進化するキムタク!~アラフィフ突入なのに視聴者は若返り~

木村拓哉の進化が止まらない!

去年11月で47歳。

既にアラフィフのキムタクだが、主演するドラマは今も世帯視聴率15%前後をとる。しかも最も驚くべきは、視聴者層が若返っており、テレビ局にとっても貴重な存在となっている。

進化するキムタクの実態を追った。

活躍が続くキムタク

キムタクといえば、トレンディドラマ全盛期のトップスターの印象が強い。主演したドラマが大ヒット連発だったからだ。

『ロングバケーション』(96年春・フジ・29.6%)

『ラブジェネレーション』(97年秋・フジ・30.8%)

『ビューティフルライフ』(2000年冬・TBS・32.3%)

『HERO』(01年冬・フジ・34.3%)

『GOOD LUCK!!』(03年冬・TBS・30.6%)

『プライド』(04年冬・フジ・25.2%)

『エンジン』(05年春・フジ・22.6%)

以上のドラマからは、4本が歴代ドラマ視聴率ベスト20にランクインした。

単独で主人公を演じた俳優としては、木村拓哉が最多を記録している。

その後もテレビドラマの視聴率がじりじり下がる中、キムタクが主演したドラマは同一クールの中でトップグループを走り続けた。

『CHANGE』(08年春・フジ・22.1%・2位)

『Mr.BRAIN』(09年春・TBS・20.5%・1位)

『月の恋人』(10年春・フジ・16.8%・1位)

『南極大陸』(11年秋・TBS・18.0%・2位)

『PRICELESS』(12年秋・フジ・17.7%・2位)

『HERO2』(14年夏・フジ・21.3%・1位)

『CHANGE』や『南極大陸』などは、社会派ドラマとしても高い評価を受けた名作だった。

40代でも活躍

さらに40代半ばになっても、連ドラで主役を担い続ける稀有な俳優となっていた。

ただし視聴率は、かつてのような勢いがなくなっていた。

『アイムホーム』(15年春・テレ朝・14.8%・2位)

『A LIFE』(17年冬・TBS・14.5%・1位)

『BG』(18年冬・テレ朝・15.2%・2位)

『グランメゾン東京』(19年秋・TBS・12.9%・2位)

そして年末年始のドラマSPでも、フジ開局60周年特別企画の二夜連続ドラマ『教場』で主役を演じ、平均視聴率15.1%と目覚ましい結果を残した。

特にアラフィフになっても、これだけTVドラマの中心で、一定以上の結果を出し続ける男優は、今やキムタクを置いて他にはいない。

視聴者層の若返り

世帯視聴率での健闘以外に、キムタク主演ドラマでは興味深い現象が起こっている。

個人視聴率を分析すると、中高年の支持は徐々に下がっている。

2016年のSMAP解散騒動が響いているかも知れない。

ただし若年層の視聴者が増えている点は特筆すべきだ。

同世代やちょっと上のお兄さんお姉さんに憧れるなら理解できる。ところがアラフィフとなり次第に渋くなっていくおじさんのドラマを、若年層が見るようになっている点は驚きだ。

特にC層(4~12歳)が最も伸びている点が興味深い。

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キムタク44歳の時の『A LIFE~愛しき人~』を起点にすると、45歳での『BG~身辺警護人~』、46歳『グランメゾン東京』、47歳『教場』と、視聴者の分布が変化している。

世帯視聴率や個人視聴率全体の数値は、4本とも大きなバラツキはない。

ところがスイッチ・メディア・ラボのデータによれば、個人全体を分母に各層の含有率を割り出すと、年齢層によって増減に差が生じている。

まずT層(13~19歳)・1層(20~34歳)・3-層(50~64歳)では、顕著な変化が生じていない。

ただし3+層(65歳以上)は、明らかに減少傾向にある。40代の頃に格好良い若者と眩しく眺めたが、高齢者となりアラフィフのキムタクに魅力を感じなくなったということだろうか。

それでもF3+(女65歳以上)はほとんど変化がない。

むしろM3+(男65歳以上)が激減している。令和のおじいちゃんたちは、平成のヒーローに興味を失っているようだ。

実は男女差は、T層・1層でも垣間見られる。

男女全体でみると、両層とも大きく伸びていないように見える。MT(男13~19歳)・M1(男20~34歳)が横ばいあるいは微減となっている影響で、FT(女13~19歳)やF1(女20~34歳)では、明らかに伸びている。

さらにC層では、男女ともに急伸している点が不思議だ。

20代の木村拓哉が、トレンディドラマで大活躍した姿を知らない世代だ。中年期に入り、“オレ様”ぶりが後退したキムタクを初めて見た子供たちが、格好良いおじさんとして惹かれているのかも知れない。

家でみる“くたびれた父親”と比較し、禁欲的でエネルギッシュな中年が、新たなヒーロー像となっているようだ。

“世帯から個人”時代のニューヒーロー

実はテレビ番組の評価基準が、ここ数年で大きく変わり始めている。

今年年始のテレビ局トップの挨拶でも、時代の変化を感じさせる発言が目立った。

例えばTBSの社長は、「ファミリーコアの視聴率を上げる」と、職員に名言した。ファミリーコアとは、59歳以下を指す。日テレは去年から49歳以下のコアターゲット重視路線に変更していたが、各局が高齢者でなく若年層を重視し始めている。

フジの社長も、「世帯視聴率は高齢層の視聴を象徴する」と明言した。かつてF1のフジと言われた時代があったが、同局も再び若者狙いに注力するようだ。

キムタク主演ドラマに話を戻そう。

過去4作の変化でもう1点注目すべきは、2層の中でも特にF2(女35~49歳)が急伸している点だ。明らかにC層やT層の子供と、一緒にテレビを見る母親たちが増えていることを示唆する。

そして年末に最終回を迎えた『グランメゾン東京』や、正月4~5日放送の『教場』では、さらに父親が加わって家族一緒にドラマを楽しんだようだ。

去年のドラマ界を振り返ると、1月クールの『3年A組』、4月から2クール連続の『あなたの番です』、夏の『ノーサイド・ゲーム』などは、C層・T層がまず牽引した。やがて2層が随伴で視聴するようになり、クール後半で世帯視聴率を押し上げていた。

スポンサーから見ても、若年層を多く含み、家族一緒に見てもらえる番組は、CMを出したい良い番組となっていたのである。

キムタク主演ドラマの展開は、明らかに広告主が高く評価する進化なのである。

トレンディドラマ全盛期のキムタクは、F1やF2から圧倒的な人気を得ていた。

それから20年。

既に当時のF1・F2は、50~60台の中高年となっている。そのまま同世代の支持を維持する道もあっただろうが、どうやらキムタクはその道を選ばず、視聴者層の若返りに挑戦し、成功したようだ。

C層・T層・1層で新たな視聴者を開拓し、その親世代が随伴視聴してもらえる。

テレビドラマが世帯視聴率で苦戦する時代に、どうやら木村拓哉は広告主に喜ばれる新たなヒーロー像を確立し始めているようだ。

キムタクのさらなる進化に期待したい。