラマ内で世間の声を伝えてくれてる」

「『何やってんだよ』ってソレはアンタでしょ(笑)」

「真島検事のセリフひとつひとつがブーメラン」

「今日は東出の現実とフラッシュバックして 面白いwww」

「聞き方次第なんだろうけど台詞の端々に東出ディスりを感じて味わい深い」

業界では「優れたジャーナリストは現場に居合わせる」という言い方がある。

逆に言えば、「現場に居合わせたジャーナリストは優秀」となる。

この言い方を応用すれば、「図らずも現実とリンクした脚本家は優秀」となる。福田靖脚本の賜物だろう。

そもそもテレビ朝日は、騒動発覚直後に「放送予定に変更はありません」とコメントしていた。もし既に撮影済みの3話以降で、ドラマの内容が話題を呼ぶと読み切っていたのなら、関係者の慧眼には脱帽だ。

筆者は以前の記事で、同ドラマの今後を「典型的な”負のスパイラル”になりかねない」と書いてしまったが、どうやらドラマという“生もの”は、そんなに単純ではなかった。

不明を恥じつつ、4話以降にどんな化学反応が起こるのか、楽しみにしたい。